2012年07月05日

【スクリプトには】GIMPだけで1枚JPGから小汚くてくどい偽HDRを作る方法とか【頼らない】

※GIMPでHDR作りたかったらこちらの記事を見たほうがいいです。→GIMPでやるLucis Artエフェクトの記事も参考にしてください。





前の記事
で紹介したフェイクHDRを作ると称するスクリプト(プラグイン)には不満があった(個人的に)。 ← 最初にネタバレ追記をしちゃうけど、やっぱりスクリプトやプラグインを使って作ったほうがいいや。手動だとめんどいことを自動でやってくれるんだし。特に海外では定番のフェイクHDR作りの手法になってる(?)ダッヂ&バーン(覆い焼きと焼き込み)というやつなんか簡単にできる。前の記事のいちばん下の追記参照。
そこで、もっと小汚くする方法を紹介する。→HDRではないが、スクリプトに頼る場合はこちらを参照。

いつもは使い慣れた古い安物フォトショを使うのだが、きちんとGIMPでやった(2.6.11使用)。

使う写真はこれ。
いちおう、つぶれているところが少しあっても、飛んでるところはないようなものを使う。

P6070153_01



まず、読んだ背景を複製してレイヤーを作る。
それの彩度をマイナス100(色をなくす)、諧調の反転をして、ガウスぼかし40ピクセル(ぼかし量は画像サイズや被写体によってちょうどいいのが違ってくると思うので、自分でやるときはてきとーに調整して。ほかの処理のぼかし量も同様)。

gimp_hdr_01



それを2枚複製して(合計3枚)、背景の上にオーバーレイで重ねておく(ソフトライトのほうがいいこともある)。

gimp_hdr_02



ハロも出てるし、これだけでもハデで乱暴な偽HDRっぽくなったが、まだまだ。



前のレイヤーとは別に、再び背景を複製して、被写体のエッジを検出する。輪郭の中に入っているAdaptive Edge Detectionというフィルターを使う(入ってなかったら入れて)。今回はオートではなく、スレッショルド(閾値)を10にした。
それをガウスぼかし12ピクセル。

gimp_hdr_03



それをレイヤーのいちばん上に持っていって、乗算モードにし、レイヤーをすべて統合。

gimp_hdr_04



いちおうここまでが基本で、あとは微調整。

統合したものを複製して、それのコントラストを60上げる。
そのレイヤーを比較(明)で重ねるのだが、今回は不透明度を70%にした。

gimp_hdr_05



これは、できたもののコントラストをあげると、せっかく持ち上げた暗い部分が再びつぶれてしまうからだ(だから、明るいところだけ利用したいということ)。
HDRというのは、露出の異なる複数の写真を合成して、つぶれているところも飛んでいるところもないような写真を作るというのが基本だから、いくらハデにしたいといっても、飛ばしたりつぶしたりはしたくない(車のテカってるところが飛んじゃってるんだけど見逃して。本当はこういうところは消しちゃうとかの細かい作業をやるといいんだけど、説明しきれないのではしょった)。
まあ、写真によっては、この処理で暗いところが明るくなりすぎることもあるだろう。そのときは、これとは別に比較(暗)のレイヤーを作って不透明度を調整すればいいと思う。

 

色をもっと強調したいなら彩度を上げればいい。
これはマスターの彩度を40上げて、グリーンとイエローを30上げた。

gimp_hdr_06



これでできあがり。
最終的に鑑賞するサイズに縮小する(しないのならそれでいい)が、それにともなって、少しシャープ感が落ちる。
そこで、複製したレイヤーにアンシャープを軽くかけてやる。
このパラメータ、フォトショと違うのでとまどってしまうが、こんな感じだろうか。

gimp_hdr_07



んで、そのレイヤーをチカチカさせて、効果が強すぎやしないか、よく確認する。
今回は、不透明度を70%にして、背景と統合した。

できたのがこれ。

P6070153_gimp1



好みはあるだろうけど、多少は「いかにも」なものになってると思う。
やりすぎのような気もしなくはないけど、気にしない(オリジナルと混ぜると、わりと自然になるはず)。

ちなみに、フェイクHDRのスクリプトではどうなるのか、エンハンスのほうでためしてみた。

P6070153_01_en



作者にはわるいが、暗いところが完全につぶれてるし、これのどこがHDRなんだよ、といいたい(例によってパラメータの意味がわからないので、デフォルトのままでやったのがいけないのかもしれないけど、前の記事にも書いたように研究する気にはならない)。
なお、アダプティブのほうは、小汚くじゃなく、石炭のススでよごれたように本当に汚くなった。あれはそういうところが味なんだからしょうがない。

