ひょうご経済プラスTOP 経済 抱きつきた~い 女性社員が開発した注文殺到の布団袋

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抱きつきた~い 女性社員が開発した注文殺到の布団袋

2019.11.26
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ドラえもんを愛情たっぷりに見つめる開発者の田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

ドラえもんを愛情たっぷりに見つめる開発者の田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

押し入れで寝ている姿がかわいらしいとインターネットで話題になった商品写真(フェリシモ提供)

押し入れで寝ている姿がかわいらしいとインターネットで話題になった商品写真(フェリシモ提供)

ネットで話題のドラえもん布団収納袋を抱きしめる開発者の田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

ネットで話題のドラえもん布団収納袋を抱きしめる開発者の田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

オフィスの椅子に座らせても、やっぱりやっぱり愛くるしいドラえもんの布団収納袋=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

オフィスの椅子に座らせても、やっぱりやっぱり愛くるしいドラえもんの布団収納袋=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

仕事の合間にぺらぺら。商品開発の一環でドラえもんのコミック本を読む田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

仕事の合間にぺらぺら。商品開発の一環でドラえもんのコミック本を読む田中桃子さん=神戸市中央区浪花町、フェリシモ

 「この商品考えた人、天才すぎる」。ドラえもんが押し入れで休むかわいらしい姿が、ツイッターなどで大きな話題を呼んだ通販大手フェリシモ(神戸市中央区)の布団収納袋。11月中旬のお届け予定が、注文が殺到して追加生産となり、現在の受注分は発送が1カ月ほど遅れるという人気ぶりだそう。開発したのは生活雑貨事業部の田中桃子さん(33)。自らを「ドラ女子」と称し、日々「ドラ活」に励む。やはり、期待通りのドラえもんファンでした。(中務庸子)

 「1番好きな話はコミック3巻の『あやうし!ライオン仮面』。漫画家の『フニャコフニャ夫』のキャラクターが憎めない上、タイムパラドックスというオチが最高です」

 4歳年上の兄の影響で中学生の頃からドラえもんのコミック本にはまり、今でも仕事の合間にページをめくる。大人になったからこそ心にしみる名言がドラえもんの魅力だという。長編アニメも好きで、季節に応じて見たくなる映画があるというから驚きです。

 「最近寒くなってきたからかなぁ。先日は、映画『ブリキの迷宮』で、ジャイアンとスネ夫がサンタクロースに助けてもらうシーンが見たいなぁと思って、仕事帰り、レンタルDVD店に直行しましたよ」

 そんな田中さんが上司に初めて直談判して取り組んだのが、この布団収納袋だった。

 「2013年に中途入社して、年間30種類の商品を開発しているんですが、いつかドラえもんグッズを手がけたいと、チャンスをうかがっていました。布団収納袋は、1人暮らしの自宅の押し入れで、ドラえもんが待っていてくれたら…という私の願望から着想しました。いい大人なんですけどね。道具なんて出さなくていいから、ただ、そばにいてほしいじゃないですか」

 でも、開発は一筋縄ではいかなかった。

 「ドラえもんの大きさって知ってますか? 公式では身長、頭回り、胴回りのいずれも129・3センチ。でも実寸大で設計すると、とんでもなくデカいんですよ。押し入れを開けた時の、ほっとするサイズ感を重視して、自分が思い描く感覚を元に全長を103センチと定めました。完全に主観です」

 イメージ画を作り、それを元に協力メーカーにサンプルを作ってもらった。

 「届いたサンプルを見てびっくり。腕やひげが短かったり、頭やポケットが小さかったり、逆に鼻が大きすぎたり…。絶妙なバランスが整わないと、ドラえもんの愛くるしさは出ないんですね。5、6回やり直して、8カ月がかりで完成しました」

 発売は10月17日。お客さんの反応はすごかった。

 「子ども向けよりも、大人が自分のために注文している傾向が強いんです。自分と同じ気持ちの人がこんなにいるんだ~と思ってうれしかった。疲れた時やつらい時、『ドラえも~ん』って抱きつきたくなる。人間誰しも、のび太的な部分があるんですよ、きっと」

 ネットでバズったあの写真は?

 「『せっかくだから商品画像は押し入れで撮影したら面白いんじゃない』という先輩の助言で、同僚の家の押し入れを借りて撮影しました」

 え?! 田中さん家じゃないの?

 「そうなんです。お恥ずかしながら、自宅の押し入れはものがいっぱいで…。ドラえもんが届くまでには、何とか片付けたいと思っています」

 そうですね。でも、焦らず、ゆっくり片付けてください。のび太も言ってましたよね。“のんびり行こうよ、人生は”って。