大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐され栃木県内で保護された事件で、伊藤仁士容疑者(35)=未成年者誘拐容疑で逮捕=が、女児が自宅を出る2~3日前、SNS(交流サイト)のメッセージで「半年くらい前に来た女の子がいる。しゃべり相手になって」と誘っていたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。
事件では伊藤容疑者の自宅にいた少女(15)も栃木県警に保護された。府警は24日にも同容疑者の身柄を府内に移送。詳しく事情を聴き、動機や経緯などを調べる。
府警によると、女児は11月10日ごろ、SNSで伊藤容疑者と知り合ったと説明。同容疑者は14~15日、「半年くらい前に女の子が家に来た。しゃべり相手になってほしい。うちに来ない?」とのメッセージを女児に送ったという。「女の子」は少女とみられる。
女児は17日午前10時半ごろ、住吉区内の自宅近くの公園で伊藤容疑者と待ち合わせ、大阪メトロ御堂筋線あびこ駅(同区)で地下鉄に乗車。その後、在来線を乗り継ぎ、栃木県小山市内の同容疑者の自宅に向かい、同日夜に到着したという。
女児は伊藤容疑者の自宅に到着後「スマートフォンを取り上げられた」と説明。23日午前10時ごろに逃げ出し、約3時間半後、約700メートル離れた小山市内の交番を訪れて保護された。靴ははいておらず「怖くなり、(同容疑者らが)寝ている隙に家から逃げた」と話しているという。
府警によると、伊藤容疑者は「女児を自宅まで連れて帰ってきた」と供述する一方、「誘拐しようと思ったわけではない」と話している。府警は同容疑者と少女との接点などを含め、さらに詳しい実態解明を進める。
女児は17日午前7時ごろ、自宅で朝食を食べていたのを最後に行方が分からなくなった。府警は19日夜に女児の顔写真などを公開し、延べ約360人態勢で捜索していた。