東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

「別室研修」「強い注意」容認 パワハラ防止指針案了承

写真

 厚生労働省は二十日、職場でのパワハラやセクハラを防止するための女性活躍・ハラスメント規制法の施行に向けた指針の最終案を審議会に示し、大筋了承された。素案段階で労組や弁護士から「パワハラにお墨付きを与えかねない」と批判が強かった「パワハラに該当しない例」をほぼそのまま残し、企業側に恣意(しい)的解釈の余地を残した。救済すべき被害者は社員に原則限定し、就活生らへの具体策は乏しい。職場でのハラスメントが十分防げるか不安の残る内容となっている。

 厚労省は指針最終案へのパブリックコメント(公募意見)を募集した上で、年内にも正式決定する。

 最終案ではパワハラを「暴言」「隔離(人間関係からの切り離し)」など六つのパターンに分類。それぞれに問題例と容認される例を例示した。

 たとえば「隔離」では、「自身の意に沿わない労働者を別室に隔離する」のはパワハラだが、「処分を受けた労働者に通常の業務に復帰させる前に別室で必要な研修を受けさせる」ことはパワハラに当たらないとした。

 「暴言」では、「社会的ルールを欠いた労働者に一定程度強く注意する」ことはパワハラに相当しないとした。素案での「強く注意」を「一定程度強く注意」に修正したが、新村響子(にいむらきょうこ)弁護士は「『社会的ルール』の定義や『一定程度』の範囲が不明確。パワハラ的行為の正当化に使われかねない」と懸念を示す。

 労働側や弁護士らは「容認される例を示すと誤解を生む」として「該当しない例」の削除を求めていたが、経団連など経営側は残すよう主張していた。

 労働側は、就活生や企業から仕事を受注するフリーランスなども守るべき関係者に含めるべきだと主張していたが、指針案では「注意を払うよう配慮する」との表現にとどめ、就活生向け相談窓口の設置などの義務づけは見送った。 (池尾伸一)

<女性活躍・ハラスメント規制法> パワハラの就業規則での禁止や相談窓口設置を企業に義務付け、指導しても対策を講じなかった企業名は公表する。大企業は2020年6月1日から、中小企業は22年4月1日から義務化する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報