子どもを不幸にする日本の家庭裁判所

Japanese Family Courts make children unhappy. (English version is here)

Summary

概要

夫婦の不仲・離婚によって、子と親とが、会うことすらできない問題がある。日本の家庭裁判所(以下,家庭裁)はこの問題を解決するどころか、悪化させる方針を取り続けている。どの夫婦にでも起こりうるこの問題を、詳しく報告する。

この記事の対象者

  • 夫婦の方、これから夫婦になる方。誰にでも起こり得ることであり、起きてから調べても対処できません。私も自身がそうなるまでは、離婚問題は他人事であり、気にもしていませんでした。
  • 各種メディアの方、マスコミの方、ぜひ記事にして下さい。取材をお受けすることができます。専門家の弁護士もいます。この記事を書いた動機は、日本の家庭裁判所に自浄作用が無いことです。密室で行われている彼らの行為を正すには、民意しかありません。多くの方にこの問題を知っていただき、社会問題として真剣に議論していただきたいのです。

家庭裁の問題の概要

  • 「最初に」子どもを奪った親を、処罰しない。
  • 会えなくなった親子を会わせる「面会交流」に、非常に消極的であり、認める面会頻度が少ない。また強制力も無い。
  • 日本は単独親権であり、かつ、離婚裁判における親権は、「継続性の原則」により、直前に同居・監護している親側に与えられることが多い。

問題から生じる、子どもへの影響

  • 「先に子どもを奪う」ことが親に推奨される。
  • 仲直りする可能性がある夫婦も、闘争が推進される。
  • 子は、何の問題も無い親と、断絶される。
  • 子は片親のみとの交流となり、近年増加する虐待行為が発生しやすくなる。

(補足 1.) 離婚問題

annual changes of number of divorces in Japan

厚生労働省の人口動態調査によれば、平成29年(2017年)における婚姻数は 60 万 6866 組に対し、離婚件数は 21 万 2262 組であり、1/3は離婚すると言われている。

また厚生労働省の離婚に関する統計によれば、平成20年における離婚件数 25万1136組に対し、子どもありの件数が14万3834と、半数以上である。

全国ひとり親世帯等調査によれば、平成28年、子が離婚した親と面会交流を行っている率は母子家庭31.3%、父子家庭48.1%である。

(補足 2.) 面会交流調停の流れ

mediation in family courts

夫婦が別居となり、子と別居親との面会を同居親が拒む場合、別居親は家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます。調停は他にも、夫婦関係調整調停、婚姻費用の分担調停など、様々な調停があります。調停は申立人と相手方とが、決められた日時に家庭裁判所に足を運び、基本的には別々に、家庭裁の調停員と話をして、申し立て事項を議論します。調停員は男女1名ずつで、子の面会交流調停の場合、さらに子どものための専門家として、家庭裁の調査官が加わります。調停は話し合いであり、調停員は話の仲介者とされており、家庭裁が決断を下すわけではありません。調停は1回に2時間程度行われ、時間が無くなれば約1ヶ月先に日時を決めて実施されます。これを繰り返しても話がまとまらず、家庭裁が不成立(不調)と判断すると、次は審判となり、審判は裁判と同じで、何らかの決断を家庭裁が下す、という流れです。

[本題] 先に奪うことを推奨する日本の家庭裁

夫婦が不仲となった場合、あるいは離婚を考えた場合、相手の同意無く、子どもを連れて別居する、「連れ去り別居」が後を絶ちません。そして多くの場合そのような人は、子どもを相手に会わせようとはしません。なぜかといえば、離婚になった場合の親権者は、監護の継続性により、直前に監護していた者に与えられることが多いからです。強制的に子どもを奪ってしまえば、あとは自分のもの、という考え方です。
子どもや配偶者への暴力行為や、度を過ぎたハラスメント、不倫行為などがあれば話は別で、それらから逃れるための別居であれば、すぐする必要があります。しかし夫婦仲が悪くなったというだけで、連れ去り別居が当然のように行われているのです。

驚くべきことに、離婚を扱う弁護士(良心を持つ一部の方を除いて)は、離婚を相談されると、以下のように依頼者にアドバイスします。

離婚弁護士の連れ去り黄金パターン

  1. まずは子どもを連れて別居しなさい
  2. 家庭裁に、離婚調停(夫婦関係調整調停(離婚))を申し立てなさい
  3. 合わせて、婚姻費用の分担請求調停を申し立てなさい
  4. 子どもを相手に会わせてはならない

