男子66キロ級は昨年まで世界選手権2連覇の阿部一二三(22)=日体大=が世界王者の丸山城志郎(26)=ミキハウス=に延長で優勢勝ち。今大会での丸山の東京五輪代表決定を阻止し、同代表への望みをつないだ。「うれしいです。やられっぱなしでは終われないと思っていた」。8月の世界選手権で丸山との直接対決に敗れ3連敗。その世界選手権では丸山が優勝して東京五輪代表へ大きく近づく中、一二三は3位にとどまった。今大会で丸山が優勝すれば、五輪代表の座を奪われることになりかねない。それだけは絶対に阻止したかった。
丸山との直接対決に試合開始前から会場もヒートアップ。一二三は闘争心を前面に出した。延長に入ると攻勢を続け、丸山が得意とする内股を見切り、返し技の支え釣り込み足による技ありを決めて優勢勝ち。観客席に向かって大きなガッツポーズを見せた。
大会前には妹の詩とともにトレーニングする時間を増やした。「妹を見ることによって、闘争心が高まって、すごく燃えた。妹には絶対に負けられない」。8月の世界選手権で妹の詩は優勝。東京五輪代表入りへの階段を上る妹を見て、兄のプライドに火が付いた。
「2人で五輪代表になって、兄妹で金を取りたい」。昨年11月に行われたGS大阪の決勝で敗れて以来、追い続けた丸山の背中に1年かけて手が届くところに。大きな瞳は東京五輪の頂点だけを見つめている。