これまで、オブジェクトの編集・移動・変形などの説明してきましたが、ここでは、「パスの編集」や「パスオペレーション(複数パスから新しいパスを)」「パスエフェクト(変形)」について説明します。
例1 パスの編集 文字をパスに変換して変形した例
例2 パスオペレーション 円を切断した例
例3 パスエフェクト パターンを曲線に配置した例
パスを編集する
パスの編集は、ノードや方向線を操作することにより行います。ノードの編集は、オブジェクトの編集方法とほとんど同じです。
ノードの選択
マウスがパスの上にくると、一定時間、パスのアウトラインが表示されます。(Inkscapeの設定 → ノード で変更できます)
ノードの追加・削除・移動
<ノードを選択して>
セグメントのサイズ変更
<セグメントを選択して>
セグメントの回転
<セグメントを選択して>
回転の中心は、選択したセグメント(ノード)の中心です。マウスをノードに置く(赤)と、そのノードが中心になります。
方向線を変える
<ノードを選択して>
<キーボード操作で>
方向線の編集で、CtrlキーとAltキーを使いますが、キーボードの右側と左側のキーで機能が違います。右側のキーで右のハンドル、左側のキーで左のハンドルを変更します。(シンメトリックポイントの場合には無効です)
Ctrlの代わりにAltを使うと、方向線は、1スクリーンピクセル変化します。
Ctrl、Altキーにより、右方向線のみ、左方向線のみの回転
ツールコントロール
ノードツールをクリックすると、ツールコントロールが表示され、いろいろな編集が可能です。
ノードやセグメントの追加・削除
ノードのタイプを変更する
ノードには、コーナーノード、スムーズノード、シンメトリック(対称)ノード、自動スムーズノードの4種類があります。ノードごとに設定することができます。
セグメントを編集する
パスに変換する
ノードの整列
整列させたいノードを選択 → メニューバー「オブジェクト」 → 整列/配置
ダイアログが表示されます。その下部に、ノードの整列メニューがあります。
それぞれ、「水平に」、「垂直に」、「水平均等に」、「垂直均等に」に整列できます。
ノードの方向線等の表示やノードの変形
パスの編集例
例1 コピーを作りながらノードを移動します。
左 ベジェ曲線を描きました。
中 中のノードを選択して、スペースキーでコピーしながら、右上にドラッグしました。
右 できたパスのフィルをつけ、ストロークはなしにしました。
例2 長方形の矩形をゆがませます。
左側 四角形(パスにします)と直線で描き、連結しています(メニュバー「パス」 → 連結) 右側 右側のノードをすべて選び、<キーで、ノード間の距離を縮める → ↑キーで上面を左と同じ高さに → [キーで回転
Sculpting node
ノードの編集に、Sculpting Node(彫刻する) という方法があります。
隣り合った複数のノードを選択し、Altキーを押しながら選択したノードの一つをドラッグすると、選択されているノードが移動します。その移動量は、ノードの位置により変化します。
ノードの選択・・・中心となるノードを選択 → マウスホイールを回転 が便利です。
例1 直線の変形
左 沢山のノードを持った直線です。(直線を描き、両端のノードを選択して、何回かノードの追加をクリックする)
中 すべてのノードを選択し、Altキーを押しながら、中間のノードを下にドラッグ
下 左側のノードを選択し、Altを押しながら、中間のノードを下にドラッグ
例2 文字の変形
1 文字ツールで入力した文字です。この文字を、パスの変換します。(パス → オブジェクトをパスに)
2 変形したい部分(この例では、左側パとンの一部とソ・コ)にあるノードを、一番下にあるノードを除いて選択 → Altを押しながらソのいちばん上のノードをドラッグ 右側も同様にしました。
3 2で、すべてのノードを選択した例です。(一番下のノードも含めて選択)
オフセット
パス全体を、内側(インセット)や外側(アウトセット)に、縮小・拡大することができます。 縮小・拡大 既定では2ピクセルです。
元のオブジェクトはパスに変換されます。(リンクオフセットは除く)
オブジェクトを選択 → パス → インセット、アウトセット、ダイナミックオフセット、リンクオフセット
青がオリジナルの星です。小さな赤はインセット、大きな赤がアウトセットした結果です。
青がオリジナルの星です。ダイナミックオフセットを適用すると、オフセットハンドルが表示されます。(表示されない場合にはツールボックスのをクリックしてください)
オフセットハンドルを外側や内側にドラッグすると、角が丸まったパスが作れます。
適用後、オリジナルパスの編集はできません。
青がオリジナルの星です。リンクオフセットを適用すると、オリジナルとリンクされたコピーが作成されます。コピーには、オフセットハンドルが表示されますので、コピーのみ変更できます。オリジナルは編集可能で、変更すると、すべてのコピーに反映されます。
その他のパス編集
パスを選択 → メニューバー「パス」
選択されたパスを連結します。(複合パスの生成) 連結することにより、ノードの編集などの利便性が高まります。
連結されたパスを分離します。
オブジェクトをパスに変換すると、沢山のノードが生成されます。パスの形を大きく変えることなく、ノードの数を減らすことができます。(繰り返し適用できます)
