pixivision
Make it interesting
Gallery
  • Illustration
  • Manga
  • Novel
  • More
Create
  • How to draw
  • Draw Step by Step
  • Textures
  • More
Eureka!
  • Recommended
  • Interview
  • Column
  • More
  • Top
  • インタビュー
  • 「お絵かき魔境」のdrawrが11年間のサービスに幕。機能制限が生んだ文化を振り返る
インタビュー
2019.11.22

「お絵かき魔境」のdrawrが11年間のサービスに幕。機能制限が生んだ文化を振り返る

文/虎硬

みなさんはdrawrを知っていますか?

2008年10月にスタートしたdrawrは、pixivの姉妹サイトにあたる手描きイラスト投稿SNSです。今では考えられないかもしれませんが、「テキスト入力不可」「アップロード不可」「消しゴム無し」「drawrのツール以外使用不可」という縛りが多いハードコアなサービスで、初期はスポイトツールすらありませんでした。こういった縛りの強い仕様ながら(だからこそ?)一部の絵描きに火を付けました。すでに活躍していたプロクリエイターも多く参加し、ハイクオリティな作品が日ごと投稿される……それはまさに「お絵かき魔境」!

ムーブメントの一役を担ったdrawrも2019年12月2日をもって、およそ11年続いたサービスに幕を下ろします。多くのファンがサービス閉鎖を惜しむ中、drawrクリエイターを交えて、当時の作品を振り返る対談企画をお送りいたします。

対談クリエイター

卍
  • 卍
  • フリーランスのイラストレーター。drawrには4,000枚以上の作品を投稿し、高い画力とアイデアで多くのファンを持つ。

  • pixiv
    drawr
ka92
  • ka92
  • 普段はゲーム会社で3Dモデラーとして勤務。drawrでもユニークな視点でさまざな情景を切り取ったり、生物などのイラストで人気を得ている。

  • pixiv
    drawr
    Twitter

drawr11年の歴史が終了

── 11年間続いたdrawrがもうすぐ終了してしまいます。

むしろよく11年も続けてくれたなーと。完全にピクシブの厚意だと思ってます。

本当に。初期から描かせていただいたと思うのですが、とても楽しませていただきました。

── 卍さんは4,000枚も投稿しているのですね!

とはいえ大半が非公開なので実際に公開投稿しているのは800枚くらいかな?仕事のネタ出しとかSkypeでなにか説明するときにも利用してました。

すごいです……!私は363枚でした。

── それでも十分多いと思います(笑)。

drawrはとにかくすごい絵を描く人がたくさんいる……!というのが率直な感想です。もう上手い人や、発想の面白い人ばかりじゃないですか。本当に楽しくて何年も通い詰めてましたね。

イラスト:干し首

イラスト:1608

イラスト:ラビッツ

イラスト:川洋

── pixivやTwitterがそうですが、他のSNSってキャラクター系がかなり目立つと思うんですけど、drawrって抽象的なものや背景なども評価されるんですよね。よりオルタナティブな次元で絵描きが輝いているというか……特に卍さんはその最たる例なのかもしれないですが。

そんな気がします。自分はキャラを描いても抽象要素が残るタイプなので居心地は良かったです。最近も投稿しているようですが、描いた記憶がありません。

(笑)

はじめてのdrawr体験

── drawrのサービスがはじまったのが2008年の10月、その1年前にスタートしたpixivもまだまだ黎明期でした。drawrをはじめて利用したときはどんな印象でしたか?

第1印象は、UIがちょっとスタイリッシュな『手書きブログ(webサービス)』でした。テキストベースでの交流をし辛いサービスというと他にTumblrなどもありましたが、ああいうのが好きなんです。

2枚個別に投稿した作品

イラスト:卍

「ありがとうございます」や「素敵です」など文字で書くよりも、それが絵に置きかわる事で面白味のあるものになっていくことに気づきました。自分のイラストが誰かの手によって連作や合作に繋がっていくのはとても気持ちの良い体験でしたね。どことなくライブ感のある、お絵かきチャットにも近い感じで。

── ka92さんはお絵かきチャットでも遊んでいたのですか?