子連れ別居を推奨するのは、家庭裁が、初めの連れ去りを容認し、それ以降の連れ去りは認めないため、初めに連れ去ってしまえば、あとは家庭裁が守ってくれるからです。そして月日が立てば、監護の継続性により、親権は連れ去り親のものです。
離婚調停を申し立てるのは、離婚裁判を行うには、まず調停が必要となっているためです。
婚姻費用は夫婦の収入格差を是正するものとされていますが、一般的に、連れ去り親は、普段子どもと過ごしている側 (夫婦で収入が少ない方)であることが多いといえます。このため、外で働いている側 (収入が多い) から、婚姻費用という名目で毎月お金を請求することができます。

家庭裁の方針と、それによって発生することを以下にまとめます。

家庭裁の方針

  • 初めの連れ去り行為は、一切責めることが無い。その後の審判や裁判でも不利の材料とならない。
  • 連れ去られた側には「連れ戻すな」と何度も警告する。連れ戻した場合、家庭裁はそれを重大な問題と判断する。
  • その割に、連れ去られた側への子の面会を、なかなか実施しようとしない。
  • 連れ去られた側への婚姻費用支払い要求は、積極的に推進する。

家庭裁の方針による結果

  • 連れ去り側の親は、子と毎日を過ごす。
  • 連れ去られた側の親は、1年や2年といった長期間、子と全く会えない。会えたとしても月に1回といった頻度でしか会えない。
  • 連れ去られた側は、連れ去り側から、婚姻費用支払が請求される。

このように、「やるかやられるか」で全く違う立場になります。離婚弁護士がこの連れ去り行為を推奨するのは、仕事としては当然ともいえます。依頼者を有利にする、黄金パターンだからです。
離婚弁護士がこのようなことを本当に推奨しているのか、と思われるかもしれませんが、私の場合、配偶者に子どもを連れ去られて1ヶ月で弁護士と離婚調停を申し立てられました。弁護士探しは簡単ではないですので、相手が事前に弁護士に相談し、計画的に実行したことがわかります。

海外では、先に連れ去った側が処罰されます。そうしなければ親同士で奪い合いになるのですから当然です。海外では親権も、相手側に子をより会わせるほうに、親権を与えます。それだけ子の面会を重視しています。日本は国際法:ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に海外に遅れて2014年に批准しました。これは国家間の連れ去りだけでなく、日本人同士でも有効であるものの、日本の家庭裁は古き悪しきやり方を変えていないのです。

家庭裁は、家庭問題における日本の警察といえます。彼らが取り締まらなければ、子どもの連れ去りはこれからも増加するでしょう。また本来、夫婦が不仲となった場合、まずは仲直りの方向で推進するのが「子どものため」であるはずです。海外では、まずは離婚カウンセラーを交えて話を進めることを推奨します。私が体験した中では、日本の家庭裁は、仲直りの話など全くしません。婚姻費用の算定表をいじくり回しているだけです。夫婦ですれ違いが起こることは当たり前であり、それが過度な状態であった場合、できれば円満な解決を目指すことが、子どもにとって一番大切なことのはずです。
私が体験した中で、家庭裁は話す時、「子どもにとって」「子どもが」という文章はほとんど発しません。代わりに「家庭裁ではこういうルールになっている」としかいいません。

以上より、過剰な言い回しではなく事実として、こう言えます。

日本の家庭裁は、子どもを先に奪うことを推奨している

結果、夫婦の争いも推奨され、子どもを不幸にする方向にしか進んでいません。

事例(インターネット上の記事から)

子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待

「夫婦でもめていた当時、相談していた弁護士さんには『このままお嬢さんを連れて逃げてください』と言われたんです。でも、私は娘と夫の仲を裂くようなこと、したくなかった。そうしたら2015年6月、私からしてみたら突然、彼が娘を連れて出ていってしまったのです

→ 子どものことを真に考えて夫婦関係を修復しようと努めるのが、本当の親だと思います。ところが、子どものことより自身の感情を優先した側の親が、子どもを奪い、親権を獲得することになっています。

面会交流のルールを破られた。自分が会いにいってもいいですか?

