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CULTURE 2018.12.5

メンタルトレーナーに伺いました

もやもや原因が判明!やる気が起きないとき「脳から無意識に出ているメッセージ」6選

やる気が起きないとき、私たちの無意識は脳を通じてどんなメッセージを送ってくれているのか? また、やる気を起こすにはどうすればいいのか? メンタルトレーナーとして活躍する、梯谷幸司さんにアドバイスしてもらいました。梯谷さんによれば、やる気が起きないのは「建前と本音がずれているから」「未来設定が間違っているから」「そもそも『やらなきゃ』という発想が間違っているから」「目的が明確になっていないから」「他者の評価で決めようとしているから」「心の中に自己否定感があるから」だそうです。

やらなきゃいけない仕事があるのになんだかやる気が起きないとき、ありますよね。一体どうすれば、モチベーションを維持できるのでしょうか? この悩みをメンタルトレーナーの梯谷幸司さんにぶつけたところ、まずは無意識のメッセージを知ることが大事だと言います。

「やる気が起きないというとき、その原因はさまざま。『単純に疲れているから』など、寝れば問題解決する場合もあります。しかし、『何ごとに対してもやる気が起きない』など、人生全般においてアクションが起こせない場合は、根底にあるのは本当の自分を生きていないことが原因だったりもします。

やる気を起こす、そして、本当の自分を生きるためには、顕在意識、潜在意識、そして無意識について知り、それらをどんどん書き換えて、理想的な現実をつくってしまえばいいのです」(梯谷さん)

もやもやしているとき、私たちの脳は一体どんな状態になっているでしょうか? 梯谷さんから、自覚すべき原因とモチベーションを上げるための具体的なアドバイスを詳しく教えていただいたので、以下からご紹介します。

やる気が起きないときに脳から出ている「無意識のメッセージ」6選

■1:建前と本音がずれているからやる気が起きない

意識の深いところの自分の声を聞いていますか?
意識の深いところの自分の声を聞いていますか?

「やらなきゃ」とは思っているのに、行動に移せない。そんなときは、建前と本音がずれているかもしれません。

「最初に理解していただきたいのは、私たちの意識の構造についてです。私たちの意識でいちばん表面にあるのが顕在意識です。起きているときは、この顕在意識が活発に活動することで、理性が優位となり、物事を判断したり、何かを思い、感じ、認識します。

その下には、潜在意識(=無意識)があります。この潜在意識の領域は、起きているときにはあまり強く認識できません。一方で、寝ているときは、この潜在意識が活発になって夢などにも影響を与えています。

本音と建前で言うならば、より深くにある潜在意識が本音で、現実生活と密着した顕在意識が建前にあたります。ここまでは皆さんもお分かりになるでしょう。

今回お伝えしたいのは、潜在意識のさらに深層にあるメタ無意識についてです。メタ無意識とは『~を超えた』という意味で、潜在意識を超えた意識です。メタ無意識をわかりやすく説明するために、私がよく使うのがお茶碗に入った山盛りのごはんの例えです。

お茶碗から出ている山盛りご飯の部分が顕在意識です。そしてお茶碗に隠れてしまっているご飯が潜在意識です。
さてもうひとつ、顕在意識と潜在意識を入れているお茶碗がメタ無意識なのです。この構造を知っておいてください。

メタ無意識の役割は重要で、人生におけるさまざまな現実を形づくる器でもあります。物事に対する考え方、意識の持ち方を書き換えるということは、顕在意識、潜在意識を書き換え、最終的にはこのメタ無意識を書き換えて、現実が変わることにつながるのです。

話をやる気に戻します。あなたの顕在意識、つまり建前では『この仕事で成功するぞ』と思っているとします。しかし自分の本音(潜在意識)をよく観察してみると、『本当は他にやりたいことがある』と長年、ずっと思っていたりするのです。

このように建前(顕在意識)と本音(潜在意識)にずれをもって生きていると、あなたのメタ無意識はやる気を起こさせないように働きかけて、『建前と本音がずれているよ』とサインを出すのです。

そこで、まず自分の本音(潜在意識)をしっかりと見極め、本音で生きる、本当の自分として生きるにはどうすればいいのかを考えて、そのための道筋を立てるようにしましょう。

そして、いまやらなければいけないことを『これをやれば本音で生きられる』という目標のためのステップとして考えれば、やる気がぐんと起きるはずです」(梯谷さん)

やる気が起きないとき、それを教えてくれるのはメタ無意識という領域だったのです。また、建前がモチベーションを殺していたことが判明しました。自分の本音を日ごろから見つめること。そして、本音を隠さず生きる方法を考えていきましょう。

■2:未来設定が間違っているからやる気が起きない

「幸せになりたい」では幸せはやってこない?
「幸せになりたい」では幸せはやってこない?