はい。2008年頃はお絵かきチャットに入り浸っていてそこの仲間からdrawrを教えてもらいました。実際に始めてみたら自分もよく知っている方々が多く投稿されていたので、刺激を受ける目的で足繁く通っていました。

── 絵チャ勢とdrawrは相性良さそうですね!

スポイトがない!機能制限が創造性を育んだ

── drawrといえばスポイトがないなどの独特な機能も話題になりましたよね。サービス全体としてはお絵かき掲示板に近かったかもしれません。

描画機能とタイムラインがここまでシームレスに共存しているサービスはdrawrが初めてで、当時はとても新鮮に感じました。投稿から閲覧まですべてのことがブラウザの中で完結していたので別のソフトを立ち上げる手間もなく気軽で、アイデアノートのツールとしても優れていたと思っています。気に入った作品は(Adobe)photoshopでレタッチを加えてpixivへ投稿してましたね。こちらのイラストに関してはdrawrの方が奥にある灯りの雰囲気が良かったかもしれません。


▲ drawr投稿時の作品(画像上)と、リライト後にpixivに投稿されたka92さんの作品(画像下)

何よりもdrawrは描画のレスポンス(線を引いた時の反応速度)が早いということが重要でした。デジタルで絵を描く時に実際のストロークと画面上の描画に遅延があると自分の絵は描けない。便利な機能はそのあとという感じです。

イラスト:卍

── ブラシの種類も結構限られてたかと思いますが。

あれがいい。よくあるデジタルブラシのストロークで丸い玉がぽぽぽ……ってなる、あれが好きじゃないんですよ。

あーわかる。

サービスが開始されてしばらくの間はスポイト機能が無かったので、理想の色をつくるために根気強く混色させるようなことをしてました。手間ではあるのですが、その作業が楽しかったです。そのうちアニメーションの再生機能などが追加されていきましたがレスポンスは依然早いままで、単純に出来ることが増えていくのは嬉しかったですね。

イラスト:ka92

── スポイトがないっていうのはドローツールとしてはかなり思い切ってますよね。

致命的という人もいるかもしれませんが、私はなくてもいいと思ってました。知り合いにもスポイト無しを気に入っている人は結構いましたね。

自分はスポイトあった方がいい派です(笑)。

あと、直線ツールはなかったですね。ただ、マウスの左右同時押ししたあとに離す……みたいなバグっぽい技を利用して直線を引いている人がいて、感心したことがとても記憶に残っています。

── なんですかその裏技!

そういうテクニックを発掘していくのも面白さだったのかなと。

“

drawr開発の動機として、pixivにイラストを投稿するのは敷居が高いからもっと気軽に絵をかけるツールを提供しよう、という課題がありました。文章ではなく、イラストだけでつながれるとハードルを下げられるのではという仮設で、テキスト入力不可にしました。当初の目論見だと普段、絵を書かないような人が絵日記みたいのをアップするていうのを想定してましたね。お絵かきツールも持っていなくても、web上で描けばいい、みたいな。

”

drawr開発者

── 他にはイラストのアップロードができないっていうのも、今では考えられないくらい硬派なつくりでしたよね。

あのツールでこんなにすごい絵を描いている!的な。縛りが強かったからこその他の方に対する驚きはあります。

あとは……アイコンがピンクな所が良かったですね(笑)。大体のサービスは青系ばかりだったし、差別化できてるんじゃないかなと思いました。

あと機能じゃないんですけど、投稿エラーで止まっちゃったりとか……(笑)。

あったなー(笑)。

── drawrのロゴはよくいじられてましたよね。

drawrの投稿アニメーションは「a」の文字の色がだんだん赤くなっていく演出で、投稿失敗すると上記イラストのような状態でフリーズしてしまう。(イラスト:ka92)

