テレビや新聞で聞き馴染みのある「大阪都構想」
なんか響きはいいけど、結局何がどう変わるん?
だれか、ちゃんと教えて。
先生ー。テレビで「都構想」ってよく聞くんだけど、これって何ですか?
お母さんも「大阪が良くなるんやで」としか言わなくて、よく分かりません。
お母さんも、よく分からんじゃろな? これまでの都構想の流れをまとめてみよう。
今の大阪市は政令指定都市といって、他の市にくらべて、国からすごく権限と予算が認めれらておるんじゃよ。
都構想は、この二つが「二重行政だ!」ということで、
【参照】大阪市 特別区素案
えっ!「都構想」になると
4000億円も効果があるの?
実は都構想にはそんな効果はないんじゃ。
前の住民投票のときは、そう言っていたんじゃがの。
都構想の4000億円の効果というのは、 大阪市のままでできる地下鉄の民営化や施設統合の効果がほとんどだったようじゃ。
大阪市を解体せずとも、地下鉄は民営化されたし、施設の統合もほとんど終わってしまったからのう。
「都構想に再チャレンジ!」した今は、効果額は示されていないようじゃ。
都構想は、大阪市を4つの特別区という自治体に分割するじゃろ。だから都構想の費用は1500億円くらいかかるようじゃの。
費用のことはあとで詳しく話そうかのう。
都構想を正しく理解するには、「大阪府は貧乏」、「大阪市は裕福」っていうことを知る必要があるんじゃよ。
大阪府は収支が赤字で借金が膨らみ続けているのに、大阪市は収支は黒字で借金を減らし続けとる。
つまり、お金のない大阪府としては、都構想で大阪市と一緒になって、大阪市の税収を吸収したいんじゃな。
えっ!都構想って、実は大阪府が大阪市民の税金を狙ってるってことなのかな!?
衝撃!
都構想になると
でも「都構想」じゃなく、 総合区ならいいとこ取りできる?
そうじゃよ。まず、今の大阪市の中には「区」があるじゃろ。 これは、大阪市の仕事を分担している単位のことで、「行政区」と呼ぶ。
「特別区」も「総合区」も、大阪市にある権限を、住民に近い区役所におろして、 今より地域の実情に応じた住民サービスを提供しようというものなんじゃ。
「特別区」は、東京の23区のように、「都が直接管轄する自治体」のことで、 都構想によって大阪市が廃止されたあと、府の下にできる4つの区のことじゃな。
ところが、「特別区」は大阪市をなくして4つの自治体を作るから、庁舎を新しく建てたり、システムを導入したり、とっても大変。
そこで生まれたのが、 今の大阪市を残したまま、各区の権限を強化して、「特別区」と同じようなメリットを実現する 「総合区」という案が登場したというわけじゃ。
「特別区」になると、今の大阪市役所の職員の多くが、特別区に配置されることになるんじゃが、配置される職員数が多すぎて、今の区役所には入りきらないんじゃよ。
そうすると、新しい庁舎を建てるか、広い事務所を借りるしかないんじゃ。 今の計算じゃと庁舎を建てると約360億円、庁舎に入れるシステムと合わせると 「特別区」は初期費用で約560億円、運用費用や人件費を含めると約1500億円くらいかかるようじゃの。
一方の「総合区」は、職員の移動がそこまで多くはないんで、今の市役所や区役 所を活用すればよいんじゃ。
今の大阪市の「総合区」8区案の試案では初期費用は約60億、運用費用を含めると74億円と言われておるのう。 24区のままで総合区にするなら費用は0円とも言われておる。
都構想になると、市で働く公務員の数が少なくて済むって聞いたよ。 いっぱい給料をもらってる公務員は、少ない方がいいよね。
やっぱ、都構想の方がいいに決まってるやん!
