新小結の朝乃山(25)=高砂=は明生に快勝して勝ち越し、ただ一人2敗を守った。
ゴールはここじゃない―。そう言いたげな完璧な右四つの攻め。朝乃山が4連勝で新三役での勝ち越しを決めた。立ち合いの踏み込みと同時に、左上手をガッチリ。右も深く差して明生の左からの強引な投げをものともせず、圧力をかけ続けて力強く寄り切った。
場所前の新三役会見で掲げた目標を早々にクリア。それでも、支度部屋では淡々と振り返って「笑わない男」状態だった。
「通過点。勝ち越してうれしいわけでもない。とりあえずホッとはしているけど、けがなく2桁を目指したい」
先頭の白鵬を1差で追うただ1人となった。周囲が期待する優勝争いには「先は見てない。一日一番、前に出る自分の相撲を取りたい」。無心を強調したが、まずは大関とりの起点となる2桁白星と、52勝で単独トップの年間最多勝。充実感たっぷりに、一年納めの終盤戦の主役になる。