タイトル(仮) Amazon KOREAがない理由

近頃、日韓関係の悪化で韓国人訪日観光客の減少を耳にすることも多くなりました。

しかし、地理的にも文化的にも近い国であり、観光はもちろん、それ以外の業界においても大事な市場でもあります。

そんな韓国で盛り上がりを見せているEC業界の動向を韓国、日本、世界の視点から分析しました。


韓国のネット事情

韓国は国を挙げてITインフラの充実を図っており、中でもECの成長は近年目覚ましいものがあります。

11月1日から22日に開催される「コリアセールフェスタ」は韓国最大の観光・ショッピングイベントですが、インターネット通販業界での参加が昨年の約3倍に増えています。


「コリアセールスフェスタ」は今年から政府主導から民間主導になり、中国の「独身の日」(11月11日)や米国の「ブラックフライデー」(11月29日)を意識し、期間も参加企業数も増え盛り上がりを見せています。

大手百貨店がそろって参加し、コンビニエンスストアもイベントを開催するなど、小売業の好調ぶりを感じられます。

そして、そこにはECのBtoC取引額が、2016年の全小売取引額約73兆円のおよそ17%を占めていたことは韓国の小売り、ネット事情を考える上で、注目すべき数字だと言えます。(https://news.livedoor.com/article/detail/17278964/)

2014年以来日本の小売市場が1桁成長でとどまっているのに対し、韓国では高いスマホ普及率も相まって、EC市場の成長性が高いことは、これからの日本の小売業の成長を考えるうえで参考になると思われます。

人気のECサイト

韓国では消費者のニーズに合わせて多種多様なECショップが乱立しており、ECサイトの激戦区です。

大手ではロッテの「LOOTE.COM」やSHINSEGAEグループの「SSG.COM」があります。

ユーザー数が多く、高い認知度があるのが、アメリカの「eBay」に買収されたのちもブランド名を維持して運営を続けている「G-MAKET」です。

「G-MAKET」の特徴は英語、韓国語、中国語で利用でき、簡単なナビゲート、あらゆる種類の商品がそろっていることが挙げられます。

このような特徴から韓国に限らず世界中の人が売買に利用しています。楽天市場と同様に店舗出店の形式で、2016年2月に楽天と協業を発表したことがあります。

また、独自の配送システムを構築した「Coupang」や、割引やセールで差別化に成功した「11st」なども主要なECサイトです。

上記のようなモール型のECサイトがある一方で、アパレルやコスメなど一つのカテゴリーに特化したECショップの取引が活性化する動きもあります。

特にアパレルを中心とする専門通販の割合が多く、「DARKVICTORY」のように韓国国内に限らず海外展開に取り組むことで成長を図る企業も増えてきています。


 韓国、なんと「Amazon」がない

ところで、これほどECが盛んな韓国に、日本ではかなりメジャーな存在となっている「Amazon」が実は進出していません。

Fobes誌は、「Coupang」の業者に委託せずスピード力のある配送システムのため、付け入るスキがないとしています。

一方で、韓国の新聞社中央日報は、購買情報をリアルタイムで計算する人工知能と映像情報の自動判読で決済する「Just Walk Out」の技術がくしされたAmazonによる無人流通店「Amazon go」をとりあげています。

そしてそこでは、技術面と個人情報収集関連の規制の厳しさから、韓国のIT企業はまねできないと報じています。

このようなことから、高い売り上げや影響力のあるEC通販サイトが韓国で確立されていることと、個人情報の収集に対する規制が厳しいことが「Amazon」が韓国に進出しない理由として予想できます。

しかし、Amazonが韓国陸上を目指し、通販業界経験者を中心に社員を集めていると言われていることや、韓国のIT企業に技術力が劣るわけではないことは注目すべきことだと言えます。

 中国ではAmazonが撤退 

2019年4月18日、Amazonが中国向けオンラインショッピング事業を撤退することを発表しました。

Amazonは物流網の整備が思うように進まず、大量に仕入れて割安価格で販売するアリババ集団など地場企業との競争に勝てなかったことが主な要因だと考えられます。

Amazonは2004年に中国のオンラインショッピングサイトであったJoyo.comを買収していました。Joyo.comの中国市場における専門知識で取り入れることで対処できると考えられていたようです。

しかし、地場企業と比べ価格が高いことや、アメリカでのAmazonのサービスと比べ、中国の場合はブランド数やサービスのレベルが低いとの声もあります。

こういったことが、スピードの速い成長が求められる中国での競争を勝ち抜けなかった理由であるといえるでしょう。


まとめ

世界的に見ればまだまだ現金が使用されている日本ですが、今後キャッシュレス化やECの普及が進むことは必須です。

EC成長が目覚ましい韓国のビジネスモデルは日本でも参考にできるかもしれません。

一方で、世界最大級のオンラインショッピングサービスを展開するAmazonでも、高い技術力を持ちながらも、独自の特徴をもつ中国や韓国の市場への進出は必ずしも余裕があるわけではないようです。

日本でのECの成長や、海外の通販業界への参入などを考える上で、各国の市場の特徴を見極めることは重要と言えそうです。


参考リンク

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【2019年版最新!】韓国ECサイトTOP3+韓国ECマーケティングを徹底解説!

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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