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 こうして、金曜日の夜にはごく一部の抗議者のみがキャンパスに残ることになった。キャンパス内の人数がかなり減ったこともあり、警察は抗議者を強硬に排除するのではないかとの観測もあったが、実際は抗議者が二橋で車を燃やしただけで、大きな衝突はなかった。そして過激な抗議者もキャンパスから出て行き、キャンパスの中から抗議者が全員消えたのである。こうして中文大学での抗争はあっけなく終わったのだった。

土曜日の朝にキャンパスに行くと鳥のさえずり以外何も聞こえなかった

立てこもりの拠点は香港理工大学へ

 そして、抗議者たちは本格的に理工大学に移った。理工大学の英語名称はPolytechnic University、通称「PolyU」と呼ばれている。理工大学という名称であるが、理系だけではなく文系の学部も多く設置されている。香港の大学の中では中堅に当たるが、そもそも香港では公立大学に行くことがかなり難しく、香港社会の中ではエリートと言えるだろう。

 中文大学と同様、月曜日にはすでに理工大学は抗議者の拠点となっていたようだ。理工大学は香港島と九龍半島を結ぶ香港海底トンネルと、それに接続する九龍半島各地に接続する高速道路の横に位置している。大学のキャンパスは大規模なジャンクションやインターチェンジに囲まれており、さらにその道路を挟んで高架橋によって鉄道駅にも接続している。

 理工大学と中文大学はどちらも大学と外部が香港の大動脈である幹線道路をまたぐ高架橋によって接続されている。そのため、抗議者がその橋の上から下にある幹線道路へ物を落として車両の通り道を遮断することができた。

 理工大学は都市の中に位置し、四方が幹線道路に直接接している。山に囲まれた中文大学とは異なり、隠れる場所がなく非常に目立つので、警察は抗議者がキャンパスを出た瞬間にすぐに逮捕できる。なお、キャンパスの横には人民解放軍の基地がある。基地の門の前には兵士が銃を持って待機していたが、もちろん彼らに大きな動きはない。

理工大学のすぐ横には人民解放軍の軍事基地がある

 キャンパスの狭い敷地内で、それぞれの建物が複雑に接続し、全体が一つの城のようになっている。キャンパス内の構造を知らない人には迷宮のように感じられるだろう。地下通路や地下施設も多く存在しており、籠城しやすい構造ではあっただろう。

複雑なキャンパスの構造図。17日日曜日の夜には全ての出入り口が使用不能になった。

 理工大学の教員によると、11日月曜日から占拠は続いていたが、少なくとも15日金曜日の時点では大学に近づき、その中に入ることも可能だったようだ。取材に当たっていた知り合いの記者も、「土曜日午前中までは出入りがそう難しくなかった」と述べる。