国連専門家、米の移民関連子ども拘束数を過大発表 誤り認め謝罪
【11月21日 AFP】国連(UN)報告の作成を主導した独立専門家が、移民に関連して米国で拘束されている子どもの数を過大に発表していたとして謝罪した。
国連独立専門家のマンフレッド・ノバク(Manfred Nowak)氏は18日、ジュネーブでの記者会見で、米国では移民に関連して10万人を超える子どもが拘束されていると説明した。しかし、数字は現在ではなく2015年のものだった上、一時点の総数ではなく、年間の累積人数だった。
AFPをはじめ多くのメディアは、発表の誤りが明らかになったことを受けて記事の取り下げを余儀なくされた。ソーシャルメディア上では取り下げを受けて激しい批判が起こり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持者らは、政権の移民政策を中傷するために記事が意図的に使われたと非難の声を上げた。
ノバク氏は「自由を奪われた子どもに関する国連グローバル調査(United Nations Global Study on Children Deprived of Liberty)」を主導した後、国連総会の委託で800ページの報告書を起草。会見はこの報告書を発表するために行われた。
席上、ノバク氏は「全体的に見て、親と一緒だった子どもと大人の同伴がない子どもや未成年者の合計で、米国は特に数が多い国だ。米国では10万人を超える子どもたちが移民関連の拘束下にある」と述べた。
AFPは数字の大きさを懸念し、ノバク氏に確認を要請したが、同氏は自身が挙げた数字が正しいと繰り返し主張。「現時点で収容されている総数は10万3000人だ」と述べた上、この値は入手可能な最新の公式データと「非常に信頼できる」追加の情報源に基づいた「控えめ」な推計だと説明した。
しかし国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は翌日、ノバク氏の発言には「ある程度、誤解された部分がある」との声明を発表した。
OHCHRによると、同氏が言及したデータは実際にはバラク・オバマ(Barack Obama)政権時代の2015年にまとめられたもの。人数は同年中に拘束された子どもの累計で、一時点での総数ではなかった。
AFPが改めて説明を求めると、ノバク氏は「これが通年のデータであること」などを、「もっと明確にすべきだった」と認め、「明らかな誤解があった(中略)申し訳ない」と謝罪した。
AFPは、元の記事の根拠が全面的に誤っていたと判断し、取り下げを決めた。
2018年10月から2019年9月までを対象とする米税関・国境警備局(US Customs and Border Protection)の公式集計によると、期間中に国境で逮捕された同伴者のない子どもは7万6020人だった。また、子どもか成人かにかかわらず親族と一緒に拘束された人は47万3682家族だった。
どちらの数字も累計で、現時点で拘束されている人数を表すものではない。(c)AFP