中日は18日、3年連続首位打者の実績がある球団OBのアロンゾ・パウエルさん(54)と1、2軍巡回打撃コーチとして1年契約を結んだ。この日、来日して「全ての経験を伝える」と約束したパウエルさんを現役時代から知る前田道彦記者が愛すべき人となりを記した。
パウエルさんは義理堅い男だ。来日していた昨年の12月、中日時代に公私ともにお世話になった方が病気になったと知ると「どこに行ったら会えるんだ?」と私に聞いてきた。「私がドラゴンズで活躍できたのは、彼のサポートがあったからなんだ。当たり前だよ」。そう話し、忙しい合間を縫って見舞いにいった。
打撃理論でも筋が通っている。最近はゴロではなくフライを打て、という「フライボール革命」の考えが主流だが、パウエルさんもその指導に熱心。昨年、食事した時には「ゴロはどこに打球が飛ぶ確率が高いのか研究され、守備位置を極端に変えられる。だからヒットの確率が減る。確か2割1分くらいだ。でもフライなら3割6、7分ほどヒットになる」と数字も使って説明してくれた。
その際に誇らしげに見せてくれたのは、ダイヤモンドがふんだんにあしらわれたワールドシリーズ優勝の記念指輪。アストロズが世界一になった一昨年、パウエルさんは打撃コーチ補佐としてサポート。打線は充実し、“小さな巨人”として知られる168センチのアルテューベは首位打者と最多安打に輝いた。
今でも「ドラゴンズが、名古屋の街が大好き」と言うパウエルさん。強竜打線をどう復活させてくれるのか、楽しみだ。(元中日担当)