阪神の秋季キャンプに参加した山本昌臨時コーチ(54)が、来春のキャンプでも同職を務めることが19日、決まった。今キャンプは計10日の指導。名古屋と高知を飛行機で9往復というハードスケジュールにも「あっという間の3週間だった」と充実の表情。藤浪晋太郎投手(25)の復活サポートも継続することとなり、本人は“マサ塾”での教えをオフも続けていくことを誓った。
安芸の風を感じ、山本昌臨時コーチが充実した秋に思いをはせた。「僕自身も勉強になることばっかり。あっという間の3週間でしたね」。ブルペンでも、食事会場でも“マサ塾”を開講。「安芸にいなくても、選手のピッチングフォームが頭の中をクルクル回るよ」と笑い飛ばし、所用で見られなかった紅白戦でもまな弟子たちの投球を全球、映像で確認した。
そんな山本昌臨時コーチが最後に伝えたかったこと。「来年の開幕は早い。せっかくここまで投げ込んだんだから、あまり緩めないように」
この言葉に一番の門下生である藤浪も、大きくうなずいた。「オフもボールを触ろうと。忘れないようにしっかり投げられればと思います」。手に残る感触を確かなものにするために、右腕はオフもボールを手放すつもりはない。
連日のように指導を請うた。右打者の内角へ抜け球をなくすことから始まった今キャンプ。「手首を立てろ」「ミットまでのラインを外れるな」…。教わったシンプルな言葉を一つずつ、心に刻み込んだ。
最終日となったこの日もブルペンへ。惜しむかのように丁寧に63球を投じた。ラスト1球、力強いストレートがミットに収まると、山本昌臨時コーチからも「決まったな、最後」と声をかけられた。取り戻しつつあるのは、感覚と自信だ。
例年よりも開幕が早い来季に向け、第1クールから実戦が組まれることが決まった。「実戦で投げられるように準備していきたい」と藤浪。感謝の秋、恩返しの春へ。復活への道を一歩、一歩、着実に歩んでいく。(松井美里)