オバマ前大統領、ネット上の過激な批判カルチャーを非難「世の中は変わらない」

Scott Olson/Getty Images

オバマ前大統領は、若者がインターネット上で他者を徹底的に批判する現代の風潮に対し「あれは行動主義ではない。こんなやり方では世の中は変わらない」と非難した。

バラク・オバマはネット上の“コールアウト・カルチャー”が気に入らない。

※註:「コールアウト・カルチャー」とは、アウトレイジ・カルチャーとも呼ばれ、物議をかもす発言をした当事者を責め立ててその責任を課すこと。ソーシャルメディアでセレブリティを対象に行われることが多く、ボイコットへと進む頻度も高い。このボイコットして相手を活動停止に追い込むことをキャンセル・カルチャーとも呼ぶ。

10月29日にシカゴで行われたオバマ財団のイベントで、オバマ前大統領は若者の間に広がっているある欲望について明確な意見を述べた。この欲望とは、オンラインで他者を非難するという手段で、自分が十分に「ウォーク」(※註:社会的不公平や人種差別に敏感であること)だと証明したい強い思いである。「この純粋さを重んじる考え、自分は決して妥協しないという態度、自分は常に政治的にウォークだという思い込みは、早々に忘れるべきだ」と言って、オバマ氏は笑った。「世界は厄介な状況だ。いくつもの両義性が存在する。真に善い行いをしている人にも欠点はある。君たちが争っている相手にも愛する子供がいるだろうし、君たちと共通することも確実にあるはずだ」と。

そして、この問題を「行動主義」と結びつけて、次のように続けた。

「最近は特定の若者がこのカルチャーに毒されていて、ソーシャルメディアを通じてますます過激になっていると感じることがある。つまり、『俺はできるだけ他人を非難して、相手にいい加減にしろと言い放って、世の中を変える。あいつの行いは間違っているとか、あいつは文法すら知らないで喋っているとツイートしたり、ハッシュタグしてやるんだ。世の中のために良いことをした俺は気分が良くなって、あとは傍観者を決め込む。なあ、俺ってものすごくウォークだろう? だってアンタをこれだけ非難したんだから。じゃ、俺はテレビでお気に入りの番組でもみるかな』というような態度だ。こんなものは行動主義じゃない。こんなやり方で世の中を変えることなどできない。そうやって気に入らないものに石を投げつけているだけなら成功には程遠い」

Translated by Miki Nakayama

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オバマ夫妻、フロリダ乱射事件生存者の高校生たちへ心温まる手紙を送る

フロリダ州パークランドの高校で銃撃事件の生存者に宛てて心のこもった温かい言葉を送った、バラクとミシェルのオバマ夫妻 (Photo by Ron Sachs-Pool/Getty Images)

バラクとミシェルのオバマ夫妻は、2018年3月の初めにフロリダ州パークランドの高校で発生した銃撃事件の生存者に宛てて、心のこもった手紙を書いた。「お互いを助け合い慰め合うと同時に、あなた方はこの国の良心を呼び覚ましたのです」と、前大統領とファーストレディは語った。

2018年3月初め、フロリダ州パークランドの高校で銃撃事件が発生した。バラクとミシェルのオバマ夫妻は、事件の生存者に宛てて心のこもった温かい言葉を送った。

デジタルニュースMicは、2018年3月10日付けの夫妻による手書きの手紙のコピーを入手した。手紙の中で前大統領とファーストレディは、銃撃を受けた高校生たちを称えた。「言葉では言い表せないほど恐ろしい悲劇に直面したあなた方の回復力、解決力と結束力に心を打たれました」

「お互いを助け合い慰め合うと同時に、あなた方はこの国の良心を呼び覚ましました。さらに、この国の最優先事項である子どもたちの安全を、意思決定者たちへ強く求めたのです」

オバマ夫妻は、高校生たちがより厳しい銃規制法を求める行動を起こしたことを支持した。3月24日には、ナショナル・ウォークアウト・デイや、マーチ・フォー・アワ・ライヴズなどの抗議集会が予定されている。

「我が国の歴史の中では、あなた方のような若者が、アメリカをより良くするため先頭に立って牽引してきました」と夫妻は書いた。「思うように事が進まず、頓挫することもあるでしょう。でも、私たちは信じています。あなた方は将来へ向けて、ずば抜けた力を発揮しようとしています。私たちはいつでもあなた方を支援します」

今回の手紙に先立ちバラク・オバマは、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で発生した銃撃事件で17人が殺害されてから8日後の2月22日、自身のツイッターに投稿している。「我が国の大きなムーヴメントは、若者が大きな役割を果たしてきた。スマートで恐れを知らない多くの学生たちが、世界をあるべき姿に作り直すために行進し、集結している。彼らが自分たちの安全を求めて立ち上がるのを再び目にするのは、どんなに感動的だろう。我々はずっと、君たちのような若者を待っていた。そして我々は、君らをいつでも後押しする」


Mic

Translation by Smokva Tokyo

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