注意すべきは、調停が成立したり裁判所の審判が出るまでの間、相手方の承諾なく勝手に子に会いにいったりはしないこと
裁判所は、「最初にルールを破ったのは相手方なんだから、自分が会いにいって何が悪いんだ」という弁解を許しません。

→ 連れ去り親は、最初に子どもを奪い、しかも面会させないという行為を続けているにも関わらず、お咎めがありません。連れ去られた親が、子どもと会おうとするのは自然な気持ちでしょう。なぜこれほどまで、家庭裁は奪った者を優遇し、奪われた側に厳しいのか、理解に苦しみます。

日本の家庭裁が公表しない独自ルール一覧

家庭裁は、養育費・婚姻費用は明確な算定表を公表していますが、子の面会に関する方針は何も公表していません。
以下の項目は、家庭裁は表立って公表していませんが、運用ルールとして確かに存在しています。家庭裁は、密室でコソコソとこれらを運用するのではなく、堂々と明文化し、国民の同意を得るべきと思います。

  1. 親が最初に子どもを奪う行為を容認する。以降、取り戻すといった行為は許さない。
  2. 面会交流調停は、簡単には審判に移行しない。
    →1年経たないと審判に移行しません。一方で、婚姻費用分担調停などはすぐ審判に移行します。家庭裁は、子どもにとって貴重な親に会えない「時間の長さ」を全く重要視していません。
  3. 調停で、面会交流調停と婚姻費用分担調停とが同時にある場合、婚姻費用が成立するまで、面会交流の話を進めない。
    → 私はこれを同時に進めることを求めましたが拒否され、子どもに会いたいがために婚姻費用をすぐ認めた結果、婚費は払え・面会はさせない、の構図に陥りました。私と同様の方は、断固として、同時進行を主張してください。調停員達は全く信頼できません。
  4. 面会交流が審判となった場合、会わせる頻度は最大でも、1ヶ月に1回、と決まっている。
    → 裁判官が堂々とこう言いました。これはつまり、子どもを連れ去ってしまえば、あとは調停でも審判でも拒否すれば、最大1ヶ月に1回しか親子は会えないことを家庭裁が認めている、ということです。まさに奪った者勝ちです。何のために1年も調停をしていたのでしょうか。この運用は本当にショッキングです。これは大々的に国民に周知されるべきです。

調停の場における、調停員・調査官の暴論・暴言

  • 2ヶ月に1回でも、子どもに会えれば十分でしょ。もっと会えない人もいるのだから。
    → この言葉に、家庭裁の腐敗具合が表れているといえます。何の問題も無い親と子とが会うことが、2ヶ月に1回で十分と、なぜ平気な顔で言えるのでしょうか。 家庭裁はその言葉を、子どもに対して言うことができるのでしょうか。子どもの目を見て、「パパ/ママと2ヶ月に1回会えれば十分でしょ」と言えるのでしょうか。
  • 子どもと会いたければ、監護権を相手に渡してください
    →なぜ奪われた側に、さらに権利を渡せと言ってくるのでしょうか。家庭裁が「面会が必要」と即断すれば済むことです。このように家庭裁は明らかに、自身が「決断」することを避けており、連れ去られた側に諦めさせようとします。
  • 女性側が幼い子どもの面倒を見るべきだ。
    → 完全に性差別です。女性にも男性にも役割があり、子どもの面倒をみることを性だけで語るのは愚かです。性に関係なく子に無頓着な親もいれば、溺愛する親もいます。調停員の発言すべきことではありません。
  • その他、調停の場で話しているときに、横から暴言といえるような野次を飛ばしてくる調停員もいます。

調停の感想・提言

  • 調停は約1ヶ月に1回行われます。話が進まなくても、次回期日は1ヶ月先です。さらに相手が日程を伸ばそうと思えば伸ばすことができ、欠席してもお咎めはありません。子どもにとって、1ヶ月、1年という期間は濃密な期間であって、親と会う時間を失うことは、子どもの人生を変えることである、にも関わらずです。
  • 調停員は何の資格を持っているわけでもなく、ここで述べているような知識や現況情報も持っていない、はっきりいって素人です。男女1名ずつとなっていますが、年齢も60歳前後で、古い常識しか持っていない方達です。未来を担う子どもの今後を決めるための仲介役として、ふさわしいとは思えません。
  • 調停の貴重な時間の中で、調停員が、給与明細などから暗算で算定表の婚姻費用を計算していました。暗算に手間取り、かなりの時間を費やしていました。そんなことは事前に書類で済まして、早く面会交流など大切な議論に時間を割くべきでしょう。
  • 家庭裁「調査官」の存在意義がわかりません。子どもの面会に関する専門職であるはずですが、実質的には何の権限も無く、ただ見聞きしたことをレポートにまとめ、裁判官の指示を仰ぐだけの存在です。何度も私から「面会をさせてほしい、審判を早期にしてほしい」旨を伝えても、自分には何もできない、の一点張りでした。
  • 調停の手順について、結局のところ調停員・調査官が何をするわけでもなく、時間だけ過ぎていくこの形式は非効率と思われます。例えばですが、家庭裁に申立人と相手方を集めるのではなく、書面を用いた議論の形式はいかがでしょうか。1週間ごとに、申立人と相手方とが交互に、家庭裁を通して文書を交換し、議論を進める方法です。早く双方の意見を交換させ、早く親子が会えるようにすべきです。

