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TOSSランドNo: 5997385 更新:2012年12月30日

手軽な道具と団体戦で、走り高跳びを楽しく


手軽な道具と団体戦で、走り高跳びを楽しく

TOSS越前 前田哲弥

概要
走り高跳び(はさみ跳び)の授業を、ゴムひも、ビニールロープ、フラフープ、学習カードなどの手軽で効果的な道具を使って工夫し、楽しく学習できるようにした。また、その子の身長・体力に合った目標記録の設定方法や、簡単にできて盛り上がる団体戦のやり方なども紹介する。

<ゴムバーを使って>
(1)ゴムバーの作り方とよさ
 まずは、はさみ跳びがどのような跳び方なのかを教える。そこで有効なのがゴムバーである。ゴムバーのよさは、体に当たっても痛さを感じないため、子どもが恐怖心をもつことがないことである。また、普通のバーのように落ちてかけ直す手間がないので、運動量も増える。
ゴムバーの作り方は、園芸用の支柱にゴムを結びつけるという簡単な方法である。今回は、支柱にビニールテープを5㎝ごとに高さを記すことで、高さも何cmかわかるようにした。また、ゴムに鈴をつけてひっかからずに跳べたかどうかが少しでもわかるようにした。

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(2)はさみ跳びを教える
①まずは、またぎ越しから。
 跳ばなくてよい。バーに近い方の足から、片足ずつゴムバーをまたぐだけである。バーの高さは、またげるようにかなり低くする。
②次に、バーの真横に立ち、その場で軽く踏み切って跳ぶ。
 最初にバーを越える足は、先ほどと同じバーに近い方の足からであることを確認してから跳ばせる。これではさみ跳びの動きになってくる。「はさみ跳びとはこのように両足をはさみのように動かして跳ぶことです。」この時うまく踏み切って跳べない子にはできない子には、さらにバーの横に跳び箱1段を置き、その上からまたぎ越しをするというステップをはさむとよい。
③8の字とびでテンポよく跳ばせる。
 慣れてきたら、8の字跳びにして左右どちらからでも踏み切れるようにする。跳んでいる間に、どちらの足を踏み切り足にしたほうが自分は跳びやすいか考えさせながら跳ばせる。

(3)1歩助走で跳ばせる
 先ほどよりバーから1歩分離れ、バーより遠い足を1歩前に出し踏み切って跳ばせる。
 ★ゴムバーの支柱を持つ子(2人)を交代しながらやらせる。

<フラフープを使って>
 高跳び・幅跳びといった跳躍系の種目にとって、踏み切り前3歩はとても重要である。一番重要なのは、それまでの助走よりリズムを早くして踏み切ることである。フラフープを使うと、踏み切り前3歩の練習がやりやすくなる。この方法は、谷岡眞史氏がH22年のTOSS体育全国セミナー模擬授業で紹介された方法である。

(1)3歩助走で跳ぶ
 バーに対して、30度~45度の角度で、フラフープを3つ置く。
 バーから遠い方の踏み切り足から、フープに1歩ずつ足を入れて跳ぶ。
並んで待っている子にも、ただ待っているのではなく「せーの、タ・タ・ターン(手拍子)」と言わせながら手拍子を打たせて跳ばせると、よりみんながリズムをつかみやすい。
 ケンステップなどの小さい輪よりも、フラフープなどの大きな輪のほうがよい。大きい方がいろんな子どもの歩幅の大きさの違いに対応できるからである。

(2)5歩助走で跳ぶ
 高跳びの助走では、最後の3歩とそれまでの助走では、走り方やリズムがちがう。最後の3歩はよりリズムを早くして自然に沈み込むようにするのに対して、それまでの助走は大きくはねるように走り助走スピードをあげていくというちがいがある。フラフープが置いてあると、そのちがいを意識しやすくなる。 
 一番手前のフープよりさらに2歩分下がったところに立ち、踏み切り足からスタートする。全体にスタート地点の目安を示すために、コーンを置くのもよい。そこから、2歩はねるように走り、フープの置いてある最後の3歩はよりリズムを早くして踏み切る。
 バレーボールの応援などでおなじみの「ニッ・ポン・チャ・チャ・チャ」というリズムが子どもにリズムのちがいを理解させるうえで有効であった。