「仕事をバリバリこなして昇進したい」と「作業をスピーディーに行って評価を上げたい」と思っているときに限って、いざ仕事に向かおうとしてもやる気が起きないなんてことがありますよね? その場合、未来設定が間違っているかもしれません。

「幸せになりたい、愛されたいなど、だれもが『~たい』という願望系で未来を想います。実はここに大きな間違いがあります。

例えば『幸せになりたい』と未来設定すると、メタ無意識はあなたの現在を『では、今は幸せではないのだな』と認識することになります。そしてメタ無意識は、幸せではない現実を創るための素材を集めて来るのです。つまり、未来への想いが願望形になっていると逆にブレーキがかかるということ。これを覚えておいてほしいのです。

そこでこちらも脳の逆を突いて、『未来、私は幸せだった』と未来設定します。そうするとメタ無意識は、『それならば、今をどんどん幸せにしなければいけない』と認識して、あなたを幸せにする現実を集め始めます。

同じように『仕事をバリバリこなして昇進、評価されたい』と願望系で想っていると、『今は仕事ができない人なのだな』と、やる気を起こさせない現実が集まってしまうのです。

そこで『私は仕事をしっかりとこなした』など、未来設定での自分を『仕事のできる人』にしてしまってください。これによりメタ無意識は、あなたが仕事をサクサクこなせる現実を集め始めるのです」(梯谷さん)

願望系は逆にブレーキがかかることがわかりました。これからは「愛されたい」ではなく、「未来の私は愛されている」と未来設定することで、愛される現実が集まるとのこと。早速、やってみましょう。

■3:そもそも「やらなきゃ」という発想が間違っているからやる気が起きない

「やらなきゃ」は要注意のNGワード!?
「やらなきゃ」は要注意のNGワード!?

やる気が起きないとき、ついだれもが「やらなきゃ」と念じて自身を奮起させようとしがちです。しかし、どうやらこの「やらなきゃ」が、逆効果になってしまうそうです。

「みなさんも経験があると思いますが『やらなきゃ』と思っている間は、行動に移せません。やらなきゃという意識が湧いてきたら、シンプルに『よし、やろう』に書き換えてください。そうすればすぐに行動に移せるのです。

なぜなら、何かをやろうと思ったとき、メタ無意識はすでに脳に指令を出して、あなたがそれをやるための肉体的な準備はすでに整えています。メタ無意識がスゴいのは、あなたの行動をすべて事前に予測して、その準備を脳にさせるということです。このことは脳科学がすでに証明しています。

メタ無意識はいわば、あなたの中の予知能力者です。あとは行動するだけなのに、それに待ったをかけてしまうのが『やらなきゃ』という意識です。これはほとんどの人が勘違いしていることです。身体に奮起させようとして『やらなきゃ』と意識しているつもりが、じつは身体にストップをかけてしまっているのです。

例えば、『ペンを持とう』と思ったとき、だれもがシンプルにペンに手を伸ばし掴みます。ところが『ペンを持たなきゃ』と意識すれば、それはペンを持つという結果ではなく、『ペンが持てずに奮闘している現実を創りたい』ということになり、身体はペンを持たないようにストップするのです。

つまり、『やらなきゃ』でやる気を起こさせようとするのは間違いですと、メタ無意識が教えてくれているわけです。

『やらなきゃ』が出てきてしまう場合、やはりあなたの本音(潜在意識)が、『本当はそれをしたくない』と抵抗していることが多いと思います。『やろう』でそのことを片付けた後で、自分の本音と向き合ってみましょう」(梯谷さん)

「やらなきゃ」は、だれもがしょっちゅう口にする言葉。言われてみれば確かに、そう思っている間、身体はずっと固まっていますよね。その理由がやっと明らかになりました。これからはシンプルに「よし、やろう」と自分に働きかけていきましょう。

