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【社会】

「日本も条約批准を」◆「未来につながる問題」 首都圏の被爆者ら

 首都圏の被爆者たちからも歓迎の声が上がった。

 二〇一七年十一月にローマ教皇に謁見し核兵器廃絶を訴えた日本原水爆被害者団体協議会の和田征子事務局次長(76)=横浜市=は「『核兵器の開発はテロ行為』との言葉があった。『核兵器の保有も非難されるべき』と話したバチカンの時よりも強いメッセージだと感じた」と感慨深げだ。一歳のときに長崎で被爆。その長崎でのスピーチを自宅のテレビで見て「核兵器は被爆者だけの問題ではなく、子どもや孫など未来につながる問題だと世界に伝わってほしい」と期待を込めた。

 長崎市出身の被爆三世でNPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」(東京)理事の岡山史興さん(34)も「長崎を最初の訪問地に選んでくれたことがうれしい」と喜ぶ。核廃絶を訴える「高校生一万人署名」の立ち上げメンバーの一人で、高校生平和大使として国連に署名も届けた。「(カトリック信徒)十二億人のトップが長崎でメッセージを出したインパクトは大きいのでは」と願う。

 四歳のとき広島で被爆した鎌倉市被爆者の会(いちょうの会)会長の網崎万喜男さん(79)は、ローマ教皇の演説に「自分たちと全く同じ気持ちでいてくれると分かった。涙が出るくらい感激した」と語る。核兵器禁止条約を批准していない日本で、核廃絶の機運が高まることを切望する。

 父親が広島で被爆した被爆二世で、神奈川県原爆被災者の会で活動する川崎市多摩区の森川聖詩さん(65)は演説を歓迎しつつも「教皇が来て良かったね、で終わらせてはいけない」と自戒する。他人任せではなく「日本政府に核兵器禁止条約を批准させるためにどうすれば良いのか、個人個人が考えなければならない」と力を込める。 (石原真樹)

 

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