(3)助走歩数を伸ばして
 リズムのちがいに注意して5歩助走ができるようになってきたら、助走の歩数をのばしていってもよい。より高く跳ぶには、助走が長い方がよりスピードにのれて有利だからである。ただし、やみくもにスピードをあげて正しい踏み切りができなくなるようではいけない。あくまで本人にとって、正しい踏切ができる範囲のスピードが大切である。小学校の体育の授業では、7歩、多くても9歩までがよいと考える。

<ロープバーを使って>
ロープバーの作り方とよさ
 走り高跳び特有の助走の仕方、はさみ跳びの動きに慣れてくると、次第に子どもの関心はどのくらい高く跳べたかということに移ってくる。しかしながら、普通の硬いバーを使うと跳べずにバーに足があたった時の痛さから、思い切って跳べなかったり、フォームを崩してしまう子が出てきてしまう。
 そこで、次のようなロープバーを使い始める。

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痛くないのはゴムバーと同じだが、引っかかると普通のバーと同じように落下するので成功したがわかりやすい。材料は洗濯バサミ、ビニール製のひも、粘土など重りを入れた袋と百円ショップで購入できる物である。

<一人ひとりに応じた目標記録の設定>
(1)モノグラムを用いた目標記録の設定
 身長や走力などの体力に恵まれない子は、一般的に走り高跳びの記録も低くなる傾向にあり、ともすると記録向上への意欲を失いがちである。
 そこで、身長と50m走の記録から、その子にとってより適切な目標記録を設定できる以下のようなモノグラムを用いた。

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数式でも求められるが、今回はどの子もより簡単に求められるようにカードに記したモノグラムの数直線を使ってもよい。左の身長の数直線、右の50m走の数直線で、それぞれ自身の身長、記録にあたる所に印をつけ、直線で結ぶ。その直線が真ん中の走り高跳びの数直線を横切る所がその子の目標記録となる。

(2)モノグラムを用いた目標記録の設定
 さらに、目標記録と自分の記録の差を5㎝刻みで得点化して以下のように表すようにした。

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得点化が意欲向上とともに、単元後半で行うグループでの団体戦に生きてくる。

<団体戦を取り入れて>
(1)団体戦の行い方
 得点化を利用し、5,6時間目は以下の手順でグループ対抗の団体戦を行った。
①各グループ(2班ずつ合同)で、まずメンバーの前時の最高得点を合計する。
②一番合計点が高いグループに合わせるように、各グループにあらかじめプラス点を与えた上で本日の試技を始める。
③メンバーの試技数・その日の最高記録・得点を、各グループの小黒板に随時記録しながら交代で試技。

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④終了時間になった時点で、各グループでメンバーのその日の最高得点、及び、最初に与えられていたプラス点を合計。
⑤得点が多いグループから順位をつける。

(2)団体戦のよさ
 グループ間の力の差や人数の差を最初にプラス点を与えることでなくすのがポイントである。子どもに公平感を持たした上で団体戦を始めることができるし、グループ分けも楽なので取り組みやすい。
 走り高跳びは個人競技であるが、このように団体戦を取り入れることによって友達との関わりを引き出すことができる。自分たちのグループの得点を上げようと、友達に励ましやアドバイスを送る姿が多く見られ、たいへん盛り上がった。

<学習カードの活用>
 以下のような学習カードを作成して授業で活用した。自分の目標記録の設定の仕方、自分の得点表、各時間ごとの記録・ふり返り、団体戦のやり方・結果などを記入するようになっている。

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参考文献
・谷岡眞史氏指導案(H22TOSS体育全国セミナー模擬授業)
・「陸上運動指導のすべて・てんこ盛り事典」根本正雄編(明治図書)
・「楽しい体育の授業」NO155高橋聡氏論文(明治図書)


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