■4:目的が明確になっていないからやる気が起きない

脳が欲しがるのは過程ではなく目的・ゴール
脳が欲しがるのは過程ではなく目的・ゴール

「この作業って、つまんないんだよな」と思った瞬間、やる気が失せてしまうこともありますよね。こうした際は最終目的を意識した発想をしなさい、というメッセージなのだそうです。

「何か行動するとき、最終目的を達成することに喜びを感じる目的基準パターンと、楽しさやワクワク感、充実感、安心感などに喜びを得る体験基準パターンがあります。

意識が向いている焦点で比べると、目的基準パターンの場合は、その行動の結果とさらにその先にある最終目的に合っています。一方で体験基準は、行動の過程がいかに楽しいか否かという、目的に到達するよりも前の段階に合っているわけです。

やる気が起きないというとき、多くの場合、あなたの意識が『体験基準パターンになっていますよ』と教えてくれているのです。そこで目的基準に意識を書き換えて、『なんのためにこれをやるのか』という、行動に対しての明確な最終目的をつくるようにします。

もちろん、ワクワクやりたいということ自体が間違いなのではありません。その感覚も重視したければ『この作業をどうすればワクワクしながら、最終目的のために成し遂げられるか』と考えればいいのです。

大切なのは、まず、最終目的をつくり、その次にワクワクする方法を考えるということ。成功者は目的基準の意識の持ち方をします。例えば、浅田真央さんは、かつては『自分の演技がしたいです』と、演技に焦点を当てた体験基準の発想をしていて、なかなかメダルが取れませんでした。

しかしその後、『やりきったと言えるように終わりたいです』と、ゴールとその先を見据えた目的基準の発想になり、メダルが取れるようになりました。目的基準の意識が生まれると、ゴールはただの通過点にもなりますので、ゴール到達が容易になります。

私たちの脳は目的・ゴールを欲しがるのです。何のためにやるのか、という目的意識があると脳は働いてくれます。目的がないと、『無駄なことはしません』とばかりに、やる気を与えてくれないのです」(梯谷さん)

やはり脳にとっても目的は重要な条件です。何事にも目的意識をしっかりと持つようにしていきましょう。

■5: 他者の評価で決めようとしているからやる気が起きない

うまくいっているかどうか、知っているのは自分? 他者?
うまくいっているかどうか、知っているのは自分? 他者?

やる気が起きないという際、そのやろうとしていることに対して、誰かのためだったり、「やらされている」という意識があったりしていませんか?

「私のクライアントさんには客商売の方も多くいらっしゃいます。そうした方々の多くが『お客様に喜んでもらいたい』ということを仕事のモチベーションにしています。これが他者基準という意識の持ち方です。

自分の行動がうまくいっているかどうかを、他者の評価で決めようとします。そして、他者のために何かするという発想が強いのです。もちろん、他者のために何かするのは悪いことではありません。でも、そればかりでは、自信につながる自己決定感が得られないため、長く仕事を続けるのは困難にもなります。

一方で自分基準という意識の持ち方は、自分の行動がうまくいっているか否かを自分で考えて判断します。自己決定感が得られるため、自信にも満ちあふれていきます。やる気が起きないというときは、他者基準の意識になってしまっているときです。なぜなら他者の評価など、見えにくいものだからです。そのため、やる気が起きなくなります。

そこで自分基準の意識に書き換えて、『他者がどう評価しようと、これをやることが自分にとっては意味がある、自信につながる』と自分で判断して行動に移せばいいのです。自分基準で物事を意識すると『この作業は誰かのためにやっている、やらされている』という発想にもつながりませんので、自然とやる気が湧いて来ます」(梯谷さん)

何事に対しても自分の意志をしっかりと反映させることが大事、ということですね。ぜひ自分基準もしっかりと育てていきましょう。

■6:心の中に自己否定感があるからやる気が起きない

自分の中に抱えてしまった矛盾した思いは要チェック!
自分の中に抱えてしまった矛盾した思いは要チェック!

行動に対して、「自分にはできる」という意識と「自分には無理」という両方の意識があって、その結果「やる気が起きない」となってはいませんか?

