「飲み会の唐揚げラスト一個現象」

みなさん、飲み会でこの現象に遭遇したことはありませんか?

謙虚な国民性がそうさせるのか、飲み会で頼まれた「唐揚げの最後一個」は残りガチ…。

 

しかし本音を言えば、「自分が食べたい。でも自分から手を伸ばすのは恥ずかしい。 あ~、誰か『唐揚げ食べていいよ』と言ってくれと思っていますよね? 少なくとも僕はそうです。

 

もちろん「ゴチャゴチャ考えず箸を伸ばせばいいんだよ!」が正しいことは理解しています。…それでも気の弱い僕は自分から言い出し辛い!

 

挨拶が遅れました。ライターのたかやです

そんな「唐揚げ現象」の解決策を、大好きなこの漫画から発見しました。それがこちら…

 

「かぐや様は告らせたい」

かぐや様は告らせたい

週刊YJで連載中のラブコメ漫画。コミックス累計発行部数800万部。アニメ、実写映画ともに大ヒット。最近ではアニメ2期の製作が発表されるなど、紛うことなき超人気作品。

 

急に「唐揚げ現象」と全く関係のないマンガを紹介してすみません。ですがもう少し説明を続けさせてください。

 

かぐや様は告らせたい 1巻 12p

「かぐや様」のコンセプトは『恋愛×頭脳戦』

 

天才たちが如何にして相手から臨む言葉を引き出すか(作中の場合「好きです」)、恋の勝負を繰り広げます。

恋愛に高度な心理戦や駆け引きを組み合わせるという面白さが、この作品の魅力なんですが…

そこで「かぐや様」オタクの自分は閃きました。

 

「唐揚げラスト一個現象」×「頭脳戦」もいけるんじゃないの!? 

 

 

「唐揚げ現象」もある意味、食事における“戦”。戦である以上、頭脳戦に持ち込んだ者こそが勝利を掴みます。

 

自分から「唐揚げ食べたい」と言うのは恥ずかしくても、心理学・頭脳戦を駆使すれば相手に言わせたいワード「最後の唐揚げ食べていよ」)を引き出すことは可能なんじゃ?

そう、「かぐや様」のように!

 

 

IQの高さは3にも満たない僕だけど “頭脳戦飲み会”をやってみよう!

 

 

 

 

 

飲み会頭脳戦スタート!

そんな訳でライター仲間2名を居酒屋に呼び出しました。

今回、彼らには「居酒屋のメニューについて語り合う撮影」と嘘の企画を伝えています。

 

 

▼本当の目的▼

 

嘘の企画と並行して、仕掛け人・たかやは本来の企画を進行していきます。

 

飲み会中、たかやは同席者にバレないように様々な心理テクニックを実践。最終的に相手から「最後の唐揚げ食べていいよ」と言わせれば勝ち。

逆に唐揚げを食べられたら負け。

シンプルなルールですが、仕掛け人である僕はレベルの高い頭脳戦を展開しなければなりません。

 

その為、飲み会までに心理学を結構マジで勉強してました。

大学時代は心理学を専攻していたんですが、その頃よりも本気を出した気がします。

あの時もここまで頑張れば単位落とさなかったな…。

 

そしてどのタイミングでどうカード(心理効果)を切るか…綿密なプランも作成! 抜かりはありません。

 

まぁ。頭を使いすぎて最終的に逆にガバガバになる「勉強しすぎた結果、馬鹿になる現象」になったけども。…まぁ、たぶん大丈夫。

 

ここまでやって、負けるわけがない!

 

 

まずは唐揚げを頼ませたい

まずは肩慣らしとして、心理誘導で相手に唐揚げを頼ませてみせます

心理学を完璧に身に着けた今の自分なら、飲み会そのものを完全にコントロールできる自信があるからです。

 

  居酒屋で語り合うだけの記事って楽しそうでいいね~。

  飲むのは好きだし、たくさん話せますよ!

  ま、記事の撮影だからって気構えずゆるく語り合いましょう!

 

 (ククク…。 本当の目的が「僕に唐揚げを食べさせること」だと知らずに…)

 

───そう、既に勝負は始まっています!

 

まずは「席順の心理」!

 

一見、適当に座っているかの様に見える席順にも意味があります。

 

テーブルを挟んで、相手の真正面&席の真ん中に座る⇒相手に心理的な威圧感と場の主導権を握りやすくなります。

当然、自分は該当する席をキープ! ここからの飲み会での主導権を握る!