離婚弁護士の事情

産業構造的な問題もあると、私は感じました。弁護士も仕事ですから、お金を稼ぐ必要があります。上記のように圧倒的に連れ去られた側が不利のため、連れ去られた側の弁護をしたがる弁護士はあまりいません。さらに、連れ去った側は、(多くの場合) 婚姻費用や離婚に伴う財産分与などで勝ち得たお金の一定割合が、弁護士の追加報酬になります。対して連れ去られた側の弁護士には、がんばって弁護すれば報酬が増加する、というのは基本的にありません。連れ去りを推奨・離婚を推奨する弁護士ばかりが得をする、こんな構造でよいのでしょうか。

家庭裁はなぜこのような方針なのか

私は今まで、真っ当に生きてきたつもりですし、裁判所や弁護士とは関わりの無い人生でした。しかし始まってみて、子どもを連れ去られた側の圧倒的不利を知り、日本の家庭裁の無茶苦茶な方針に愕然としました。世界的に見ても遅れているこのような方針を、なぜ彼らは貫いているのでしょうか。
おそらく、「昔からの方針を変えられない」です。
昔から続けてきたことを変えて問題が発生すると、家庭裁の責任問題になるからです。子が別居親と面会することを推進した時に、何かあれば、家庭裁の責任が問われることを恐れているからです。逆に面会を推進しない時のリスクも、本来同様に考えるべきです。
私はこれは、日本の古いタイプの大企業の現状と非常に似ていると感じます。昔からのやり方を変えられず、明らかな問題が起きていても、変えようとする機構が働かないのです。企業の場合は、それによって競争で負けると自身が不幸になりますが、家庭裁の場合不幸になるのは子ども達なのです。

共同親権

この問題は、日本が単独親権制度を採用していることが主要因ともいえます。海外先進国はほぼ共同親権を採用しています。親権が初めから単独だと決められていると、争いが発生しやすいのは当然です。
日本でも共同親権を求める訴訟が提訴されました。

法務省のこうした動きの背景には、多発する児童虐待の問題があります。離婚して単独親権を持った親の新しい配偶者が子どもを虐待するケースが非常に多い。その場合、親権を失った親はその子どもを救う手段が持てない。

最後に

親と暮らすこと、親と会うことは、子どもの権利です。片方の親が私物化して良いものではありません。面会させない行為は、子どもの人権を侵害しているのです。
例え夫婦が離婚したとしても、子どもにとっては大事な両親です。別居親であってもできるだけ頻繁に会って、触れ合い、子どもを愛しているという表現をするだけで、子どもは大きな安心感を得られると思います。

この記事を読んで少しでも問題と考えていただける方は、ぜひSNS等での共有をお願いいたします。

参照資料とリンク

(一部内容を転載させていただいています。ありがとうございます。)

  1. 親子ネット https://oyakonet.org/
  2. 厚生労働省 人口動態調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
  3. 厚生労働省 離婚に関する統計 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/143-21.html
  4. 厚生労働省 平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188138.html
  5. 裁判所 家事調停の申立書 http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazityoutei/index.html
  6. 裁判所 養育費・婚姻費用算定表 http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
  7. ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約) https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html
  8. 子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待 https://news.yahoo.co.jp/feature/1049
  9. 面会交流のルールを破られた。自分が会いにいってもいいですか? https://www.fukuoka-ricon-law.jp/qa/qa140/
  10. 「離婚後の単独親権は違憲」 共同親権導入求め、男性が国賠提訴 https://www.bengo4.com/c_18/n_9428/
Childrenkeepintouchparents

Written by

I have never seen my children more than a year because my spouse took them away. The behavior of the family court is unreasonable. Please share this topic.

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