---------------------------

----S----044---------------
----c-----------------------------
----a-----------------------
----r-l-e-r-t--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------

（喜美子）お願いします。（深野）うん。ほう！ええですか？
ほう～。
ええんですか？ほう　ほう　ほう…。
ええことないんですか！？ほうほう。
ほう～。あかんですか！？ほうほう…。
ええんですか？ほう～。どっちやねん。
ほう！　ほう…。　ほう。
ほう。
ほな　持ってってみます？
持って…　いきますしね？
喜美子は新しい火鉢のデザインを完成させて丸熊陶業の社長のもとに向かいました。
♪～
♪「涙が降れば　きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火　どうかここにいて」
♪「私を創る　出会いもサヨナラも」
♪～
♪「日々　恋をして　胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら　笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も　涙に負けるもんか」
（信作）おうおう　おうおう。　久しぶりやな。
正月以来か？　照子と　あかまつで飲んだ。
あっ　違う！　違う　ちゃうちゃうちゃう。
俺　お前　見てん。　見かけたんや。　お前さ自転車の後ろに酔うたおじさん　くくりつけて…。
今　うちは大事な局面やねん。
人生において　大事…あんた　顔ちっちゃいなあ？
お前　何か　手ぇ臭いな！　何か…。
あ…　ほんまや。あっ　おい　喜美子。
俺のここ　ええ匂いするから嗅いでみぃ。
うわっ！ハハハハッ！
ハハハハ…　臭いやろ。昨日の夜　ここにゲロ吐かれてん。
来んな　来んな。おい　もっと嗅げ。何やねん　もう…　ええわあ！
…で？　大事な局面て　何や？
そっちこそ　何やねん　何しに来たん？
何しに来たんて　お前…。俺が今　どこ勤めてるか覚えてる？
役場や。役場や！そや。
信楽町役場　商工観光課　課長や。
ほや！　何たらかんたらや。そや　アホ。
この春から観光課に異動になってな。
ちなみに　俺は今小さいうそをついたんやけど　気付いた？
まだ　課長じゃありませ～ん！課長の下で…。
その話　来年にせえへん？今年　ちょっと忙しい。
もう　お前は　いっつも忙しい！万年忙し太郎やな。
何や　その忙し太郎て。忙し太郎…。
（加山）何ですのん？あ…　久しぶりに会うたんで…。
話やったら　向こうで。
はい。あ…　いや…　あ…。
出直す？いやいやいや…。
お先　お先。
ほな…。
（秀男）スイカは許せるわ。失礼します。スイカの種は　許せる。ほやけど　ブドウの種は許せへんどブドウの種は面倒くさあて　しゃあないがな。
すみません。えっ？　ああ　ああ。　聞いてるで。
何です？
ああ！　また　前借りですか？違いますぅ　今日は…。
失礼します。おう　信作～。社長。
よろしいですか　今？（秀男）おう　来たな。　入り　入り。
お邪魔します。
昨日は　貴重なお時間　頂戴いたしまして。昨日は飲んどったなあ　ええ？
ほんで　昨日　お話しした火まつりの企画書なんですけど…。
加山ちゃん　あれやで今年の火まつりは信作が担当やし演歌歌手呼んで盛り上げる言うてんで。
あ…　それは…まあ　呼べたらの話なんですけど。
これ　ちょっと…。
あ～　それじゃあ　加山ちゃん　受け取っといて。
あの…。あ～　ほな　それも加山ちゃんに。いや～　喜美ちゃんとこのお父ちゃんもあれやの運送の仕事　こない暑いと大変やの。ええ？　お母ちゃん　変わりないけ？
はい。（秀男）ああ　そら何よりや。
何ですの？
絵付けの新しいデザインです。うちが考えました。
はあ！？ええやんけ　加山ちゃん受け取るだけ受け取ったって。フカ先生からも言われてたんや。
喜美ちゃん　後であれするで…。お願いします。
はあ…。
また持ってきてもええですか？
社長さん。
採用されへんでもかまいません。また来年　持ってきてもええですか？
来年？はい。　今年が駄目なら来年来年が駄目なら　その来年また考えます。
考えるん楽しかったです。また考えて　持ってきてもええですか？
そりゃ　まあ別に　持ってくんのんは…。
ほな　また頑張ります。ありがとうございました！
あ…。あれ？　知ってるやんな？
照子の…　うちの婿。はい。
信作も。あ…　はい。婿に来て　もう…　みつきか。
みつきと２９日です。
照子のお見合いの話を聞かされたのは半年ほど前…。
　回想　（照子）あんな男と一緒になるくらいやったらゴキブリの方が～！落ち着け　落ち着け。
