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秀吉と日帝が朝鮮を破壊し収奪したことは事実で、彼らにはそれについて抗議する権利があります。ここが原点。我々は帝国主義の端末として生存してきたのです。

1988年時点(まだヘイトスピーチという概念もない時代)に、恐らく高校生なら朝鮮語は知らないからあちらの「カタコトの日本語」で追求された日帝の責任について当時真摯に受け止められなかったばかりか、31年経った今でも却って「差別された」と感じている彼の感覚そのものが帝国主義なのですよ。

彼のような帝国主義者になるまいとして書き上演しようとしているアラル海鳥瞰図によりによって彼のような人物が釈明を求めてくるのが日本の現状であることに鑑み、僕らの演劇はあやまたず進歩して行かねばならないのだと考えますね。

アラル海鳥瞰図は「ソ連の」帝国主義を批判する被差別者すなわち一方的に「敵対民族」と規定された朝鮮族の立場から書かれていますが、むろん沿海州にやってきた朝鮮族移住者の移住の理由は「日帝により土地を奪われた」からなのであって、根本的には(スターリンより)日本に罪があるわけです。

アラル海鳥瞰図の登場人物は誰も直接には日本政府や殖産企業・個々の日本人を非難してません。でも元凶は明治-昭和の日本の政策にあるんですよ。作劇上表面で言わないだけで。「それしか道はない」ようなことではなかったのに選んだ道に、我々は責任を取りきる必要があるでしょう？

それにしても朝鮮族を描こうとするとべったりレイシズムが張りついてくることはやはり何度でも確認できる事実だな。