 

 

 なにも注文しないのもアレですから適当に頼んで下さい!

 

この場面も、同席者に自由を促しているかに見えますが…

 

 

人がメニュー表を見る際、上図の様に視線を動かす傾向があります (そのため、多くの飲食店のメニュー表は推したい商品を、視線が最初に向く位置に配置されていることが多い)

 

このメニューの右上は唐揚げゾーン。

メニュー表を見て真っ先に意識が向けられる場所です。つまり相手が唐揚げを注文する可能性は高い!

 

 

 いや~、どれも美味しそう。種類も豊富で迷うな…。

 全然決められないですね。

 

 

人間は、選択肢が多くなるほど冒険ができなくなる心理傾向があります。

今回は意図的にメニュー数が多い居酒屋をチョイス。

ゆえに、この場合も“定番物”である唐揚げが頼まれることは必定!

 

 

  (ククク…いいぞ…。ここまでプラン通り)

 

思わず零れる笑み!

普段は頭を使わないアホの生活を送っているので、相手にバレずに策を展開するってマンガの主人公みたいで気持ちいいですね…。

 

 

その後も、追撃の手を緩めません。

 

  ま、いろんなページを見ましょう。

 

ペラッ

 

 あ、でも~、さっきの(唐揚げがあった)ページもいいですよね~。

 

攻める…

 

 

ペラッ

 このページもぉ~、いいけどもぉ~。

 

攻める…!

 

 

 

 やっぱぁ~このページとかもぉ~有りよねぇ~~。

 

攻める!

 

 

何度も目に触れたり聴いたりした対象は、次第に好感度や印象を持ちやすくなる心理です。

この場合、唐揚げの写真を何度も見せることによって無意識下に唐揚げの存在を植え付ける。

 

  ページめくりすぎじゃない?

  落ち着いてメニューを読ませてくれ。

 

 

そのあと、ゆっくりメニューを見てもらいました。

 

 (フフフ…心理作戦によって君たちの心は“唐揚げ一色”のはず。唐揚げを注文したくて仕方ないよね?)

 (さぁ…心の赴くままに唐揚げを頼むがいい!)

 

 店員さんも来そうだし、そろそろ決めましょうか!

  よしっ!

 

 

 折角だし、高くて普段は食べれない物を注文しちゃお。 馬刺しユッケで!

 いいですね!

 

 

あれ?!

 心理誘導によって唐揚げが頼まれるはずが、全く違うメニューが選ばれました。あれ!?

 

 (心理効果が効いてない? なんで!?)

 (あ! もしかしてコイツら…)

 

 

“喰う側の人間”か!

 

 

単純な商品の価値だけなく、値段や希少性が本来の価値を高める心理作用。

この場合…「味や内容より、高いメニューから頼んだ方が良い! 値段が高い=良い物だから!」

 

 (この居酒屋の支払いは経費だから、遠慮せずに高い物を喰う人間か…!)

 

まさかの誤算。彼らが金に目が眩むことを考慮していませんでした。

 

 

 じゃあ僕はモッツァレラフライを頼んじゃおうかな。

(いや、気持ちはわかる! 俺も他人の金ならバンバン高い物を頼む! でも今は唐揚げを…! )

 馬刺しも高そうだしいっとくか。

 (馬刺し率! 待って待って! 唐揚げを頼んで!)

 

 

 頼みすぎても店員さんに迷惑かかるし、ここら辺でストップしておくか。

 (あ゛~~~~!)

 

 

初手、唐揚げ来ず

 

 

 わっ、美味そ!

 (「わっ」じゃないよ! いや、もちろん料理は美味そうだけど!)

 

 

 

 (ユッケ激烈に美味ぇけども!!!)

 

人はガチガチに固めた計画が崩れた瞬間ほど脆くなるもの。

飲み会スタート → まずは心理学を使って唐揚げを頼ませる → いえーい!

を想定していたので、軽いパニック状態に陥ります。

 

 

 (プランを修正しなければ! えっと…え~っと!)

 じゃあ本題に移りますか。居酒屋の好きなメニューについて語るんだよね。

(ヤベ…! 嘘の企画を忘れてた!)

 やってきましょう!

 

 

(いま別の情報を出さないで! 脳の処理が追いつかんくなるから! )

 俺から発表しちゃおうかな! じゃん!