「私のクライアントの方で、こんな悩みを語ってくれた方がいます。その悩みとは、仕事や恋愛等で『何かでうまくいきそうになると、なぜかいつも自分でつぶしてしまう』というのです。

カウンセリングしてみると、その人の顕在意識と潜在意識の中には、自分はできるし、幸せになりたい自己肯定感の高い自分と、私は幸せになってはいけないという、自己否定感の両方があることがわかりました。

この自己否定感は、病気がちだった妹さんに、いつも『お姉ちゃんはやりたいことをやれていいわね』とうらやましがられていたことで、妹に対しての間違った同情から生まれた意識でした。この不要な自己否定感が、あと一歩でうまくいくという段階で意識の中に現れては、やる気をなくすという形で足を引っ張っていたのです。

『自分は無理、できない』という自己否定感をなくし、『自分にはできる、成功できる』という高い自己肯定感だけに一本化することで、一気にやる気がみなぎるはずです」(梯谷さん)

自己肯定感と自己否定感は、多くの人が意識の中に同居させて持ち合わせているそうです。その自己否定感がどこからきているのかを見極めて、物事に対しては、自己肯定感だけを意識して向かうようにしましょう。

やる気が起きないとき、私たちの意識の深いところからさまざまなメッセージが出ていて、正しい意識の持ち方をするよう教えてくれているのです。もやもやしたときは、まずこれらの声に耳を傾けること。そうすれば、おのずとモチベーションは上がっていくはずです。

梯谷幸司さん
心理技術アドバイザー/メンタルトレーナー、トランスフォームマネジメント株式会社 代表取締役。米国NLP協会Art of NLPトレーナー、LABプロファイル・コンサルタント&トレーナー
(はしがい こうじ)人間心理、言語心理学、催眠療法、NLP(神経言語プログラミング)など、これまで世界的な専門家に師事し、30年以上の歳月をかけ科学的手法に基づいた独自の成功理論「梯谷メソッド」を確立。夫婦問題からうつ病患者、経営者、アスリートにいたるまで、クライアントの抱える先入観や思い込みを素早く特定し、脳の95%を支配する潜在意識をフル活用させ、精神的、身体的苦痛を伴わずに、のべ48,800人のセルフイメージを変革してきた。わずか30分で成功者ゾーンに意識変革させるその手法は、経営者やビジネスマンからも「再現性が高い」と絶大な支持を得ている。30年超のキャリアと起業家からアスリートまで、のべ48,800人のセッション経験を武器に、外資系企業へのコンサルティングや研修事業なども行い、一般向けにはワークショップを精力的に開催中。
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この記事の執筆者
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CULTURE 2019.11.20

「億を稼ぐ」ビジネス教育者に聞きました

もうスマホに忙殺されない!「仕事ができる人」がやっている情報収集のコツ4選

情報収集に時間をかけているわりには、ビジネスチャンスやキャリアアップに生かせていない人は多いはず。仕事ができる人はどのように情報収集しているのか、ビジネス教育者の小林正弥さんに教わります。仕事ができる人がやっている情報収集のコツは次の4つ。専門フィルタを通して世界を見る、成功者に効果的な質問をする、価値ある情報のためにはタダ働きも辞さない、インプット中心に行うのではなく顧客のためのアウトプットを前提とする、の4つです。真の情報強者になるためには、時間を浪費するだけの無駄な方法から脱却しましょう。

「情報を制する者が、ビジネスを制する」といっても過言ではないこの時代。さまざまなツールを駆使して、情報収集に余念がないビジネス・パーソンは多いはず。

しかし、SNSやニュースアプリのチェックに日々忙殺されるばかりで、仕事にとってプラスになった試しがない、という心当たりはないでしょうか? 実は「情報収集のやり方が根本的にまちがっている」のが原因かもしれません。

ただやみくもに情報を集めるだけで、何も現状が変わらなければ、その情報収集にかけた時間や労力は、無駄同然。他方、情報をうまく活用して、ビジネスチャンス、キャリアアップにつなげたり、自分の収入・資産を増やすことに成功したりしている人は、どのような工夫をしているのでしょうか?

