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【社説】

インフル流行 感染を広げないために

 今季のインフルエンザの全国的な流行期に入った。例年並みだった昨年より一カ月ほど早い。これから来年春にかけ流行は続く。感染症への対策の柱は予防である。社会や個人で備えたい。

 流行は、全国の医療機関から寄せられる患者数で判断される。十一月上旬に基準を超えた。

 直近の期間に検出されたウイルスは二〇〇九年に新型として流行したA型が多い。

 ただ、複数の型が流行する可能性がある。一度、感染し発症しても警戒は怠れない。

 今年は九月から沖縄県で患者が増えだした。新学期が始まって感染が広がったようだ。夏でも感染する地域があることにも注意を払う必要がある。

 個人でまずできる予防は周囲への気遣いだ。インフルエンザウイルスは感染した人のせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)に乗って周囲に広がる。せきをしている人はマスク使用はもちろん、手でせきを受け止めた際には、その手でドアノブなどを触って感染を広げないようすぐに手洗いをしてほしい。日々の丁寧な手洗いも大切になる。

 予防接種も有効だ。感染自体は防げないが、発症をある程度抑えたり重症化を防ぐ効果がある。接種を受ければ数カ月は効果があるといわれる。

 高齢者や慢性疾患を持つ人は感染すると肺炎など重症化する場合がある。接種を受けた高齢者は死亡の危険を五分の一に減らせることが期待できるという。自治体によっては費用の一部を助成している。積極的に受けたい。

 季節性のインフルエンザとは別に新型はいつどこで発生するか分からない。ひとたび発生すると、多くの国民が免疫を持っていないため感染が一気に拡大し命や健康を脅かしかねない。

 政府は新型発生を想定した対策をつくっているが、国民への周知を引き続き行うべきだ。

 冬季はインフルエンザの流行だけではない。手足や食品を介してノロウイルスなどに感染し、激しい下痢や嘔吐(おうと)に苦しむ感染性胃腸炎も発生する。

 どちらも介護施設や学校、保育所などで集団発生することがある。施設側も正確な知識を基に対策を取ってほしい。

 来年の東京五輪・パラリンピックでは、今年のラグビー・ワールドカップ以上に海外から多くの人が訪れるだろう。インフルエンザに限らず、はしかや風疹など感染症全般の対策を考えたい。 

 

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