パスの向き(始点からの順序)を逆にすることができます。線の方向が意味ある場合(例 線に矢印を付ける、線に沿って文字を配置する)に利用できます。
パスオペレーション(複数のパスから新しいパスを作る)
パスオペレーションは、重なっているパスを統合したり、重なった部分を分離したりして、新しいパスを作ります。この機能は、パスファインダーとも呼ばれます。
使い方 重なった複数のパスを選択 → メニューバー「パス」 → オペレーション(統合など)をクリック
最初に選択するパスはオブジェクトでも可能ですが、結果はパスになります。
複数のパスを一つにパスにします。不要なノードは削除されます。 スタイルは一番下のパスの値です。
下のパスから、上のパスと重なっている部分を切り取ります。 上のパスは削除されます。
複数のパスの重なっている部分のパスを作ります。
複数のパスの重なっていない部分のパスを作ります。
上のパスで、下のパスを分離します。上のパスは削除されます。
上のパスで下のパスをカットします。フィルは「なし」になりますので、ご注意ください。上のパスはなくなります。
排他 3つ以上のパスが重なっている場合には、塗りの「奇数・偶数ルール」が適用されます。基数の場合のパスが残ります。(「基数・偶数ルール」は、 をご覧ください)
パスをカットすると、フィルとストロークの色等は「なし」になります。この例では、カット後、ストロークに赤を設定し、わかりやすくするため少しずらしました。
利用例1 差分 リングの作成
左 中心を合わせた二つの円を描きます。(整列) 右 二つを選択し
利用例2 円の一部を切り出す
左 下の円の一部を切り出すための三角形(パスであればよい)を作る
真ん中 ふたつを選択し、 塗りがない状態になります。 あわてずに、選択されている状態で、カラーパレットをクリック(この例では青)
右 二つが選択されている状態なので、選択を解除、改めて左上の円弧を選択して、 カラーパレットで黒に指定
パスエフェクト(パスを変形する)
パスエフェクト(Live Path Effects・・LPEs)は、パスを一定のルールで変形する機能です。オリジナルパスは保存されますので、変形後でも修正し自動的に変形したパスに反映することができます。
パスエフェクトを適用する
パスを選択 → メニューバー「パス」 →
ボタン → パスエフェクトの追加ダイアログでエフェクトの種類を選択
複数のエフェクトを適用することができます。
エフェクトを適用した例
エフェクトリスト
適用されているエフェクトが表示されます。複数ある場合には、そのエフェクトは、リストの順に適用されます。(例 「曲げる」と「エンベロープ変形」が適用されています)
クリックすると、一時的に無効になります。
ノード編集アイコン
ノード編集アイコンをクリックすると、エフェクトのコントロールパス(緑色)が表示されます。
このパスを編集して、エフェクトを設定します。コントロールパスおよびノードは、通常パスと同様に編集できます。
ノード編集アイコンでクリックして、コントロールパスの両端ノードの方向線を編集しました。
コントロールパスに中間ノードの追加も可能です。
適用したパスをダブルクリック(または、ツールボックスのノードツールでクリック)すると、オリジナルのノードとパス(赤)が表示されます。ここでオリジナルの編集が可能です。(赤のパスが表示されない場合には、ツールコントロールのをonにしてください)
適用順序を変更します。
選択されているエフェクトを削除します。
すべてのエフェクトの削除
オブジェクトに適用されているすべてのエフェクトを削除する場合には、メニューバー「パス」 →
エフェクトのコピーと貼り付け
選択されているオブジェクトのコントロールパスを選択 → (コピー) → 貼り付けたい(置き換えたい)コントロールパスを選択 → (貼り付け)
オブジェクトに適用されたすべてのエフェクトを別のオブジェクトへ適用
パス効果が適用されたオブジェクトを選択 → コピー → 適用するオブジェクトを選択 → メニューバー「パス」 →
クリップボードのパスへリンク
リンク・・・既存のパスをコントロールパスとして使うこともできます。
既存のパスを選択 → メニューバー「編集」 → コピー → 適用するオブジェクトのエフェクト選択 →
適用したパスを通常のパスに変換
エフェクトを適用してもオリジナルパスは残っていて、編集可能です。エフェクトを適用したパスを通常のパスに変換するには、メニューバー「パス」 → で可能です。
エフェクトの種類
上下左右にゆがみます。(封筒のように)
2次元のグリッド(方眼)を作ります。
調査中です。
類似した曲線が繰り返し現れる文様を作成します。
サブパスの間に縫い目のような線を入れます。
サブパスの間にパスを作ります。
パスに沿ってスケッチラインを引きます。
螺旋を作ります。
パターンをパスに沿って配置します。
パス内部に手書き風の斜線を入れます。
調査中です。
ルーラ(目盛)を作ります。
パスを自由に曲げます。
結び目を作ります。
指定されたノードで歯車を作ります。
エンベロープ変形
グリッドの構築
コッホ曲線
サブパスのステッチ(縫い目)
サブパスの補完
スケッチ
スピロ スプライン
パスに沿ったパターンを作る
ハッチ(ラフ)
ルーラ
曲げる
結び目
歯車
2016.01