(ちょっと待って! )

 

 

ちょっと待って!

せっかく書いてくれたけど、それ嘘の企画だからどうでもいい! ていうかニッチな料理を一位に据えるな。

 

 なるほど~。僕はベタですけど、こんな感じかな。

 

 

知ったこっちゃねぇ!

つくね知ったこっちゃねぇサーモン知ったこっちゃねぇダシ巻き卵も知ったこっちゃねぇ!

もちろんどれも美味いけど知ったこっちゃねぇ!

 

 

嘘の企画も並行していかねばならず、思考が混乱します。

 

 

なんとしても唐揚げを頼ませたい

企画の目的はあくまで「唐揚げ食べていいよ」と言わせること。

…しかし、このまま自分から唐揚げを頼むのはなんか悔しい。慣れない勉強を頑張った分、なんとしてでも心理学で唐揚げを頼ませてやります。

※この様な非合理的な思考選択を心理学では「認知バイアス」と言います。

 

ぜってー、唐揚げ頼ませたる!

 

 

「居酒屋あるあるを語ろう」という体で、同席者の潜在意識に唐揚げのイメージを植え付ける「サブリミナル作戦」に。

 

 最初の議題はこれ! この写真をよ~く見て語ろう。 よ~く見てよ?!

 う~ん。正直、俺はかけられるの気にならない派かなぁ。

 好みの問題ですしね。それよりも自分は、レモンをかける前は必ず周りの人に確認を取る…という意識を心がけていきたいです。

  うんうん。よしっ、じゃあ次のトークテーマにいきましょう。

 え、もう終わりなの?

 

あくまでトークは二の次。サブリミナル効果で唐揚げの画像を見せまくります。

 

 

「一枚に唐揚げの写真が複数ある」画像を見せたり…

 

 僕だったら「盛り合わせ系」にします。 いろんな種類が1つの皿に出てくるので、上司の好みにも対応しやすいです!

 「今日のオススメ」を頼んで、上司と会話を生み出すっていう作戦もあるよね~。

 OK。次いこう!

 だから早くない? なんで?

 議論させる気ないだろ。

 

 

果てには、トークテーマは「焼き鳥」なのに背景は「唐揚げ」という荒業にも出ます。

ここまで不自然に唐揚げを押すのはリスキーですが、そうも言ってられません。

 

 

 ん…? ちょっと待てよ。この画像、なんか変じゃね?

 (やばい…! 流石に攻めすぎたか!?)

 

 キッチンペーパーの油シミが気になるな~。

(そこはどうでもいいんだよ!)

 

全ッ然うまくいかん!飲み会を開始して30分、用意してきた心理作戦がことごとくハマりません。

 

 

にっちもさっちも行かなくなったので、企画の全てを把握している撮影者に「カメラマンさんも何か頼みたくないですか!? なんでもいいですからね !」とお願いして唐揚げを頼んでもらいました。

ここまでの時間なんだったの?

 

 

「唐揚げ食べていいよ」と言わせたい

唐揚げが来た!

 

あくまでもゴールは、相手から「唐揚げ食べていいよ」と言わせること。

序盤は失敗の連続でしたが、ここから挽回していけばいいのです。

 

 

人は他人から施しを受けたら「自分もお返しをしなければ(返報性)」という心理になります。

 

①唐揚げ以外のメニューのラスト一個を譲っておく

②唐揚げのラスト一個は自分に譲ってもらう作戦!

 

よし。さりげなく2人の会話に混ざりながら、「その最後の一個食べていいよ」と言うぞ。

 

 

 (フライの一個が残ってる…! 「それ食べていいよ」と言うぞ…)

 

 

 でさ~、Netflixでデジモンtri.って作品があるんだけどさ~。

 (あぁ…!)

 へ~。

 

 

 ……。

 

 

 あ! 厚焼きたまごも食べちゃってい…

 最近、アップルウォッチをライター友達のヤスミノさんに売ってもらたんですよ。本当に便利で~。

 へ~、いいなぁ~。

 

 

 …。

 

友達と2人きりなら全然話せるんですけど、その場が3人以上になると途端に会話に入れなくなる現象。

世の人見知りの10割がこの事態に苦しんでいます(僕調べ)。

あぁ、こんな事なら日頃からもっと対人コミュニケーション頑張っておくんだった…。

 

 

…っていうか、

 

ことごとく上手くいかない!