琵琶湖に沈めたる。
♪～
　回想　どんな人なん？
京都の老舗旅館の三男坊で大学出の頭の切れる男や。
おう。会計事務所辞めて　婿に来てくれはる。
こんな　ええ話ない言うてお父ちゃん　お母ちゃん大喜びや。
断れへん。　もう決まってしもうた。断れへんのや。
（戸が開く音）
失礼いたしますぅ。
あ～　それや　それや。言うてたスイカとブドウや。
へえ。　頂き物のおスイカとおブドウお持ちしましたぁ。
敏春さん　どうぞ。
　回想　頃合い見計らって絶対に琵琶湖に沈めたる。
何かつけんと　うまいこと沈まへんで。あっ　火鉢くくりつけたろか　火鉢！
あんな男！ゴキブリ百万匹の方がマシやで！
なぁや！せやろ！？おう！
ありがとう。へえ。
食べていかはります？
いえ。　失礼します！失礼します。
見た！？　見た見た！？サア～　サア～ってした…。
見たな～！　２人そろって！
見やがったな～！　この～！何　あれ！
（笑い声）おスイカ…。
シ～ッ！　シ～ッ！おブドウ…　おほほほ…。
敏春さ～ん。シ～ッて！
あんなん初めて見たわ照子の若奥様ぶり。
お前　人に　「どうぞ」言うて物　出したりできるんやな。
できるわ！　信作　結婚したんけ？
してへんわ！　知ってて聞くな。するする言うてた子にフラれたもんなあ。
女心は分からん。うちも女やけど　分からん。
喜美子は　まだ女やないやろ。
うお～！　労働者のにおいや！
「へえへえ」なんて聞いたこともないようなかわいい声　出しよって。
かわいかった？もう　心配してたんやで？
結婚したあと　何も言うてきいひんから。
おう。　いつ　また琵琶湖沈める言いだすんかと。
ほんまやひとつき　もたんと家出するかと…。
みつきと２９日もったわ　今んとこ。
何？
好きになったんやなあ。向こうがな。
好きになったんやろ？そやさけ　向こうがな。
敏春さんが　うちのことを。ふ～ん…。
好きになったんちゃうの？
好き…　になった…。
おほほほほ…。おほほほほ…。
ああ見えて　２人でいてたら優しいねん。
物知りでな。「自由は不自由や」　知ってる？
ジョージ富士川！知ってんの！？知ってんの！？
芸術詳しいねん。陶芸のことも　信楽だけやない日本のあちこちの焼きもんに詳しいんよ。
へえ～。ほんで　自分が丸熊陶業継いだら日本一　目指しますぅ言うたりすんの。
日本一やったら　俺も聞いたで。
敏春さんに！？照子の兄ちゃんに。
亡くなった照子の兄ちゃんも丸熊陶業継いでいつか日本一にしたる言うてたなあ。
よう覚えてんな…。
缶ぽっくり教わったんと日本一の話されたんとあと　照子の尻にでっかいほくろあるいう話されたんは亡くなった兄ちゃんの強烈な思い出や。
そうか…　日本一か…。
せや　うちの作った　まっずいごはんも文句言わんと食べてくれはる。
ごはん作ってんの？お母ちゃんが　やれ言うねん。
家ん中のこと任せる言われて…。
毎日　一生懸命やってる。敏春さんを支えてあげてんねん。
そや！　スイカ持ってく？
頂きもんが　いっぱいあんねん持ってき　持ってき。
ほな。ほな。
なに～！？おスイカ…。
もっとかわいかった。おスイカ。もっとかわいい…。
これでは融資を受けられません。
融資　受けはるんですか？ゆくゆくは考えています。
ほんなもん　あれやでそこの信金さん行ってやななんぼなんぼ貸しぃ言うたらピャピャっと貸してくれやんで？
おやじの代からの　つきあいや。これからは　そうはいきません。
事業計画書　戦略いうもんが必要です。うわ～　面倒くさいこと抜かすのう。
世の中　変わってきてます。分かってるて。
わしかて　世の中をよう見とるさけ。
深野心仙先生を絵付けにと目ぇつけたんは社長ですよ。
深野心仙は　もう古いんとちゃいますか？
ブドウの種が面倒くさい言うてはりましたけどほな　種のない種なしブドウ作ってやろうそう考えるんが世の中を　よう見てるいうんです。
種なしブドウ？　ハハハハハ…。
ほんなもん　地球がひっくり返ったかてできるわけあるかいな。
深野先生が古いことあるかいなまだまだ「腐っても鯛」や。
新しゅう若い社員を入れるんは賛成してくれはったやないですか。
そらまあ　事業拡大のためや。加山ちゃん　あがってええで。
はい…。
あっ　決算書　もうええか？うん？　気ぃ済んだけ？
はい　はい　はい　はい　はい…。ほな…。（種を吹き出す音）
これ　ほかしとかい。
離婚？ああ。
結婚もしてへんのに離婚？俺ちゃうわ！
おやじと　おふくろや。離婚すんの！？
割れた茶わんはなかなか元には戻らんなあ。
戻せ！　戻したりぃ！それが戻してもな　何でか…何でか　２週間に１回ぐらい思い出したように　もめんねん　また…。
（大野）あ～！　おっとろし。おっとろしぃよ～！
（信作）今日が　その日ぃみたいやわ。（陽子）何が　おっとろしいや！　ええ！？
（百合子）喜美子姉ちゃん…。百合子。
信にい。　おじさん止めて。百合子　何でいんの？
もらった。わあ。