ガウス記号:
実数 に対して, なる整数 がただ一つ存在するので,その を と書く。
例:,,
ガウス記号,フロアー関数,床関数,整数部分,など様々な呼び方があります。また, ではなく と書くこともあります(むしろ大学入試では後者の記号を用いることが多い)。
ガウス記号の定義について
であることは以下のようにいろいろな言いかえができます。最初は以下の4つのうち一番しっくりくる日本語で定義を覚えるとよいでしょう。
1: は整数で を満たす。
2: は の整数部分である。
3: の切り捨てが である。
4: は を超えない最大の整数である。
例えば,,, などとなります。
4つのどの言葉で登場するかは問題によりますが「切り捨て,整数部分」などの言葉が出てきたらガウス記号を連想しましょう。ただし,実際に問題を解くときはほとんどの場合,1の不等式を使うことになります。
ガウス記号に対して苦手意識を持っている人は多いですが,ガウス記号にまつわる問題は丁寧に場合分け&簡単な不等式処理で解けることが多いです。
ガウス記号とグラフ
ガウス記号に慣れるために のグラフを描いてみます。
- のとき
- のとき
- のとき
などに注意すると, のグラフは図のようになります。
同様に, などのもっと複雑な関数のグラフも,場合分けがめんどくさくなりますが,丁寧に場合分けすればかくことができます。
ガウス記号の3つの性質
ガウス記号には様々な性質がありますが,特に以下の3つは覚えておくとよいでしょう。
は任意の実数, は任意の整数。
性質1:
性質2:
性質3:
性質1は「 の整数部分は の整数部分に を足したもの」という意味であり,明らかです。 のグラフからも分かります。
性質2も「二つの数を足してから切り下げたもの」は「二つの数を切り下げてから足したもの」以上であるというのは明らかです。性質2のエレガントな応用例として,連続するn個の整数の積と二項係数があります。
性質3は後できちんと証明します。
ちなみに,これは以下のように一般化できます:
性質3’:
( は任意の整数)
ガウス記号の性質3の証明
を証明します。ガウス記号の問題は丁寧に場合分けするのみです。
証明
・まず, の場合に証明する。
のとき,左辺も右辺も となるのでOK。
のとき,左辺も右辺も となるのでOK。
・一般の に対して証明する。 の整数部分を ,小数部分を とおくと であり,ガウス記号の性質1より,
ところが,さきほど示したことより なので両者は一致する。