 

どの作戦も全ッ然ハマらん! 心理効果がバチバチに決まってるハズだったのに…。あんなに勉強したのに!

 

ボッケナス――――!!!

戦況は八方塞がり。もはや、なす術は無しなのか…。

 

 

 どうした…? 泣いてるの…?

 あっ、ごめんごめん。泣いてな……

 

“泣く”!?

 

 

弱い立場、不利な立場な人を、同情で応援したくなる心理。

 

要するに“泣き落とし”。弱い自分を演じて、同情で唐揚げを貰う作戦。

もう俺にはこれしかない!

 

 

 いやー、話は変わるけど、2人はすごいよ…。

 急にどうした!?

 

 

 本当にすごいよ二人とも。毎日、朝起きて、ご飯食べて、外に出て…あとは…いろいろ頑張ってるじゃん※バーナム効果

 持ち上げが雑だなぁ。

 

 俺なんか本当に駄目だよ※内的帰属。昼過ぎに起きて、気付いたら夜になってる生活の繰り返しで…※自己開示

 仕事も全然上手くいかないし、後輩ライターにもどんどん抜かされてさ…。今まで秘密にしてたけど※隠ぺい領域の開示これまでの人生も何一つ成功したことなくて…

 俺ってやつは…ほんと俺ってやつは…

 

 

俺ってやつはよう!!!(泣)
※自己卑下的呈示

 

もちろん、これは嘘泣き。あくまで同情を誘い唐揚げをゲットする作戦…。

 

…のはずが。

 

本当に泣いちゃいました

 

頑張って準備した作戦は全て失敗。

酔いも回り、心境を吐露してる内になんか普通に泣いちゃいました(なんで?)。

 

唐突に自分語りを始めて急に泣き出す。

こんな奴、俺だったら絶対同じ席に座りたくない。

とはいえ、“嘘”より“真実”に勝るものはありません。

 

 

気づけば唐揚げも残り1つ。

用意した弾も全て打ちつくし、これが唐揚げを手に入れるラストチャンス!

 

 

 落ち込むなって! お前だって頑張ってるよ!

 うう…(泣)ありがとう(泣)

(「唐揚げ食べなよ」と言ってくれ!)

 

 

 そうですよ! エビの揚げ物を食べて元気だしてください!

 らむ屋敷さんもありがとうございます(泣)

(「唐揚げ食べなよ」と言ってくれ!)

 

 

 エビもめちゃくちゃ美味~(泣)

 

 (「唐揚げも食べていいよ」と、言ってほしい~~~~~~~~)

 

 (頼む~~~~~~、神様~~~~~~~~)

 

 (お願い~~~~~~~~~~~~~~~~)

 

 

 

―――無論、この世界に神など居ない

 

ロマンも愛も確率論に何の影響も及ばさない…奇跡などない

 

 

 

だが、努力と思考を積み重ね行動した者たちには、必ずや与えられる唐揚げがある!!

 

 

かぐや様は告らせたい 5巻 102-103p

 

 (お願い~~~~~~~)

 

 あっ。そういえば僕、甲殻類アレルギーなんですよ。なので、僕の分のエビも食べてください!

 そうなんだ。それなら、唐揚げ最後の一個食べちゃいなよ!

  よっしゃ! いただきます!

 !?

 

 

 !?!?!?!?!?!?

 

 

 !?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

 

 

やっぱ唐揚げうめ~。

 !?!?!?!?!?!?

 

 

終了しました。

 

事前のリサーチ不足でした。っていうか甲殻類アレルギーだと知らず、エビ頼んじゃってごめんね。

 

 

まとめ

検証が終了したので、協力者に本来の企画内容を説明します。

 

 …という企画だったんです。飲み会を利用して、勝手に2人を巻き込んでごめん!

 最初から「なんか変だなー」とは思ってた。

 …マジ?

 「居酒屋の好きなメニュー」で全然話を広げないし、挙動も不自然でしたしね。

 めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど…。

 「あ、こいつ別の意図があるんだな。でもなんか頑張ってるし、最後まで見守ろう」と静観してたよ。

  死にたいので帰ります。

 

 

というわけで、

 

 

 

ご飯はごちゃごちゃ考えず、楽しく遠慮せず食べよう!

 

 

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「かぐや様をすごく語りたい」