普通は定年になって退職する人が出ると新人を新たに採用するんじゃが、いまの大阪市は公務員数が多いということで、退職したからと言ってその分の採用はやっとらんのじゃ。
だから、都構想の「特別区」じゃなくて、大阪市が残る「総合区」でも、公務員の数は減っていくんじゃよ。
それがのう、都構想では、これまで大阪市が一括してやってた仕事を、4つの「特別区」で同じことを別々にやらねばならんので、その分、「特別区」は担当する公務員の数は、実は増えるんじゃよ。
1か所でやれる仕事を4つに分けてやるって、かえって効率悪いやん。
なんやそれ。
特別区になると、使える予算がいっぱい増えるって聞いたよ。
特別区になると、使える予算は増えるどころか、 実は2000億円減るんじゃよ。大阪市の予算は8700億円じゃが、4つの特別区の予算を足しても、6700億にしかならんのじゃ。
大阪市の税収のほとんどは大阪府に一旦吸い上げられるんじゃが、 吸い上げた税収のうち2000億円は、大阪府に吸い上げられたまま返ってこないんじゃ。大半が大阪市以外の他の市などに活用されるようじゃ。
大阪市に住んでる人が納めている税金が、他の市に使われるって、そんなの全く納得できないよ!!
特別区になると、使える予算が2000億円も減るってことは、住民サービスって一体どうなるの?心配だよー!
そうじゃのう。特別区で2000億円の予算がなくなると、どこが削減されるか、考えてみないとあかんのう。
特別区になると予算をどう使うかは、特別区長が決めるんじゃ。
では、特別区長になった気分で、順番に削減できる項目を見てみようかのう。
うんうん。
順番に何が削減できるか見てみよう。
最初にまず「人件費」を削減できるかを見てみるとするかな。残念ながら、特別区は公務員に数が今よりも増えるので削減は無理じゃな。
次に、大阪市の借金の返済に必要な「公債費」や、生活保護支給に必要な「扶助費」じゃが、この支払いを行政がやめるわけにはいかんのう。
なので、削減は無理じゃ。
それに、「投資的経費」を削減すると、今進めている色んな建設工事がストップしてしまうのう。これを削減すると大変なことになるのう。
むむ!!残る項目は「行政サービス」のみになってしもうたわい。しかし、これを削減すると行政サービスを下げることになってしまうわい。
結局、市民サービスを削るしか方法はないってことじゃないのよ!
残念ながら、2000億円も予算がなくなると、市民サービスを削る以外に方法はなさそうじゃのう。困ったわい。
衝 撃!
都構想になると
幼稚園や保育園が有料になって
税金も高くなる?
小さい子供を幼稚園に行かせてるけど、都構想の「特別区」になっても 幼児教育料は無料のままで行けるの?
先生、家計に関わるから、教えてください。
大阪市では今、4歳・5歳の子供の幼児教育料を無料にするってことをやっとる。 これはお金がかかることなので、他の市ではあまりやっとらん。
大阪市は政令指定都市としての独自の財源を使って、やっとるんじゃのう。
えぇっ!?
じゃあ、大阪市を解体して「特別区」になったら、無料じゃなくなるの?
「特別区」になると、それぞれの特別区長が無料にするか判断するんじゃが、特別区は自前の税収が少ないんじゃ。
大阪府から配布される財源が約束されておらんので、特別区の財政が悪化すると特別区長が「止める判断」をする可能性があるんじゃ。
大阪府から見ても、大阪市以外でやっていないことを、大阪市内の特別区だけ認めて予算を割り振るかというと、疑問じゃのぅ。
パートで必死に働いて、税金を納めているけど、都構想の特別区になっても、市民の税金は、ちゃんと市民のために使ってくれるの?
今、大阪市民は市税と府税を納めとるのう。
都構想によって特別区民になると、「府全体の行政」を担う大阪府と、「基礎的な住民サービス」を担う特別区に、それぞれに税金を納めることになるんじゃ。
うん、今は府と市に税金収めているわよ。それでそれで、どうなるの?
都構想では、市税のほとんどを大阪府が吸い上げて、もう一度「特別区」に再配分するんじゃ。
ところが、「特別区」に配分される額のうち、広域的な大規模開発なんかで使う額は差し引かれて特別区に配分されるんじゃよ。
例えば、広域的な「うめきた2期開発」や「左岸線工事」などの大規模開発事業などは、すべて府税で負担すべきなんじゃが、 特別区のお金も使われるため、他の大阪府民と比べて特別区に住んでいる人だけが、二重に税金を負担する状態となってしまうんじゃ。
なるほど~って、
納得行くわけないやろー!!!!!
衝 撃!