ひな人形をたき上げて供養する菅野宮司(左)と氏子=金沢市北安江2丁目の安江住吉神社
人形供養の神社として知られる安江住吉神社(金沢市北安江2丁目)で、ひな人形の持ち込みが急増している。神社によると、通常は供養の依頼が月5件ほどなのに対し、天皇陛下が内外に即位を宣言された10月22日の「即位礼正殿の儀」から、今月10日のパレード「祝賀御列の儀」までの約20日間で25件に上った。しまっていた人形を「令和」の節目に供養したい思いが高まったとみられ、神社では現在もペースが衰えず驚いている。
安江住吉神社は天皇、皇后両陛下の長女愛子さまの誕生を祝して、翌年の2002年から人形供養を始めた。ひな人形のほか、五月人形、縫いぐるみなどを通年で受け付け、毎年3月の「人形感謝まつり」でたき上げを実施している。
神社によると、改元した5月以降、ひな人形の依頼は例年の1・5倍のペースで続いていたが、ここ2カ月ほどの急増は過去18年間で初めて。通常3、4カ月ほどで満杯となる境内の保管小屋は、20日間ほどで埋まった。
依頼が急増した理由について菅野佐登志宮司は、改元や天皇陛下の即位による時代の移り変わりが心理的に作用し、これまで踏ん切りが付かなかったひな人形を手放す契機になったのではないかとみる。高御座(たかみくら)に立つ天皇陛下と、十二単(ひとえ)姿で隣の御帳台(みちょうだい)に立つ皇后さまが、ひな人形を想起させたとも推察する。
22日は天皇陛下の即位記念を兼ねた臨時の人形供養祭が営まれ、菅野宮司と氏子4人がおはらいした人形を火にくべた。菅野宮司は「わが子の成長を祈るひな人形に思い入れの強い人は多い。依頼者の親心に報いるよう、これからも丁寧に供養を続けていく」と話した。