すごすぎる!イラストの応酬祭

── ユーザー同士のイラスト交流が本当に熱かったです。ka92さんの『きのこたけのこ戦争』とか。

元々は単なる落描きでした。投稿後にレスポンスを頂いたので私もそれに乗っかったらどんどん広がっていった感じです。途中で「きのこの手先だ!」とか言われて、随分楽しませてもらいました。最終的には20名弱の参加者さんからおよそ50数点のイラストをいただきましたが、現在では辞められてしまった方もいるので40点ほどの絵が残ってますね。アカウントが消えると投稿も消えてしまうというシステムにすこし儚さを感じたりもしました。

イラスト:ka92

イラスト:1608

イラスト:ka92

イラスト:1608

── あとは卍さんのイラストから派生した「手」のラリーがすごかったです。長いスレッドではなかったのですが、とてもレベルが高くて。

イラスト:干し首

イラスト:卍

あれは自分の絵が失敗してるんですよね。干し首さんがすごい凝った絵を描いてきたから頑張ったんですけど、左の子の背の反りから顎の傾きを拾えてない。時間が経ってから見ると分かりますね。

── 当時、あのやりとりを見て感動して、ネットのひとつの奇跡だなと感じてました。天才同士の知的な会話を横から眺めているというか。

“

卍さんの空間とフォルムを生かした風味をマネしようとしてて、結果いつも通りな感じになったのでヒャーと思ってましたが、昇華されたので大変感動しました。

”

干し首

── すこっちさんの「はやぶさ擬人化漫画」などは各所で話題になりましたね。新聞にも掲載されました。

他にもTwitterなどで拡散されたり、drawr発のイラストはよく話題になってましたね。

マンガ:すこっち

マンガ:干し首

drawrなき世界へ

── これからインターネットはdrawrを失ってしまうのですが、ああいった場は今後生まれてくると思いますか?

最近は絵描きもTwitterが交流のメインになっている様に見えるけど基本的にSNSは話題性で盛り上がる場所だと思うので、drawrみたいに評価云々を気にしないで個人が淡々と趣味を吐き出せるような場所はどこかにあってほしいですね。そういう需要は意外とあるんじゃないでしょうか。

流れの早いSNSだと、フォロワー様との距離感に戸惑ったり、イラストとは別の情報に惑わされてしまってパンクしてしまうということがあります。drawrはサービス終了してしまいますが、投稿作品を移行できる機能を提供しているようでしたので、とりあえず作品の引っ越しだけは済ましています。ブラウザ上でも振り返れるというのはやはり便利です。

── おふたりにとって、drawrとはどういう場所でしたか?

動作も軽ければ、サービス全体の空気感も軽いという。自分にとっては「畳にコタツの部屋」みたいなところです。リラックスした状況からしか生まれないものは確実にあると思うし、自分にはその軽さはとても大事でした。

思い出補正があるかもしれませんが当時のdrawr界隈は本当に輝いて見え、個々人の創作性が大いに発揮できる素晴らしいサービスだったと思います。ネット上のお絵描き文化に輝く一文脈として、記録されたのではないでしょうか。そのサービスに参加することができたことを誇りに思います。

── ありがとうございました!