 

というわけで、こうして結果画像を2枚出すときは、私はそれを合成します(笑)。
私が作ったやつとエンハンスのエフェクトで作ったやつを、Photomatix Basicで露出合成した(ごめん、ここだけGIMPじゃない。余禄だからゆるして。まったく同じにはならないけど、比較(明)または比較(暗)で合成すれば似たようになるはず)。

P6070153_gimp1_en_H&S



いちおうの「らしさ」を保ちつつ、意外とくっきりすっきり、爽やか(?)と言えるほどになっちゃうのが意表をつかれる(2種類のトーンマッピングをして、それらを混ぜてもこんな感じになることが少なくない。いつもうまくいくわけではないが、おもしろいのでお勧めしておきたい)。
結果的に空と地上とを別々に処理して合成したようなかたちになった。
彩度を上げれば、もっとHDRらしい(?)くどさが出ると思うが、とりあえずここでおしまいにする(あと、明るいところのテカリ感をもう少し強調したいけど)。

 

 

ところで、この例でもそうだが、雲のようなもわもわしたグラデーションの被写体は、この方法ではうまくいかない(スクリプトはいわずもがな)。
なにせ基本的にエッジの検出ができない被写体なので、それをしないでなんとかするしかない。

これをなんとかしてみよう(遠くで雨が降ってる)。

P9060149_001



暗いのを選んだのは、てってーてきに飛んでる部分を避けたいから。飛んでるより、まだつぶれているほうがいいように個人的には思う(ノイズ的にはきびしいのだが)。
まあ、太陽が入っていたり、夜景の照明とかはしょうがないと思う。

 

で、じつはこのカットはRAWでも撮影していて、それをプラマイ2と標準の3枚に現像し、Fusionで露出合成させたものがこれだ。

P9060148_sum_1



同じような手法が使えないだろうかということで、1枚のJPGをレベル調整し、明るいのと暗いのを作り、露出合成のスクリプトであるExposure Blendで合成してみた。

P9060149_g_bl_01



調整方法がわからないこともあってか、あまりかんばしくない(合成する前にコントラストをあげておくとよかったかも)。
しかし、とりあえず地上は少し明るくなってる。
というか、全体のコントラストが落ちてるだけのような気もするが、まあいい。ここまでは下準備だ。

 

これを2枚複製(AとBとする)し、上のレイヤー(A)をガウスぼかし40ピクセルでぼかし、下のレイヤー(B)の上に除算50%で重ねて統合する。
このレイヤーを2枚複製(計3枚)し、それらを背景の上にオーバーレイで重ねたものがこれだ。

P9060149_g_bl_1_01



ただ明るくなってるだけのような気もしなくはないが、コントラストが保たれているところが、レベル調整などで明るくしたのとは異なる。

 

しかし、これでもまだコントラストが低い。
これも複製してレイヤーを作り、コントラストを30上げて、比較(明)で重ねる。
その上に背景を複製して乗算40%で重ねた。
ついでに彩度も50上げてる。

P9060149_g_bl_2_01



なんだかんだいって明るいところのディテールは失われてしまったが、真っ白になってないだけ救いがあるというものだ。
地上にもまだ暗いところがあるし、こういうところをなんとかする方法もなくはない(最初の作例でたまたまそうなったように、同じ処理で明るいのと暗いのを作って露出合成するとか、範囲を選択して切り張りするとか→露出合成の原理の記事を見るとリクツがわかるかも)のだけど、めんどうなので、今回はここまででかんべんしてやる(笑)。

これはフェイクHDRというよりも、暗い写真(失敗写真?)を明るくして救済する方法みたいになったかな?
雲だけとか地上だけというのならそれほどでもないけど、両方ともいっぺんに調整するのは簡単じゃないッス。
こういうのを素材にして、またごにょごにょといじってもいいかもしれない。

この写真、地上がアリゾナの荒野とかだったらカコイイだろうけど、うちの近くの河川敷だもんなぁ。


 

本当は最初の作例みたく、○○モードで重ねたりなんだりして作ったんだけど、あまりに画質が劣化したので、それはなかったことにした(重くなるので最初から縮小した画像を使ったのが裏目に出た。プラグインでノイズ除去したら細部がつぶれたし)。
なんかうにゃうにゃして気持ち悪い(笑)。

