韓国競馬が「日本馬排除」で失った大切なもの

競馬場は「最高潮」でも、関係者は苦渋の決断

ついに韓国馬が自国開催のG1で初優勝!ソウル競馬場は最高に盛り上がったが、天敵の日本馬は不在だった。韓国競馬が失ったものとは?(撮影:前田祥久)
こじれてしまった日韓関係は元に戻るのだろうか。「ノージャパニーズ」の動きはスポーツ、文化にも影響を及ぼしている。11月24日は日本で今年39回目を迎える競馬の国際ビッグレースジャパンカップが行われるが、韓国でも一足先に国際レース「コリアカップデー」が4回目の開催。今年は過去3年間、勝利を「独占」してきた日本馬が不在という「異常事態」だったが、競馬場は最高潮の盛り上がり。だが、関係者は複雑な表情だった。なぜか。韓国の競馬を熟知する山本智行氏が舞台裏を取材した。

日韓悪化が競馬にも飛び火、まさかの「日本馬招待せず」

2019年9月8日は、70周年を迎えたKRA(韓国馬事会)にとっては”最良の日”だったと言えるかもしれない。何しろ、自国で開催する最高の2つのG1レースを、ついに地元の韓国馬が4年目にして初めて制覇。しかも、「天敵の日本馬」不在とは言え、「ダブル」で勝つことができたからだ(賞金総額は2レースとも10億ウォン=約9200万円)。

韓国が「世界の競馬一流国の仲間入り」を目指し、コリアカップデーと銘打ち鳴り物入りで国際競走「コリアカップ」(1800メートル)「コリアスプリント」(1200メートル、ともにダート、韓国G1)を、始めたのは2016年。

だが過去3年間、コリアカップデーは「6戦5勝」と日本馬のほぼ独壇場だった。短距離の「スプリント」こそ、2016年の第1回に韓国馬ではなく香港馬が勝ったものの、それ以外はすべて日本馬が勝利。特に距離の長い「カップ」はワンサイドの傾向が強く、日本でG1勝ちのないロンドンタウン(牡6=栗東・牧田和弥厩舎)があっさり連覇。2018年には”衝撃の15馬身差”で圧勝したことは、「韓国馬が地元G1で日本馬にボロ負けする理由」で書いたとおりだ。

このレース後に薪浦亨オーナーが「来年(2019年)も来ます。3連覇を目指します」と宣言した際、韓国競馬関係者の間には、半ばしらけたような微妙な空気が流れたものだ。

そのとき、私も「開催されれば3連覇は確実だろう」と書いたのだが、日韓関係の悪化を受け、日本馬が招待されないという異例の事態に陥った。

次ページ「日本馬を招待しない」というKRAの苦渋の決断
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  • ジョウシゲルe5c9e04a43f4
    オレは、嫌韓でも何でもない、むしろ今の事態が少しでも早く収束して欲しいと思っている一個人だけど、それでもこの記事の内容を、「盛り上がったんなら別にいいじゃん、勝手にすれば」と感じてしまった。
    up59
    down6
    2019/11/24 06:28
  • ライオae307c66533a
    よく政治・経済・文化・スポーツなどは混同してはならないよと言われていますが、むしろ密接に関連していて切り離せる話では無いと私は思ってる。
    個人的には「東京オリンピックもボイコットしていただいて構いませんよ。」ってのが正直な気持ち。
    up40
    down2
    2019/11/24 08:27
  • cp23de712b1add4
    韓国馬と日本馬でそこまで力の差があるのなら、韓国側としては仲の悪い日本の馬に来てほしいとは思わんだろう。
    逆に日本ももしも欧州と仲がこじれたら、日本は勝てない凱旋門に参加しようとは思わんだろう。
    up3
    down0
    2019/11/24 09:07
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