はじめに
ボクは昭和28年に生まれた。だから概ね昭和世代であり戦後世代なのだろうと思う。昭和という時代は激動の時代だったと良く言われるが、太平洋戦争を挟んでその前と後とではその激動の意味合いが著しく違う。ボクの知っている昭和とは当然のことながら終戦後である「後の」昭和だ。その戦後の昭和が「近代化、国際化」のお題目のもとに大きく様変わりしたのは、1964年/昭和39年に開催された東京オリンピックを契機とする。オリンピック開催は戦争で疲弊した日本が世界の一等国へと復帰するための悲願であった。それゆえに世界に誇れる近代国家を標榜し何もかもを激変させていった。そんな世情の中でボクたちは少年時代の原風景をことごとく失ってしまったのだ。そうした喪失感は今もあって、それが置き忘れて来てしまったものへの郷愁となっているのかもしれない。そんなボクたちにとっての郷愁とは遊びであり玩具であろうか。馬跳びや缶蹴りや戦争ごっこや三角ベースボール、僕たちには沢山の遊びがあった。そして何といっても欲しいものの筆頭の玩具たち。ブリキの自動車やダイキャスト製の二丁拳銃、日光写真や銀玉鉄砲などの駄玩具、そうしたオモチャこそボクたち昭和世代の少年たちにとっては懐かしい思い出であり、置き忘れて来てしまった大切な大切な宝物なのだ。そんな玩具たちのひとつ、プラモデルはボクにとっても特別の存在であった。そして,その思いは現在も変わることがない。ボクがプラモデルに出会った最初は1960年/昭和35年のことで、ボクが小学2年生の頃だ。あれからもう半世紀もの歳月が過ぎ去った。プラモデルそれ自体も、プラモデルを取り巻く環境も、世の中も人々も、何もかもが時代の移ろいと共に変わっていった。同時にボクたちが生きた昭和も歴史の教科書の中に埋没しようとしている。そして、やがてはセピア色に褪色し輪郭さえも朧になっていくのだろう。それでもあの時代に生きたボクたちの記憶は今も鮮明なままだ。遊ぶことが子供たちの仕事であった時代、それは子供が子供として生きられた理想郷のようなものであった。社会は未だ貧しかったけれどそれを苦にする者など誰も居らず、少年たちの顔は泣いても怒っても最後はいつも笑顔だった。過ぎ去った時をステレオタイプに「良い時代だった」と言うつもりはない。だが、少なくともボクにとってのあの時代は、プラモデルがあったから今も懐かしく甘美な記憶となって残されている。プラモデル、それはボクたち昭和世代の子供たちにとっていつまでもいつまでも憧れであり続けるだろう。(続く)
来年4月発売号よりモデルカーズは大幅なリニューアルが行われて全面的に生まれ変わります。これは昨今の空前の少年雑誌ブームを受けて、モデルカーズ編集部が持てる総力と今後の命運を賭して実現した史上空前の大英断です。まさに自画自賛、言語道断、不埒で厚顔なる新生モデルカーズにご期待下さい!!
本誌に使用する用紙を塗工紙から更紙に変更することで近代稀に見る画期的コストダウンを実現、これにより頁数が360ページと大変読み応えのある内容となりました。巻頭グラビアの「これが世界のプラモデルだ!」では古今東西のプラモデルキットを今さらながらに大集合、名作から駄作に至るまで余すことなくご紹介しています。これを見れば明日からアナタもプラモ博士間違いなしです。巻頭特集は「国産プラモデルメーカーの聖地を巡る巡礼の旅」とし、東京下町と静岡のメーカー所在地を徹底現地取材。パワースポット、グルメ、温泉など見所満載の情報が満載です。特別読み物は本誌契約下請けライター鎌倉亭雲國斉猫之家がマッドサイエンティスト宮沢ちちんぷいぷい博士発明になるタイムマシーンを試乗、昭和30年代から40年代の東京へとワープしマルサン商店の真実へと迫ります。また、その際、うっかり忘れちゃったので、青森県恐山のイタコ猫田にゃんおばあにマルサン商店専務(のち社長)石田 實の霊を呼び出してもらいインタビュー、「みんな恙無く元気に暮らせや」のありがたいお言葉もいただいております。なおインタビュー記事は津軽弁を標準語へと翻訳(こらーっっ!!)しておりますので、多少ニュアンスに差異が生じている箇所のありますことをご了承下さい。その他、新進気鋭の漫画作家による模型漫画「プラモ小僧走る」「エデンのプラモ」「メイクアップ物語」「ルビコン川の慶」「プラモ部隊結構」「フクヤマさんちのダットサン」など、ためになるねえ、ためになったよぉのおもしろ漫画も満載です。またリニューアル創刊号特別企画として抽選で5名様にマルサンのフライデー(言っちゃったね...)が当たる豪華読者プレゼントクイズ「なんだこりゃ?」もあります。
空前の雑誌付録ブームに遅れを取ることなく、新生モデルカーズは本誌挟み込み豪華6大付録付きとなります。第1付録は出顎捨値社の協賛による連載組立模型「1/12ホンダRA271F-1」が遂に登場です。毎号パーツがついていますので、これを組み立ててゆきますと精密無比な素晴らしい1/12スケールモデルが完成します。その第1弾はホンダF-1、僅か320号完結の迫力と魅力のアイテムです。今回はホワイトメタル製のディテール感溢れる燃料パイプの継手管です。芸術とも思えるホンダF-1の世界をお楽しみ下さい。第2付録から第6付録もそれぞれ小冊子とDVDによる魅力ある内容で、これを見なければ月曜の会社での会話についてゆけません。さあ新生モデルカーズ、いよいよ発進です。乞うご期待、待たれよ4月号!!
(全ては妄想で実在のものとは何ら関わりがありません)
死んでも喇叭を放しませんでした、というような頑なな生き様ってどーなの...と、つらつらと考え続ける冬間近な今日この頃。暫くのご無沙汰でありましたが、皆様(みなさまって誰だよぉ〜。ここを読んでる人なんて居るのだろうか...)お変わりございませんでしょうか。諸般の事情により暫く更新をしていなかった当該ブログではありますが、諸般の事情は尚一層なる激変の一途を辿っており、当該ブログも何時まで開店していられるかは甚だ危うい状況ではございます。苦節30年余り、細々と続けて参りました物書き稼業とも決別せねばならぬやもしれず、ここに前もって皆様から頂戴致しましたご愛顧の数々に深く御礼申し上げておきます次第です。しかし、そうは申せども未だやりたいこと、やらねばならぬことは沢山残されている訳でありまして、今日も今日とて、ただ地道に真面目に取り組み続けているのも実情でございます。ここ暫くの更新なき期間中「平野は一体どうしておるとや」と奇特にもご心配下さいました方々が居られるとしましたら、こんなモンに囲まれてこんなコトしてたさ...なんであります。まあ、それらが日の目を見るか見ないかは貴方次第、ではなくて、世の中の進展の運次第。貴方の琴線に触れるようなモノ、何かありましたかぁ?? (続く、かもしれない)