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【社会】

「憲法くん」72歳 悩み、問う 改憲へ危機感 名作芝居リメーク

劇団・燐光群の新作「憲法くん」の稽古風景=東京都杉並区で(古元道広さん撮影、燐光群提供)

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 「こんにちは、憲法です」。日本国憲法を擬人化した異色の芝居が、二十九日から東京・高円寺で上演される。コメディアン松元ヒロさん(67)の一人芝居の名作「憲法くん」を、劇団・燐光群(りんこうぐん)を主宰する演出家坂手洋二さん(57)が、憲法を巡ってさまざまな人物たちが舞台上で絡み合う新たな作品にリメークした。坂手さんは「改憲が取り沙汰される今だからこそ、憲法とは何かを演劇を通じて問い直したい」と話している。 (村上一樹)

 「今年で私は七十二歳になりました。まだまだ働けます」

 舞台では、一九四七年五月三日の憲法施行日に生まれた憲法くんこと「かずのり」くんが、安全保障、死刑、同性婚、沖縄など、憲法の条文と深くかかわるテーマに関連する場面に遭遇する中で、他の登場人物たちとともに、時にはその在り方に悩み、時には自らの意義を訴えていく。

 原作の一人芝居は、憲法施行五十年を迎えた九七年に初演。作家の故井上ひさしさんや、落語家の故立川談志さんらが絶賛し、現在も松元さんが演じ続けている。今回は松元さんと交流がある坂手さんが、演劇化権を認められた。

 二十年以上定評を得てきた一人芝居を、いまリメークした理由について、坂手さんは、安倍晋三首相が目指す自民党総裁任期(二〇二一年九月)中の改憲への危機意識を第一に挙げる。「首相、政権が私物化して国を動かしている」と批判し、今回の作品に原作にあった独白も生かしながら、政治への皮肉を込めた。

 憲法くんが「変なうわさを耳にしたんですが、本当ですか。私がリストラされるかもしれない、という話」と、改憲の機運に不安を口にする場面や、安倍首相本人に「僕は何も変わってないよね」と直接問いかける場面が出てくる。

 坂手さんは「そもそも僕たちは憲法を正しく理解しているのか。観客も一緒に憲法くんの『共演者』となって、憲法を見つめ直すきっかけにしてもらいたい」と語る。

 公演は、東京都杉並区の「座・高円寺1」で、十二月八日まで。昼の部は午後二時、夜の部は同七時。一般四千二百円。問い合わせは、燐光群=電03(3426)6294=へ。  

劇団・燐光群主宰の坂手洋二さん=東京都杉並区で

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