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（喜美子）おはようございま～す。おはようございます。
おはようございま～す。
おはようございま～す。
喜美子　２１歳。運命が大きく変わる夏がやって来ました。
♪～
♪「涙が降れば　きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火　どうかここにいて」
♪「私を創る　出会いもサヨナラも」
♪～
♪「日々　恋をして胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら　笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も　涙に負けるもんか」
♪～
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
深野先生の九番弟子になって３年がたちました。
ここ　丸熊陶業では　深野心仙デザインの絵付け火鉢の注文が　年々　右肩上がり。
目まぐるしい日々を過ごしてきました。
弟子入りしてからはひたすら技術の習得に明け暮れました。
♪～
（深野）おう　おはよう。おはようございます。
（池ノ内）おはよう。おはようございます。（磯貝）おはようさん。
おい　見てみぃ。うわ～。へえ～。（磯貝）いやいや　いやいや　ええ？
こんなん　よう集めてきたな。よその火鉢ですわ。
これ　花瓶ですやん。　アッハハハ。おう。
焼き物の不要品は絵付けの練習のために集めました。
あ～。（荒い息遣い）
（常治）また　もう何を拾ってきとんねん　もう。
ゴミばっかり集めよって。ゴミちゃうわ！
練習に使うんや！　踏まんといてや。
あっ！　あ～！　何してんねん！やかましな　もう。
う～ん…。
（秀男）おかげさんでまた注文増えましてね。
ありがたいことやなあ。（秀男）ほんまにありがたいですわ。
けど　この数　間に合いますやろか？
えっ？厳しいです…。
手ぇが足りひんのですか？
う～ん…。
誰かできる人　いいひんやろか…。
♪～
いてへんなあ。
そうでっか…。なんとか頑張りますわ。頼むわ。
あの…　あの！　もう　うちにもできるんやないでしょうか？
いや　できます！　いや　できるかどうかやらせてみて下さい！
お願いします。　お願いします！
いてへんやろな…。ああ　そうでっか。
なんとか頑張りますわ。ああ　頼むわ　ほんま。せっかくな　売り上げが上がってる…ほんまなあ。
お母ちゃん！
ただいま！（マツ）遅かったな　お帰り。
フカ先生がなようできるようになった言うてくれたで！
（マツ）ほんま！？　あ…。（小声で）よかったなあ。
お父ちゃん！ようできるようになった言われたで！
ようできるようになったっちゅうことはどういうことや！？
褒められたっちゅうことや！分かった　分かった…。
褒められたっちゅうことはどういうことや！？
絵付けでお金がもらえるっちゅうことやぁ！
ほんまか！？ほんまや！
シ～ッ！　シ～ッ！
♪～
（小声で）ばんざ～い！　でかした～！でかした～！寒い…。
ようやく　絵付け師としてのスタート地点に立てました。
今年も　いよいよ　この時期が来ましたね。ありがとう。
新しいデザインを考案してはるんでしょう？　今年の。
どんなんやろ　楽しみですぅ。
置いときますね。ありがとう。
置いときます。うん　ありがとう。
見る？　新しいデザイン。
ええんですか！？　見ます　見ます！
見させて頂きます。
これや。（池ノ内　磯貝）おおっ。
失礼します。
へえ～。
キュウちゃんも　ひとつ　やってみるか？えっ？
１番　２番の背中に追いついてきたようやしなあ？　残りは　デザインや。
２人は　今年はやらん言うから。
ああ…　僕らはええんですデザインは　もう…。はい…。
去年　採用されへんかったなあ？
（苦笑）
　回想　（加山）お弟子さんのデザイン渡されても…困るでよ～！社長の代わりに　はっきり言うておきます。
丸熊陶業は深野心仙先生以外のデザインを採用する予定はありません！
採用…　して頂けますかね…。
「打たぬ鐘は鳴らぬ」いうてなやってみんと分からん。
キュウちゃんは…この先　どうするつもりや？はい？
絵付けを自分の一生の仕事としてやってくつもりか？
はい。
ほな　やってみたらええ。なあ？　もの作りは一生修業や。
デザイン採用されるまで　何回でも取り組んでみたらええやないか。
分かりました　やってみます。挑戦してみます。
ありがとうございました。ええよぉ。
今年は　うちが　お二人の敵を。
おお…　おう…。敵　取ってくれるん？
実は　うち　中学の時県の絵画展で金賞取りました。
（池ノ内）県の絵画展で金賞？おおっ　すごいやん。
子どもの頃から絵ぇ描くんは　うまいんです。
うわ～　すごいやん！アハハハハ…。
こいつも　全国芸術絵画展で大臣賞　取ったことあるんやで。
こちら　美術学校　首席で卒業やで。いや…　そら　ほんまやけどな。
（笑い声）はあ…。
うまいからいうて　できるとは限らん。
なにも　一点物の芸術品作るんちゃうで。
はい。
（直子）あっつ…。
え～。　うん絵ぇのうまい下手は関係ないのん？
喜美子は金賞取って学校に飾られてたこと…。
そんなこと自慢したらあかん。
大事なんは　うまいか下手より大量生産に向いたデザインができるかどうかや。
ふ～ん。
フカ先生　言うてたわ。
　回想　みんなにええなぁ言うてもらえるようないろんな人に目ぇ留めてもらえるような…求められているデザインを考えるこっちゃ。
求められているデザイン？
誰もが　買うてくれるようなデザインや。
ふ～ん。宿題終わった～。　うち手伝うで～。
助かるぅ　ほな　仕事してもええ？ええよ。
最近は喜美子姉ちゃんの作るごはんよりうちの作るごはんの方がうまいって評判やねん。
どこで評判なん？うん？　この辺　この辺。
アハハハ…。ここでも　評判やで　大評判。
これ　おあえやからな。分かった。
はあ　暑い　もう嫌や。暑いなあ　ありがとうなあ。
ありがとうなあ。ありがとう。
は～い。う～ん！
誰からも買うてもらえるようなデザインを考える。
それは　なかなか難しいことでした。
♪～
「どんなデザインやったら買うてくれるやろか…」。
「例えば　お父ちゃんやったら…」。
これ　壊れたんか　もう…　あかんな　もう。
こんなもん…腹の足しにもなれへんわ　もう…。
要らんねん　もう！　ていっ！ほんま　もう　もったいない…。
はあ…。
　回想　（深野）みんなにええなぁ言うてもらえるような…。
♪～