平成26年、任天堂がある消費者からオンラインで販売しているゲームソフトの売買代金返還請求訴訟を提起されるという事件がありました。
当時、任天堂は従来のカセットやCD-ROMといった物品としてのゲームソフト販売に加え、ニンテンドーeショップというゲームソフトをオンラインで配信するサービスを始めたところでした。
しかし、この「ニンテンドーeショップ」はインターネット上の掲示板でも多数報告されているように、事あるごとにサーバーダウンやコネクト異常を起こし、とても安定したサービスの提供能力を有しているものとは言えない状況でした。
事件は、岡山県に住むあるユーザーAが、任天堂の家庭用据え置き型ゲーム機WiiUで使用されるゲームソフト、「レゴシティアンダーカバー」を購入し、ダウンロードを試みようとした際に発生しました。
ゲームソフト自体は順調にダウンロードされたのですが、一向にインストールするステップに移行しないというトラブルが生じたのです。ユーザーAは、任天堂のサポートセンターと呼ばれる部署に事情を報告し、改善を求めました。
サポートセンターは、ユーザーAの通信環境に問題があることを疑い、通信環境を確認するように指示しました。しかし、ダウンロードは完了しているのに、通信環境に問題があるという説明には無理があります。結局、ユーザーAは別のゲームソフトをダウンロードし、インストールが完了しプレイできるようになったことを説明した上で、これ以上「レゴシティアンダーカバー」で遊ぶ気も失せたこともあり、購入意思の撤回と、購入代金の返還を求めました。
しかし、任天堂は、サポートセンターを通じて返金には応じられないという回答をし、さらにユーザーAのWiiUには問題があるなどと言い始め、本体を修理するからWiiUを任天堂までに送るように要求してきました。
ユーザーAは、すでに「レゴシティアンダーカバー」をプレイする意思がないこと、また法務部署への取り次ぎと、これ以上手間を掛けさせるのであれば訴訟により解決する他ない意思があることなどを伝えました。
しかし、任天堂はかたくなにWiiUの修理を行うとの主張をつづけたため、ユーザーAは任天堂との建設的交渉を断念し、ユーザーAの住む住所を所管する倉敷簡易裁判所に購入代金の返還請求訴訟を提起しました。
その後、任天堂は京都地方裁判所への移送や、引き続き訴訟における証拠ともなるべきWiiUの引渡しを求める連絡を何度もユーザーAに繰り返しました。しかし、倉敷簡易裁判所は移送の申立を却下し、その後行われた訴訟で任天堂が相当の解決金をユーザーAに支払うことで合意、和解が成立しました(平成26年7月3日)。
これが、任天堂のゲームソフト売買代金返還請求訴訟(倉敷簡易裁判所平成26年(少コ)第9号)です。