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【大相撲】

炎鵬に対する明らかなKO狙い、こんな汚い張り手は見たことがない…すっかり気が悪くなった[北の富士コラム]

2019年11月20日 22時23分

炎鵬(左)は寄り切りで大翔鵬を破る

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◇20日 大相撲九州場所11日目(福岡国際センター)

 11日目はラジオの解説日。桟敷で見る相撲は結構なものである。隣がアナウンサーでなく、芸者さんに一杯注がれて見たら、最高の気分だろうな。この夢はいつかは実現しようと決意を新たにしたところです。そんな気分で見ていたので相撲が面白かった。じゃなく、実際に熱戦が前半から続いた。

 力が入ったのはやはり炎鵬の相撲。合口のわるい大翔鵬の突っ張りをかわし懐に入ろうとする。それに対し、大翔鵬が右で張って防戦。相撲は格闘技だから反則以外は何をしてもいいわけだが、アッパーカットのように下から、それも何度も、である。明らかにKO狙いと言ってもいいだろう。私も張り手はいろいろ見てきているが、こんな汚い張り手は見たことがない。自分の半分にも満たない炎鵬がそれほど怖いのか。とても将来性のある力士が取る相撲ではない。この一番ですっかり気が悪くなった。

 阿炎はベテラン隠岐の海にしてやられた。もろ手で突いて出たが、隠岐の海が先手を打って突っ張った。これには阿炎も文字通り、面食らったようだ。足が止まったところを引かれるとバッタリ前に落ちた。目に見えて強くなってきている阿炎だが、立ち合い、もろ手突きしかないのが物足りない。体もできてきたので、体全体で当たる立ち合いが身に付くと戦力は増すだろう。

 御嶽海は遠藤になすすべなく寄り切られ、6敗目となった。もはや気力の方も萎えてしまったようだ。何とか奮起して勝ち越さなくてはいけない。今後ぶつかる白鵬戦は死ぬ気で取って「どっこい、御嶽海は生きている」ところを見せてくれ。

 そんな御嶽海とは対照的に、貴景勝は苦境を脱して勝ち越した。大関の8勝を褒めるのはおかしいが、不屈の精神力は褒めなくてはいけない。貴景勝の精神力が御嶽海にあれば、とうに大関になっているはずだ。白鵬は竜電に待った。さすがに慎重になっているようだった。肝心の相撲はもろ差しになられたが、両上手を引いて落ち着いて寄り切った。これで優勝は視界に入っただろう。今日12日目の遠藤戦に勝つと、8割方決まりと言っていいのでは。

 朝乃山は御嶽海戦。今の両者の力では朝乃山有利は動かないと思うが、御嶽海が何とか“最後っ屁”を放つかもしれないので要注意。

 原稿を送って早く飯が食いたい。今は食い気しかない。色気はまったくなし。見たくも触りたくもない。酒? 飲む人の気が知れない。おやすみなさい。(元横綱)

 

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