書けるひとになる! 魂の文章術

全米100万部著者が説く、第一の思考の重要性

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたに贈る「書けるひとになる! 魂の文章術」は何度も読みたくなる 楽しい文章読本だ。ベストセラー作家にして40年にわたってライティングを教え続けている著者自身や生徒たちの実体験を踏まえ、<どうすれば書けるか><書き続けられるか>を伝授する。

文章修行の基本は、制限時間を決めて行なう練習だ。十分でも二十分でも一時間でもいい。それはあなた次第。最初は短い時間から始めて、一週間したら時間を延ばそうという人もいるだろうし、最初から思い切って一時間とる人もいるだろう。時間の長さはたいして問題じゃない。たいせつなのは、何分、何時間であれ、自分が決めた練習時間のあいだは完全に没頭することだ。

次に、書く際のルールを挙げよう。

1.手を動かしつづける(手をとめて書いた文章を読み返さないこと。時間の無駄だし、なによりもそれは書く行為をコントロールすることになるからだ)。

2.書いたものを消さない(それでは書きながら編集していることになる。たとえ自分の文章が不本意なものでも、そのままにしておく)。

3.綴りや、句読点、文法などを気にしない(文章のレイアウトも気にする必要はない)。

4.コントロールをゆるめる。

5.考えない。論理的にならない。

6.急所を攻める(書いている最中に、むき出しのなにかこわいものが心に浮かんできたら、まっすぐそれに飛びつくこと。そこにはきっとエネルギーがたくさん潜んでいる)。

以上のことはぜったい守ってほしい。というのも、この練習の目的は、じゃまなものを焼き払って“第一の思考”—エネルギーがまだ世間的な礼儀や内なる検閲官によってじゃまされていない場所—にたどり着くこと、言いかえれば、こう見るべきだ、感じるべきだと考えていることではなく、実際に自分の心が見て感じることを書くことにあるからだ。ものを書くことは、自分の心の奇妙な癖をとらえるまたとないチャンスだ。むき出しの思考のぎざぎざした縁を探索しよう。ニンジンをおろすように、紙の上にあなたの意識という色とりどりのコールスロー〔キャベツの千切りサラダ〕をぶちまけよう。

第一の思考には途方もないエネルギーがある。第一の思考は、心がなにかに接してパッとひらめくときに現れるものだ。しかし、たいてい内なる検閲官がそれを押しつぶしてしまい、私たちは第二、第三の思考の領域、思考についての思考の領域で生きている。最初の新鮮なひらめきからは二倍も三倍も遠ざかったところで生きているのだ。たとえば、「私は喉からヒナギクを切り取った」という文句がとつぜん心に浮かんできたとしよう。すると、1+1=2の論理や、礼儀正しさ、恐れ、粗野なものに対する当惑などを仕込まれた私の第二の思考はこう言う。「ばかばかしい。自殺してるみたいじゃない。喉をかき切るところなんか人に見せちゃいけない。どうかしたんじゃないかと人に思われるわ」。こうして検閲官の手に思考を委ねてしまうと、こんどはこんなふうに書くことになるだろう。「喉が少し痛んだので、私はなにも言わなかった」。正確、そして退屈だ。

第一の思考はエゴにじゃまされることもない。エゴとは、統制のとれた状態に自分を置こうとする働き、世界は堅固で永続的で論理的であることを証明しようとする働きだ。世界は永続的ではなく、たえず変化しており、人々の苦しみに満ちている。だから、もしエゴに支配されていないものを表現すれば、それもまたエネルギーに満ちあふれている。なぜなら、それはものごとのありのままの姿を表現しているからだ。そのとき、あなたは表現の中にエゴという重荷を持ち込んでいるのではなく、しばらくのあいだ意識という波に乗っているのであり、自分独自のディテールを使ってその波乗りを表現しているのだ。

坐禅をするときは、坐蒲の上に坐って足を組み、背筋をまっすぐ伸ばし、手は膝の上に置くか、体の正面で印を組む。白壁に向かい、自分の息を見守る。怒りや抵抗の大嵐が吹き荒れようと、喜びや悲しみの雷雨がやってこようと、どのような感情にもとらわれず、背筋をしゃんとして足を組んだまま、壁に向かって坐りつづける。やがて、どんなに大きな思考や感情が湧いてこようと、振りまわされないようになる。それが修行だ。つまり、坐りつづけるということ。

ものを書く場合にも同じことが言える。第一の思考に触れて、そこからものを書くとき、あなたは偉大な戦士でなければならない。とりわけ最初のうちは、すごい感情とエネルギーを感じて、それに吹き飛ばされてしまうかもしれないが、書くのをやめてはいけない。ペンを動かしつづけて人生のディテールを書きとめ、その核心にあるものをつかみなさい。初心者のクラスではよく、自分の書いたものを読みながら泣き崩れてしまう人がいる。それは悪いことじゃない。書きながら泣く人だっているのだから。けれども私はみんなに、涙の真っただ中を書きつづけ、あるいは読みつづけて、感情に振りまわされない地点にたどり着きなさいと言っている。涙の地点で立ちどまってはだめだ。それを通り抜けて真実をつかもう。修行とはそういうものだ。

第一の思考がそれほど力強いことの理由としては、それが新鮮さとインスピレーションに関係しているということもある。インスピレーションとは「息を吸い込むこと」を意味している。神を吸い込むこと。それによってあなたは実際自分自身よりも大きな存在となり、そのとき第一の思考が現れてくる。第一の思考とは、現に起こっていることや感じられることを覆い隠すものではない。それは現在の瞬間に途方もないエネルギーを吹き込むものであり、あるがままのものなのだ。

瞑想の合宿から戻ってきた仏教徒の友人は、こんな話をしてくれた。「瞑想のあと、前よりずっと色が生きいきと見えてきました」と彼女が言うと、師はこう答えたという。「あなたが現在にいるとき、世界は真に生きいきとするのです」。

書けるひとになる! 魂の文章術

N・ゴールドバーグ,小谷啓子
扶桑社
2019-11-02

この連載について

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ナタリー・ゴールドバーグ

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたも、“書けるひと”になれる! 何度も...もっと読む

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