中国「ダブルイレブン」のあとは米国「ブラックフライデー」インバウンド富裕層へのヒント“倫理的消費”

中国で毎年11月11日に行われる独身の日(シングルデー)を祝うイベントである「ダブルイレブン」が終わります。

もともとは大学生がプレゼント交換をしたり、パーティーをひらく程度の光棍節(こうこんせつ)というイベントでした。

しかし、中国の大手ECサイト「アリババ」がこれに目をつけ、2019年にECセールを始めたことで、2017年には約2兆8千600億円をたった1日で稼ぎ出すまでになりました。

11月に行われる大規模商戦として「ブラックフライデー」があります。

世界ではこの「ブラックフライデー」がどのような機会になっているのか、また、小売り業のトレンドについても解説します。


ブラックフライデーとは

ブラックフライデーはクリスマスを控えた年末商戦の始まりで、一年で最も大規模なセールが行われる日でもあります。

アメリカ由来のイベントでアメリカやハワイで盛んなイメージがありますが、ドイツやイタリア、ブラジル、中国など世界中に広がりつつあります。

ブラックフライデーは11月の第4木曜日の「サンクスギビングデー(感謝祭)」の翌日の金曜日で、2019年の場合は11月29日があたります。

なぜ年末商戦の始まりになったかといえば、「サンクスギビングデー」である第4木曜日から3日後の「アドベント(待降節)」まで、アメリカでは4日間の連休になるからです。

キリスト教社会では、一般的にキリストの降誕であるクリスマスの約4週間前の「アドベント」は、クリスマスへの精神上の準備期間の始まりと捉えられます。

アメリカのクリスマスは日本の正月の様なものなので、年末の帰省が「サンクスギビングデー」から始まる4連休にする人も多く、年末商戦の始まりになったと言えます。


広がるセール文化

ブラックフライデーは近年アメリカ以外でも取り込まれるようになり、世界中に広がりを見せていますが、定着具合や導入方法など、国や文化によって違いが出ています。

まず、比較的しっかりなじんでいるのはキリスト教文化が浸透している欧州が挙げられます。

イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、イタリアの5か国で、2014年から2017年のGoogleで「ブラックフライデー」が検索された件数の推移を調査したところ、イギリスを除く4か国は4年間で倍以上に増えていました。(https://ecnomikata.com/column/21096/)

イギリスはというと、決して認知度が低いわけではないようですが、12月26日にあるボクシングデーという伝統的なショッピングイベントがあり、ブラックフライデーが定着しないのではないかと言われています。

一方、ドイツは欧州の中でもブラックフライデーが盛り上がりを見せています。

しかし、ドイツでのブラックフライデーの収益が高いのはモバイルコマース(携帯電話での電子商取引)の場合であるというのは注意すべきところです。

欧州、特にドイツではスマートフォンでの買い物が普及しており、実際に店頭でサイトの商品と値段を比較しながら買い物をしていることもありえます。

デジタル化が進んだことでブラックフライデーを取りやめる事例もある一方で、ヨーロッパの一部では電子商取引の普及がブラックフライデー商戦を後押しする結果になったと言えます。

また、ブラックフライデーで店頭とネットで値段を比較し、連休明けの月曜にネットショッピングの売り上げが伸びるという「サイバーマンデー」という言葉も生まれています。

次に、アジアでは、航空会社がブラックフライデー近辺の日取りのチケットをキャンペーンを開催して割引する動きがみられます。

中国では「ダブルイレブン」と時期が近いことから、そのまま熱を受け継いで、ネットショッピングを中心に盛り上がりを見せています。

対する日本は、年末、クリスマスのセールを前倒しする形で徐々に認知度を上げ始めていますが、年末の消費の盛り上がりを手前で摘んでしまうだけで、総合して考えると黒字になるかは怪しいという意見もあります。


変わる世界のトレンド

ネットショッピングの普及によって、当日の金曜日ではなく、翌週の月曜日、またはその月曜日を含む1週間の消費が伸びる傾向があるなど、ブラックフライデーの商戦も変わりつつあります。

安く、お得にたくさんのものを手に入れられることに消費者がメリットを感じ、これまで盛り上がりを見せてきました。

しかし近年では、消費者が環境への負荷を減らすことや、社会貢献などを考えた商品やサービスを選ぶ傾向が世界では広がりつつあります。

搾取を防ぐために途上国から適正な価格で商品を購入するフェアトレードなどが挙げられます。

そんな中消費を促す存在であった広告も変わりつつあります。

アパレルメーカーのパタゴニアは、ニューヨーク・タイムズの広告で「自社の衣類を買わないように」、「企業として消費主義の問題に正面から

取り組む時が来た」という文言を用いています。

こういった流れの中、インターネットでの買い物が急速に伸びる一方で、店舗での買い物の体験にネットショッピングにはない価値を見出す消費者の傾向も出始めています。

ブラックフライデーの様な大規模商戦においても、デジタル化に特化し取りやめる企業や、好機とみて新しく取り入れる企業など、新しい小売りの業態が模索されています。


まとめ:「エシカル」キーワード、富裕層へ訴求も

消費することが良いことと、いう感覚はいわゆる「先進国」から消えつつあると言えます。

それでも、物質的に満たされることが幸福感を醸成する重要なキーワードであることは世界的には変わりません。

しかし、上記でも述べたように消費者が社会全体の課題や問題を考えた消費行動をするべきだと考える、エシカル(ethical)消費

が特に世界的に見れば広まりつつあります。

パタゴニアの広告のように、富裕層向けには「倫理的に肯定されるもの」であることを訴求することも戦略の一つと言えるかもしれません。



参考リンク

米国最大のセール「ブラック・フライデー」にも変化!?

ブラックフライデーは欧州のホリデーショッピングを変える?

中国国際航空、往復13,200円からの「ブラックフライデーセール」開催中!日本発着のアジア/欧米/オセアニア方面対象

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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