にっぽんルポ
日本各地を記者が訪ね歩き、毎日を懸命に生きる人々や地域の魅力を伝えます
トップ > 社会 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事
【社会】被爆地から全世界へ ローマ教皇きょう来日 あす広島・長崎に【パリ=竹田佳彦】ローマ教皇(法王)フランシスコ(82)が二十三~二十六日に訪日し、東京と広島、長崎を訪れる。教皇の訪問は一九八一年のヨハネ・パウロ二世以来三十八年ぶり二度目で、訪問は「全ての命を守るため」がテーマ。二十四日には被爆地から平和のメッセージを発信する予定で、どこまで核兵器廃絶に踏み込むか注目される。 教皇はアルゼンチン出身で二〇一三年三月、欧州以外から約一千三百年ぶりに選出された。日本にキリスト教を伝えたイエズス会出身で、若いころから原爆投下の惨禍に深い関心を示し、日本での布教活動を志したとされる。訪日は就任以来の念願だった。 歴代教皇はたびたび核兵器の使用を非難してきたが、現教皇は「保有も非難されるべきこと」と踏み込んだ。一四年には「人類はヒロシマ、ナガサキから何も学んでいない」と強調。一七年末には、原爆投下直後の長崎で撮影されたとされる写真「焼き場に立つ少年」を印刷したカードに「戦争がもたらすもの」と書き添え、各国に配った。 しかし、核兵器廃絶へ向けた各国の動きは遅い。一七年にバチカンがいち早く批准した国連の核兵器禁止条約は、推進国と核保有国の対立が解消せず、未発効。米国の「核の傘」に頼る日本も批准していない。 八月には米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効した。核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの保有数を制限する新戦略兵器削減条約(新START)も二一年に期限が切れる。 超大国が対立を深める中での訪日について、サクロ・クオーレ・カトリック大学(イタリア)のアゴスティーノ・ジョバニョリ教授は「新たな冷戦を防ぐ狙いがある」と分析。「被爆地から発信するからこそ、核兵器廃絶へ向けた強い意味合いを持つ」と指摘した。 アジア重視の姿勢も強い。訪問は就任後七年間で四回目でこれまでに韓国やフィリピン、ミャンマーを訪れた。在位二十六年間のヨハネ・パウロ二世の六回を上回る頻度だ。一八年には司教の任命権で長年対立してきた中国政府とバチカンの間で和解が成立し、訪中にも意欲を見せている。 教会は近年、世界各地で聖職者による児童への性的虐待が相次ぎ発覚。お膝元の欧州では避妊や中絶など生活・家族観の変化に伴い教会離れが進む。一方でアジアは信者数が大きく伸びており、バチカンも「重要度が増している」と認めている。 ◆前訪問地タイでは他教徒と積極対話【バンコク=岩崎健太朗】タイ訪問中のローマ教皇フランシスコは二十二日、教会や大学を訪ね、カトリックや他宗教の信徒、若者たちと精力的に対話を重ねた。 バンコクのチュラロンコン大学講堂で開かれた集会で教皇は「私たちは経済や金融のグローバル化などにより、複雑な課題に直面している。宗教が尊重し合い、協力する必要性はますます高まっている」と語り掛けた。 ◆呼称変更しますローマ・カトリック教会の「ローマ法王」の呼称を「ローマ教皇」に変更します。これまで日本政府の訳し方に合わせてローマ法王としてきましたが、カトリック関係者らに広く使われているとして政府が法王から教皇への変更を決めたためです。 PR情報
|
|