オッカム

前任校は理工系の大学で、僕はそこ人文社会系の科目を教養課程で教えていた。新入生歓迎会の時、ある腹に一物ありそうな1年生が、「余計な科目に時間を割かず、専門を1年から始めたらどれだけ向上できるだろうね」と僕を横目で見て言ってきた。1年次の教養課程がマジでウザいというオーラ全開で。

僕はすでにその時期は仏の境地にいたので、「まあ一理あるんだけど、危険な実験だろうなあ。技術はあっという間に陳腐化するから理工系しかやってなかったら管理職になれないだろう。まあ専門学校卒の仕事止まりで、学士の仕事にはつけないだろう。僕も教養課程では数学、物理、科学をやった」と説明。

うちの大学（当時）の専門部の先生方も、東大や東工大で１〜2年くらい教養課程やって、その成績順で希望のコースに配属されている。彼らの業績を見ると意味があったんじゃないか。最低限の教養課程での単位を揃えられない人には、専門を学ぶ資格そのものがないんだよ。気狂いに刃物だろ？」と諄諄と。