政府は21日、統計不正の再発防止に向けた総合的対策の報告書の素案を提示した。統計行政のガバナンス(統治)を強化するため総務省の機能を拡充するのが柱。政府全体の統計の作成から利用までの相談や支援を担う包括的な窓口を設置する。調査票を一元保管し、必要に応じてデータを再集計できるようにもする。専門人材を各府省に派遣する体制も整える。
総合対策は年内にも関係閣僚で構成する統計改革推進会議で決定し、必要な経費は2020年度予算に盛り込む。
総務省を政府の「中央統計機構」と位置づけ、各府省の司令塔としての役割をより明確にする。具体的には統計行政全般に関する包括的な窓口となる「統計作成支援センター」(仮称)を設置する。個別の省庁からの相談内容に応じて個別の統計の企画段階から技術的な部分まで一貫してサポートできるようにする。事後的な点検や改善のための助言も担う。
統計不正を巡っては、不適切な調査手法が露見する発端となった厚生労働省の毎月勤労統計で過去の資料が廃棄され、データの再集計が難しくなる問題も生じた。このため調査票の原本や様々な付随情報は総務省が一括して収集・保管するようにする。すべての統計の調査計画をホームページにまとめて掲載するなど情報開示も進める。
政府全体で統計の品質を確保し、有効な政策立案にもつなげられる専門人材も増やす。共通の研修を通じて業務資格を認定する「統計データアナリスト」を育てる。人材データベースも構築し、適切に評価・処遇する。育成人数や期限などの具体的な計画は今後検討する。
有識者で構成する統計委員会が各府省の業務を点検したり指導したりする支援機能も強める。委員会の下に若手の研究者や実務家をそろえて「統計監理官」(仮称)として派遣する。それぞれの府省で取りまとめ役となる統計幹事に専門的な見地から助言してもらう。