最終更新:2017/01/26

ガウス記号の定義と3つの性質

分野: 整数問題  レベル: 最難関大学

ガウス記号:
実数 x に対して,nx<n+1 なる整数 n がただ一つ存在するので,その nx と書く。
例:2.1=23=32.3=3

ガウス記号,フロアー関数,床関数,整数部分,など様々な呼び方があります。また,x ではなく [x] と書くこともあります(むしろ大学入試では後者の記号を用いることが多い)。

ガウス記号の定義について

x=n であることは以下のようにいろいろな言いかえができます。最初は以下の4つのうち一番しっくりくる日本語で定義を覚えるとよいでしょう。

1:n は整数で nx<n+1 を満たす。
2:nx の整数部分である。
3:x の切り捨てが n である。
4:nx を超えない最大の整数である。

例えば,2.1=23=32.3=3 などとなります。

4つのどの言葉で登場するかは問題によりますが「切り捨て,整数部分」などの言葉が出てきたらガウス記号を連想しましょう。ただし,実際に問題を解くときはほとんどの場合,1の不等式を使うことになります。

ガウス記号に対して苦手意識を持っている人は多いですが,ガウス記号にまつわる問題は丁寧に場合分け&簡単な不等式処理で解けることが多いです。

ガウス記号とグラフ

ガウス記号のグラフ

ガウス記号に慣れるために y=x のグラフを描いてみます。

  • 0x<1 のとき y=0
  • 1x<2 のとき y=1
  • 1x<0 のとき y=1

などに注意すると,y=x のグラフは図のようになります。

同様に,y=x+2x+3x などのもっと複雑な関数のグラフも,場合分けがめんどくさくなりますが,丁寧に場合分けすればかくことができます。

ガウス記号の3つの性質

ガウス記号には様々な性質がありますが,特に以下の3つは覚えておくとよいでしょう。

x,y は任意の実数,N は任意の整数。
性質1:x+N=x+N
性質2:x+yx+y
性質3:2x=x+x+12

性質1は「 x+N の整数部分は x の整数部分に N を足したもの」という意味であり,明らかです。 y=x のグラフからも分かります。

性質2も「二つの数を足してから切り下げたもの」は「二つの数を切り下げてから足したもの」以上であるというのは明らかです。性質2のエレガントな応用例として,連続するn個の整数の積と二項係数があります。

性質3は後できちんと証明します。
ちなみに,これは以下のように一般化できます:
性質3’:nx=k=0n1x+kn
n は任意の整数)

ガウス記号の性質3の証明

2x=x+x+12 を証明します。ガウス記号の問題は丁寧に場合分けするのみです。

証明

・まず,0x<1 の場合に証明する。
0x<12 のとき,左辺も右辺も 0 となるのでOK。
12x<1 のとき,左辺も右辺も 1 となるのでOK。

・一般の x に対して証明する。 x の整数部分を N,小数部分を α とおくと x=N+α であり,ガウス記号の性質1より,
2(α+N)=2α+2N=2α+2N
(α+N)+(α+N)+12=α+α+12+2N
ところが,さきほど示したことより 2α=α+α+12 なので両者は一致する。

読者の方にはいつもお世話になっておりますm(_ _)m