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静岡

リニア工事 JRの直接会談拒否

◆流域の市町から回答

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、JR東海の金子慎社長は二十日、東京都内であった定例会見で、直接会談を申し入れた大井川流域の八市二町から「個別対応は控えたい」との回答があったと明らかにした。

 JRによると、八市二町からは、県や利水団体も加えて昨年八月に設立した「大井川利水関係協議会」に窓口を一本化していることを理由に、会談に応じないとの回答があった。

 金子社長は「お会いすることができず残念。直接お話ししたいという考えは変わらず、今後も機会があればと考えている」と述べた。

 個別会談は、川勝平太知事や流域首長から「JRは説明不足」と指摘されたことに応える形で、金子社長が十三日に意向を表明。川勝知事は十九日の定例会見でも「市町は、地元への説明や聞き取りをしてこなかったJRに不信感がある」と批判したが、金子社長は「県から(昨年八月に)個別交渉を控えるようにと言われるまで、さまざまな機会で説明してきた」と反論した。

 リニア工事に関連し、JRの負担によるトンネル建設や林道改良で合意している静岡市について「説明を聞いていただけるとの回答だった」と金子社長は述べたが、市側は本紙の取材に「正式な打診は受けていない」としている。

(五十幡将之)

◆JR東海社長 一問一答

 東京都内で二十日にあったJR東海の定例会見で、金子慎社長と報道陣のやりとりは以下の通り。

 -大井川流域の十市町に直接訪問を申し入れた経緯は。

 今月はじめに国土交通省の大臣官房技術審議官が市町を回られたとき、「JRから話が聞きたい」との話(が出たということ)を聞いた。その後、知事会見でも「JRが回るべきだ」との発言が報道された。

 私どもとしては昨年八月に副知事名で「個別に話をするのは遠慮するように」と要請があり、遠慮していたが、もともと市町に伺って話が聞きたいと思っていたので、各市町に申し入れをさせていただいた。

 -各市町からの回答状況は。

 各市町からは「結論としてはお会いできない。(大井川利水関係)協議会として窓口を一本化しているので個別の対応は控えたい」という趣旨の大体同じ回答があった。私どもとしては話を押しつけるわけではなく、丁寧に話をしたいという気持ちだった。今後は窓口として一本化された協議会や県との対応になると思うが、なかなか話が前に進まないので、国交省との三者協議の中で進めていきたい。

 -川勝平太知事は国交省と県、JR東海との三者協議に環境省などの参加も求めている。

 地域の不安解消のために『トンネル湧水を全て戻す』と表明し、大きな問題はクリアできたと思っていたが、県から専門的な分野の質問をいただく中で問題が専門化し、解決の筋道が見えにくくなった。

 八月に国交省と三者での進め方に合意して会議や意見交換をしたが、残念ながらこの枠組みでも収束が見えなかった。その上で国交省がもう一歩前に出て新しい枠組みを作るための調整に入ったと理解していたが、知事が(他の省庁を交える方向性を)表明をされて、今後の進め方が見えにくくなった。

 

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