今回は、『億を稼ぐ勉強法』の著者でビジネス教育者の小林正弥さんに、仕事ができる人がやっている情報収集のコツについて教わりました。

知識メタボにならない!「仕事ができる人」がやっている情報収集のコツ4選

■1:専門フィルタを通して世界を見る

専門フィルタを通すと全てが学びに変わる
専門フィルタを通すと全てが学びに変わる

今は、スマホ1台あれば、誰もが簡単にあらゆる分野の知識を得ることが可能です。SNSやニュースアプリでは、情報が日々刻々と更新されています。

一見すると、便利な世の中になったようですが、小林さんによれば、情報にアクセスしやすい時代だからこそ、ただ知識を集めるだけで成果を出せない、「知識メタボ」な人は増えているとのことです。

では、単なる知識メタボな人と、情報から何かを生み出せる人とでは何が違うのか。小林さんは「仕事のできる人は専門フィルタを通して世界を見る」と主張します。

「たとえば、『マーケティング』という専門フィルタを持っていれば、プライベートで飲食店を利用した際にでも、そこのメニューから学びはあります。『松竹梅の3つのコースがあり、真ん中のコースが売れている→真ん中が売れやすいという価格のマジックがある→自分の営業でも、お客様に3つのコースを提案してみてはどうか』というような学びです。

専門フィルタがなければ、情報はすべて素通りしてしまいます。網を持たずに魚をとるようなもので、いくらSNSやニュースアプリをチェックしても、書物を読み漁っても、仕事に生かせる知識は一向に身につきません。他方で、専門フィルタをもてば、人生の全てが学びに変わるのです。

また、専門フィルタは1つではなく、複数持つことをおすすめします。というのも、1つの専門性しかないと、その分野での勝負が難しいからです。たとえば、マーケティングの専門家は世の中にたくさんいるので、いくらでも替えがききます。

他方、複数の専門フィルタがあると、『マーケティング×教育』、『教育×コミュニケーション』などの掛け算によって専門性の強化につながり、その人の希少価値が高まります」(小林さん)

情報収集のつもりで、ただ漫然とスマホを眺めているうちに、いつのまにか時間が経ってしまった、という経験はありませんか? 「何か面白い情報ないかな」という姿勢では、受け取った情報から何も価値を生み出すことはできません。まずは、自分の専門フィルタを設定しましょう。

■2:成功者に効果的な質問をする

自分のお手本に積極的に質問する
自分のお手本に積極的に質問する

ただ漠然と情報をかき集めることには、時間の無駄になるという以外に、もうひとつ弊害があります。それは、有害な情報に振り回されて、かえって成功が遠のいてしまうこと。

他方、仕事ができる人はどうやって有益な情報を集めているのかというと、小林さんによれば、成功者に効果的な質問をするのが最善だと主張します。

「知識やノウハウは豊富だけれど、結果が伴っていない人は世の中にたくさんいます。たとえば、やたらダイエット方法に詳しいけれど、太っている人。ビジネス書をたくさん読んでいるけれど、全く仕事ができない人などです。

そういう人に限って、リアルでもネット上でも、わけ知り顔でアドバイスを押し付けてくることはありますが、はっきり言って有害以外の何物でもありません。人は無意識のうちに結果の出ていない自分を正当化、擁護しようとして、『〇〇というダイエット方法は効果がない』とか、『起業なんて危ないよ』などと、成功にブレーキをかけるような呪いをかけてくるからです。

呪いをかけられそうになったら、心の中で『それはあなたにとっては、そうなんですね』と唱えて、相手の言葉を無力化してしまいましょう。

知識や情報は、誰が発しているのかが非常に重要です。ダイエットであれビジネスであれ、自分が何か目標を実現したいのであれば、既にその目標を達成している人からアドバイスをもらいましょう。

その際、おすすめの質問があります。それは、『〇〇さんが実現したことを、もしゼロから最速でやるとしたら何をどの順番でやればいいですか?』という質問です。

まぐれではなく、実力で成功した人であれば、成果を得るための正しい道筋を知っています。また、いい加減な気持ちではなく、本気で目標を達成したいという相手には、喜んで自分のノウハウをシェアしたいと考える成功者はたくさんいます。

自分の頭で考えられることは、過去の延長でしかありません。理想の未来にジャンプするためには、お手本となる人物(ロールモデル)から成功のルールを学びましょう」(小林さん)

たとえば、プロ野球・読売巨人軍の坂本勇人選手は、日本を代表する一流プレーヤーですが、自分の野球技術を向上させるためには、敵チームの選手や指導者にまで教えを乞うほどの「質問魔」として知られています。

「断られたらどうしよう」などと尻込みせず、自分から積極的に情報を取りにいきましょう。

■3:価値ある情報のためには、タダ働きも辞さない

本当に価値ある情報はタダ働きしてでも取りに行く
本当に価値ある情報はタダ働きしてでも取りに行く

自分にとって有益な情報を得るには、成功者に質問するのがベスト。とはいえ、「身近にそんなお手本となるような人物がいない」とか「質問したところで、気前よく教えてもらえるわけがない」と思った人も多いのでは?

