「武闘派」でないと出世できない
このようにマスコミがワイドショー化したことが、野党に大きな変化をもたらした。かつて社会党の幹部になったのは大きな労働組合を基盤にした実力者だったが、いま野党で活躍するのは国会で派手に暴れる「武闘派」である。
その代表が、最近話題になった国民民主党の森ゆうこ議員だ。彼女の質問には、政策論は何も出てこない。国家戦略特区をめぐる真偽不明の疑惑を語気荒く語り、規制改革推進会議の原英史座長代理が「国家公務員だったら収賄罪だ」などと事実に反する質問をする。
質問通告が遅れて多くの官僚が待機させられても、謝罪もしないで「情報漏洩だ」と開き直る。その根拠にした資料がサンフランシスコ時間になっていることを指摘されても訂正さえしないで、今は桜を見る会に騒いでいる。
森議員はかなり特殊なケースだが、例外ではない。彼女が情報漏洩を騒ぎ始めてから、立憲民主党会派の今井雅人議員や柚木道議議員もサンフランシスコ時間で国会質問したが、それを謝罪もしない。彼らも桜を見る会に騒いでいる。
民主主義とはそんなものだ、と達観する人もいるかもしれない。政治家にとって一番大事なのは再選されることだから、野党が有権者の大部分を占める無知な大衆に最適化するのは当然だ。
しかし桜を見る会でいくら騒いでも、政権を取ることはできない。スキャンダルに特化した野党は、政権から遠ざかるばかりだ。それは野党を衰退させるだけでなく、有権者から選択肢を奪って民主主義の死に至る道である。












