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 ただ、
 「ニューオータニによる会費5000円でのパーティー会場提供が事実であったとするなら」

 という条件から考えると、それこそ、バーター案件としてご即位奉祝の晩餐会でも持ってこないと話が合わないぞということを言ったまでのことだ。

 思うに、最重要な問題は、これほどまでにあからさまなウソごまかしであっても、首相の口から出た言葉だからという理由で、最大限に尊重せねばならなくなっているわが国のメディアの奴隷根性だ。

 メディア側は、最後の最後まで真実である可能性を勘案した上で、首相の発言を取り扱わなければならないと思い込んでいるわけで、結局のところそれほどまでに、ファクトチェックの基準を政府の側に譲り渡してしまっている。

 朝日新聞のデジタル版(asahi.com)が、11月20日11時38分に配信のweb版で
《安倍首相、招待者選定「意見言うことあった」一転認める》

 という記事を配信している。

 紙の方の新聞では、21日付の朝刊で
 《首相、接待関与認める 桜を見る会 昭恵氏も推薦》

 という見出しのもと、ほぼ同内容の記事を掲載している。

 気になるのは、時間的により遅い(つまり最新の)段階で制作されている紙版において、首相の「答弁の修正」(←個人的には「虚偽答弁」の線でたたかうべきだと思っている)を責めるニュアンスが弱まっている点だ。

 なお、現時点(11月21日17:00頃)では、web版の方でも、紙版の朝刊とほぼ同じ内容に修正した11月21日05:00更新分の記事が掲載されている。

 紙版、web版(第一報)ともに、まずリードの部分で

 《国の税金を使い、首相が主催する「桜を見る会」をめぐり、安倍晋三首相は20日午前の参院本会議で、招待者選定について「私の事務所が内閣官房の推薦依頼を受け、参加希望者を募ってきた。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。会前夜の夕食会は、自らの後援会が主催したことも明らかにした。》

 と、首相が国会答弁の中で招待者選定への関与を認めた発言を紹介しているのだが、本文に入ると文章のトーンが変わる。

 web版(の第一報である20日11:38配信分)が

 《―略― 首相は8日の参院予算委員会では「私は、招待者の取りまとめ等には関与していない」と説明していたが、修正した。 ―略―》

 と端的に首相が発言を修正した旨を伝えているのに対して、紙版(ならびに21日05:00更新の記事)では、

 《―略― 首相は8日の参院予算委員会で「私は、招待者の取りまとめ等には関与していない」と述べていた。20日は「私は、内閣官房や内閣府が行う最終的な取りまとめプロセスには一切関与していない」と軌道修正。「先日の答弁が虚偽だったとの指摘はあたらない」とも述べた。 ―略―》

 と、8日の発言が虚偽答弁にはあたらないという首相の発言を紹介するフォローの一文が書き加えられている。