主流ではないもののネットイラストにおけるひとつの輝きを放っていたdrawr。それは流行り廃りが激しいSNSにはないような、純粋にイラストを楽しむようなゆるやかな流れやつながりがあったようです。


drawrは2019年12月2日に惜しまれてクローズしますが、drawrに投稿した作品の一括ダウンロードやpixiv Sketchに作品を引越しすることが可能です。pixiv Sketchでは、drawrの描き味を再現したシンプルドロー機能も提供しています。作品をまだダウンロードしていない方や移行先をお考えの方は、ぜひご利用をご検討ください。


>> drawr特設サイト <<


さようならdrawr。

素敵なイラストとの出会いをありがとう。



▼イラスト掲載にご協力頂いたdrawrユーザーからコメントを掲載します▼

すこっち
  • すこっち
  • はやぶさ漫画は、drawrあってこそでした。SNSの様に、思いつきをすぐ絵に描いて、流して、気軽にコメントも返信も書き込める。こんな居心地良い絵板はここだけです。閉鎖はとても残念。11年間に只々感謝。

  • pixiv
    drawr
    Twitter
干し首
  • 干し首
  • 描き手の交流においてはpixivよりも、かなりの貢献をもたらしたのではないでしょうか。色々な方からレスポンスを頂いて大変楽しかったです。今ツイッターでもなかなかこういう経験は(個人的な範囲では)無いですし今後も何かこういうサービスがあればいいですね。

  • pixiv
    drawr
    Twitter
1608
  • 1608
  • 投稿方式が「その時描いたもの」だけだったのが楽しかったです。特に初期の「投稿失敗」は「お前ネタ甘い」と言われてるようで鍛えられました。 ありがとうドロワ!

  • pixiv
    drawr
    Twitter
川洋
  • 川洋
  • drawrおつかれさまでした。制限が多いから自力がモロに出る非情な仕様に打ちひしがれること頻りだったけど、SNSという面では手軽に気兼ねなく描けるいい環境だったと思います。

  • pixiv
    drawr
    Twitter
ラビッツ
  • ラビッツ
  • お絵かき掲示板(チャット)タイプのSNSとして画期的でしたね。極々限られたツールで技巧を披露するかのような投稿も見られ、皆さんの新作をワクワクしながら見ていました。このワクワクが「自分も描いてみよう」という気にさせてくれてましたね。あっという間の11年間でしたがdrawr、今までありがとうございました。

  • pixiv
    drawr
    Twitter

Recommended articles about pixiv

  • News

    Free 3D Character Maker "VRoid Studio" to be released ...

  • Recommend

    Drawing Softwares Comparison! 8 Painting Software Reco...

  • News

    Prettier than ever! Azur Lane Bride Illustration Conte...

  • Illustration

    Returning your kindness. "Taiwan, hang in there!" Draw...

Share this article
  • Share
  • Tweet
  • Share
  • Tweet

Tag this article

  • interview
  • pixiv
Follow pixivision on Facebook!
See the latest articles on Twitter!
Receive updates from pixivision everyday♪

New articles under インタビュー

  • Interview

    Working 3 Hours Per Day!? A popular mangaka introduces ...

  • Interview

    Money Coming in at the Speed of Sound? What are these d...

  • Interview

    I Don't Wanna See a Bad Ending! We asked Taiwan's Anima...

  • Interview

    10-Year-Old Boy Places In International Art Contest! We...

See more▶︎

Follow us on our
official pixivision account!

p-chanMonthly Ranking
  • Illustration

    Unrivaled sexiness! Drawings of Bik...

  • Illustration

    Curves like an Hourglass♡ Drawings ...

  • Illustration

    Swelling out of a Muffler♡ Drawings...

  • Illustration

    Squeeze me Tight♡ Pictures of Girls...

  • Illustration

    Staying tangled. Drawings of Chains

p-chanRecommendation
  • How to Draw

    How to Draw Original Characters: C...

  • Illustration

    A perfect fit! Girls in Spats

  • Illustration

    [World Illustrators] These vivid c...

  • Illustration

    Cute and Sexy♡ Drawings of Girls We...

  • Illustration

    Fascinating Necklines, Collarbone ...

Follow us on our
official pixivision account!

  • Top
  • What is pixivision
  • Suggest a theme
  • English
  • 简体中文
  • 繁體中文
  • 日本語
  • pixivision
  • Operating Company
  • Contact Us
  • Advertisements
©pixiv