P9060149_gimp





こういう処理は、あまりやるとグラデーションのところの諧調に段差ができちゃったりして、むずかしいよ(ノイズもがんがん出てくるし)。
16ビットの中でやるといいのかもしれないけど、GIMPではできないし、うちの古くて安いフォトショでもできないのでしかたがない。

まあ、どんな写真でもこうすればいいというものではないけど、興味がある人は、これをモトにして研究してはいかがだろうか。レイヤーマスクとかを使うと、もっと高度な調整ができると思うけど、それを使わないから簡単でそ(私はいわゆるGIMP使いではないので、そこはこうしたほうがいいみたいなことがあっても、よくわからない)。
こういう手作業での処理は、HDRソフトによる自動のトーンマッピングなどとは違うしね。いじってて「はっ」とするのができたら楽しいと思う。

 

おしまい。







追記
これぐらい明るくてコントラストがある写真の場合は、ぼかして反転して重ねる版は1枚で充分。
また、ぼかした版と差の絶対値で重ねると、雲の輪郭の検出もできる(フィルターのガウシアン差分というのが同じものだと思うが、なぜかマトモに動かない)が、それを反転して乗算で重ねても、せっかくの白い雲のエッジが薄暗くなるだけで、効果的ではない。

P8240431_1
P8240431_gimp_1



なお、リクツを明かすと、ぼかして反転した版を重ねるというのはアンシャープマスクの原理そのものだ。アンシャープな版(ぼけた版)でマスクするんだから。

 

あと、Dynamic Range Transformerというフィルターが入ってる人は、それも暗いところを明るくし明るいところを押さえるという効果があるので、使ってみるといいかもしれない。
これもマスクをかけているらしく、なんちゃってHDR(フリーソフト)のような諧調の圧縮とは違い、場合によってはほとんど同じになる。淡いディテールが出てくる。

あとは、それをいかに強調するか(トーンマッピングしたみたいに、あるいは、その後の後処理みたいに)、なんだけどね。

というわけで、レティネックス画像拡張(色調補正の下のほうに入ってると思う)というのがなにやら変わったことをしてくれるみたいなので、使ってみた。
これはDynamic Range Transformerで処理したもの(原版)を複製し、レティネックスのレベルを「低い」に設定して処理。それをもう1枚複製、1枚を明度50%、1枚を乗算40%で原版に重ねたもの(オーバーレイとかでもよかったかもしれないけど、まだよくわかってない)。

P8240431_g_dy_re



地上の木立など、影の部分がつぶれがちだけど、雲のディテールの強調はかなりすごくて、気持ち悪いぐらい(オリジナルと混ぜるといい)。
アダプティブのフェイクHDRスクリプトのように、画質が超絶劣化しないのもいい(あれは諧調飛びをおこすし、マジでひどい。使い方にもよるが)。

 

こんな夜景1枚も、こうなる。
背景を複製してダイナミックなんちゃらで2回処理(パラメータの意味がわかってないのでデフォルト設定のまま)し、それをレティネックス(「低い」にしたほか、パラメータはそのまま)で処理したのをもう1枚複製し、1枚をスクリーン20%、もう1枚をオーバーレイ40%で背景(ダイナミックなんちゃらで処理したものではない)に重ねたらこんなもん。

P6270507_1
P6270507_g_dy_re_1



暗いところだけが持ち上がって、照明とかの明るさはほとんどそのまま。
レベル調整とかで明るくすると、こうはならない(全体が明るくなってしまうしコントラストも落ちる)。
ま、ノイズが激しいのはもともと暗いんだからしょうがないとして、わりと自然に仕上がるし、これはおもしろくて気持ちがいい。
ほとんどつぶれてるところから強引にディテールを引き出す方法としていいかも。
同じのを8枚も撮ってコンポジット(加算平均 → 方法はこちら。自動でやる方法はこちら)すれば、充分いけるかもしれない。



このレティネックスとやら、あまりGIMPは使わないので知らなかった。
いいかもしれない(色が変わるので、そのままでは使えず、こうして重ねて使うといいと思う)。

GIMP使いの人、もっと研究してみてほしい。
私は、とにかくクリッククリックであとは重ねていくだけみたいな、楽な方法でやりたいから、フィルターとかのパラメータをいじくりまわしていくってのは、やりたくないんだよね(HDRのトーンマッピングも同じで、めんどうなのはイヤ)。

こちらの記事も参考に。

 

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