そこで、思考停止し、無料で簡単に手に入る情報だけに甘んじていては、永久に凡人から抜け出せません。仕事のできる情報強者は、自分にとって必要な情報を得るための労力を惜しまないのです。

「ビジネスの基本は、価値と価値の交換です。自分にとっておいしい情報を何でもタダでもらおうとするのは、虫のよすぎる話かもしれません。ロールモデルからお金を生む知恵を得たいのであれば、相手にもメリットを提供する必要があります。

お金を払うのもひとつの手ですが、僕がイチ押ししている方法は、労働力の提供、つまりタダ働きです。たとえば、僕の場合、“本の売り方”について学びたい時期には、第一線で長く活躍している作家のもとで、彼のメルマガの代筆を行っていました。僕自身、もともと国語の成績が悪くて理系に進んだほどの人間ですが、そのタダ働きの経験が資産となり、ベストセラー本の出版という目標を実現するに至っています」(小林さん)

無料で簡単に手に入る情報には、それなりの価値しかありません。自分にとって本当に必要な情報は、タダ働きも辞さず主体的に取りに行きましょう。そのタダ働きから得た情報は、あなたに莫大な価値をもたらしてくれるはずです。

■4:インプット中心に行うのではなく、顧客のためのアウトプットを前提とする

アウトプットするほど情報が集まる
アウトプットするほど情報が集まる

「これはためになる!」という情報に出会った際、あなたはどのように処理していますか? 多くの人がやりがちなのは、書籍に付箋を貼ったりマーカーを引いたり、ウェブの情報であればブックマークしたりするという方法ですよね。

ところが、このように情報を自分のなかにためこもうとするばかりでは、知識メタボ一直線。有益な情報は、アウトプットしてこそ価値があると小林さんは主張します。

「いくら線を引いたり、ブックマークしたりしても、それを見返すことはほとんどないのではないでしょうか。

それよりも、ビジネスマンにとって、最強のインプット術は、顧客のための知的コンシェルジュを目指すこと。知的コンシェルジュとは僕の造語で、『お客様のあらゆる悩み、質問に答えられるような存在』です。

ためになる情報は出し惜しみせず、あなたの顧客に話したり、ブログやSNSで発信したりなど、どんどんアウトプットしましょう。『お客様と会うときは、役立つ情報を最低1つは提案する』などアウトプットを義務化すると、情報収集は必然になり、その質も量も飛躍的に向上します。

その理由は次の2つ。まず、ただ情報を受け取るだけでなく、それを自分の言葉に変えて発信することによって、知識が血肉化します。

また、人は誰かからプレゼントをもらうと、お返しをしたくなるもの。もし、あなたの身近に会うたびに耳寄りな情報を提供してくれる人がいれば、自分も何か情報をキャッチした際『そうだ、あの人に教えてあげよう』となりませんか? こうした返報性の法則が働くことにより、価値ある情報を発信すればするほど、その人のもとにますます情報が集まってくるのです」(小林さん)

インプットの精度を高めるために、アウトプットを前提にするというのは目からウロコの視点ですね。まずは、SNSでほんの一言つぶやくだけでもいいので、顧客のためのアウトプットの習慣を始めましょう。

情報が氾濫する時代だからこそ、それとどう向き合い、いかに活用していくかが、あなたのキャリアを大きく左右します。ただ時間と労力を浪費するだけの無駄な方法からは脱却し、真の情報強者を目指しましょう。

億を稼ぐ勉強法
小林正弥さん
ビジネス教育者
(こばやし まさや)(株)教育スクールビジネス研究所代表取締役。1983年埼玉県生まれ。2006年早稲田大学理工学部卒。25歳で独立したものの全く稼げず、時給900円の日雇いバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1ヶ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を商品にして1億円プレイヤーとなる。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。「才能をお金に換える専門家」と呼ばれ、年間3,000万円、1億円稼ぐクライアントもいる。著書に『自分を最高値で売る方法』、『億を稼ぐ勉強法』がある。
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美
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