News Up 「宇崎ちゃん」論争を考えたい | NHKニュース https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20191122/k10012186651000.html
上記エントリで、こんなブコメが星50近くもついている。他にも都内全体の献血者数の50%近くという内容に触れるコメントが多数みられる。
nankichi 良取材。“コミックマーケット会場では、献血者数が都内全体の献血者数の50%近く”これは凄すぎる。都内20代の半分とかではなく、都内全体の半分とは。献血を受けた人は50%がコミケ由来。コミケに感謝しよう。
内容は記事に基づくものだ。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191122/k10012186651000.html
一方で、毎年東京ビッグサイトで行われ若者が多く集まるコミックマーケット会場では、献血者数が都内全体の献血者数の50%近くを占め
どういう事かな、と数字を追ってみることにした。
東京都赤十字血液センターの担当者によると、「今回のコミケでは計8台の献血バスを出しており、一台当たり約50人を目標としています」とのこと。
「コミケ91では、バス1台あたり約1.7倍の方にご協力いただいた形になります」(「おたぽる」2017年4月30日の記事より)
ということで、C91のあったH28.12の数字を見てみよう。
これによると、H28.4~H29.3における東京都での献血申込者数は656,059人、献血者数は574,619人である
これによると、H28.12の東京都での献血者数は49,415人。うち全血献血者数が34,526人、成分献血者数が14,889人である。なお申込者数の記述はなかった。
12月の全血献血者数を31で割ると約1,114人。前出のオリコン記事の目標はC95におけるものだが、C91でも同様だと仮定すると、8台のバス1台あたり50人が実績としてあったとすると400人。これを1,114で割ると約36%となる。年末の献血ルームが普段よりも混むか混まないかはわからないが、混まない方であるとすれば、36%が50%まで上がっても不思議はない時期ではある。ちなみになぜ全血献血者数で割るのかというと、献血車では全血採血しかしていないからだ。
というわけで、冒頭引用したコメントにおける「献血を受けた人は50%がコミケ由来。コミケに感謝しよう。」というのはあくまでコミケ開催期間に献血された"全血"の50%がコミケ会場で採血されているという事になる。
勿論、コミケでの献血は慢性的に不足する血液製剤にとってありがたい存在であることは間違いない。普段から献血しているオタクの人も相当いらっしゃるのも間違いない。血液製剤の有効期限は短く、赤血球なら3週間、血小板製剤なら検査期間を除けば実質3日である。現代医療の根幹の一部となる献血事業を支えるには、多くの人が献血に足を運ぶ回数を増やすしかない。
東京都でのすべての献血者の半分がコミケだと誤解しているブコメも散見されるが、気温の都合上悪影響が懸念される夏には献血車来ない以上、冬の3日ないし4日間しかないわけで、常識的に考えればありえない誤解である。誇張表現でオタクの功績を過大にみせるのは、オタクを自称する自分からみても少し残念に思える。勿論100文字しかないブコメでそこまで言及できないというのもあるのだろうが。