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 猛毒のダイオキシン類食用油に混入した「カネミ油症」。事件の発覚から51年がたつが、油を食べていない患者の子や孫ら若い世代も被害を訴え、問題は現在進行形だ。調査する民間医師は、永久歯の欠損など先天異常の例から「遺伝への影響」を疑っている。国際会議で発表された事例を中心に、「次世代被害」を報告する。

 「大変な異常が、この一家に起こっていることが明らかになりました。確認された諸症状は、油症の影響である可能性を示しています。2世・3世を含むすべての被害者の調査が必要です」

 京都市で8月に開かれ、45カ国の研究者らが集まった国際会議。カネミ油症についての特別セッションで、熊本県の菊陽病院の藤野糺(ただし)医師(77)が訴えた。

 主に話したのは愛知県に住む油症患者の女性(69)とその子ども5人、孫3人の3世代の健康状態。未検査の孫1人を除く全員が「血小板無力症」と判明した。出血が止まりにくくなるまれな疾患といい、近親結婚による例が多いとされるが、夫は女性と血縁ではなく、油症患者でもない。疾患を引き起こす遺伝的な要因もなかったという。

 女性は油症の患者が多い長崎県

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