移民の拘束で収容中の子ども、米で10万人超 全世界の約3分の1 国連報告書
【11月19日 AFP】国連(UN)は18日、米国で移民の取り締まり関連で拘束され現在収容されている子どもは10万人を超えており、全世界の約3分の1を占めているとする報告書を公表し、国際法違反に当たる事例が多いと指摘した。
報告書「自由を奪われた子どもに関する国連グローバル調査(United Nations Global Study on Children Deprived of Liberty)」の主著者、マンフレッド・ノワク(Manfred Nowak)氏によると、この数には米国境で親や親戚が拘束された際に引き離された子どもに加え、大人の同伴なしに米国境にたどり着いた子どもが含まれており、「少なく見積もって」10万3000人の子どもが収容されているという。
同報告書によると、世界全体では、80か国で少なくとも33万人の子どもが移民関連で拘束され現在収容されている。その約3分の1を米国が占めていることになる。
報告書では米当局による移民の子どもの収容事例が、子どもの身柄拘束について「最後の解決手段としてのみ用い、期間は妥当な最短期間とする」と定める国連の「子どもの権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child)」に一部違反している可能性を指摘している。
米国は国連加盟国の中で唯一、1990年に発効した「子どもの権利に関する条約」を批准していない。しかし、そのことによって米南部メキシコ国境での移民の子どもたちの拘束をめぐる米ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権の不当性が解消されるわけではないと、ノワク氏は指摘している。
また、米国はたとえ「子どもの権利に関する条約」を批准していなくても、残虐で非人道的な取り扱いを禁じている「市民的、政治的権利に関する国際規約(International Covenant on Civil and Political Rights)」に縛られていると同氏は指摘し、「トランプ政権によって米メキシコ国境で行われている、幼児を含む子どもの親からの引き離しは、親、子どもの双方にとって非人道的な処置に当たる」と批判した。
同氏によると今回の報告書の作成中に国連加盟国へ送った質問票に対し、米トランプ政権からの返答はなかった。(c)AFP/Ben Simon, Nina Larson