2012年06月17日

金星の日面経過(太陽面通過)の写真の合成方法をいくつか

なぜか知らんが、検索キーワードによってはウチの記事が上のほうに出てくるようで、たいへん申し訳ない。
なにせ実際には撮影できてないのだから。


お詫びのしるしに、連続で何枚も撮影した写真の合成方法を紹介しよう(その方法を調べている人がいるようなので)。
ただし、私は撮れてないのだから、天文シミュレーションソフトの画像を使って説明する。
使うソフトは古いフォトショだが、レイヤーを使えるレタッチソフトならたいがいのものでできると思う。フリーのGIMPなどでもできる(「レイヤーとは何?」みたいな、基礎中の基礎みたいなことは、残念ながらここでは説明しきれない)。

 

まず、先に撮った写真の上に次の写真を重ねる場合、太陽の位置合わせが問題だ(同じ大きさで撮影してあるのが前提)。
そのときは、レイヤーの合成モードを「差の絶対値」というのにする。

Venus01



すると、このように上に重なったものが反転しつつ透過して、うまく重なっているかどうかがわかりやすい。
これで、移動ツールで正確な位置合わせを行なう(マウスのほか、カーソル移動キーでもできる。精密なところは、拡大表示にして移動キーでやったほうがやりやすい)。

うまく重なったら、合成モードを「比較(暗)」というものにする。
画像を比較して暗いほうを活かす、というモードだ。

Venus02



こうやって、次々と写真を重ねていけば、このような連続合成写真が作れる(途中でカメラを傾けたりするとズレる。レンズの向きを上下左右に動かしてもいいが、カメラを傾けてはいけない。3軸の雲台じゃないとむずかしい)。
これは30分おきに撮ったもの(をシミュレーションしたもの)。

Venus03



途中に薄雲を通しての写真があった場合、金星のところだけを投げ縄ツールなどで切り抜いて使えばよい。金星の位置の変化をとらえるのが目的なのだから、雲まで合成する必要はないだろう。
切抜きがうまくいかなかったり、見栄えに支障がないなら、雲も合成していいだろうが。

Venus04



さて、以上はカメラをふつーの三脚(天文用の経緯台のほうがいいのだが)に固定しての撮影の場合で、「(地上に立った人が)見た目でどのように金星が移動していったか」をとらえたものといえるだろう。
いっぽう、天体の向きを一定にして撮影するのは、天文ファンが使う赤道儀という天体追尾用の架台がないと、一般的にはムリだ(意味がわからない人は、日周運動とか天球という概念について調べてほしい。天文の基礎知識だ)。
そのような機材を使って撮影されたものを合成すると、金星の移動方向が一直線の画像になる(ちょっと雲も合成しておいた)。
こちらは1時間おきだ。

Venus05



当日は太陽面に黒点があり、じつのところ、このように天体の向きを一定にして撮影しないと、合成したときに黒点の位置も変わっていってしまう。

 

んで、ふつーのカメラで撮った写真(赤道儀を使わないで撮った写真)でも、このような合成画像は作れないか。

ま、ムリではないが、あらかじめそれ用に撮影しておかないときわめてむずかしい……というか、やっぱりムリだ。

 

これは7時30分の太陽だが、カメラをふつーに横位置にかまえて(三脚の上に載せて)撮影した(ものをシミュレーションしたもの)。

Venus06



構図をまったく変えず、そのまま少し待っていると、太陽は移動していく(構図を変えてはいけない ←だいじなことなので2回言った)。
作例は2分後だが、この移動方向が「西」である。

Venus07



西がわかれば東西南北すべてがわかるということで、この2枚の写真をフォトショで合成モード「標準」のまま、不透明度を50パーセントにする。

Venus08



そして、ラインツールで重なった部分の頂点から頂点へと線を引く。このとき、オプションで線幅をゼロ(または不透明度をゼロ)にしておくと、実際には線が引かれない。
で、「情報」ウィンドウで線の傾きをみる。
GIMPの場合は、ツールボックスにあるコンパスのアイコンのものさしツールでできる(測定結果はステータスバーに出る)。

Venus09



このときは「-28.6」であった(これは手作業ゆえ誤差がある。なので、数回繰り返して、平均の数値をとるといい)。

これはすなわち、時計回りに90-28.6=61.4度傾けると、画面の上下左右と太陽の東西南北が一致するということだ(正確には「天球の東西南北」で、それと太陽の自転軸の傾きは日々変化するが、ここでは無視する。調べればわかるが、そこまで気にするような天文ブログじゃないもんで)。

下は61.4度傾けたもの。

Venus10



他の時刻の写真も同様にして、日周運動に対する傾き(写野回転)の角度を求め、フォトショで回転して比較(暗)で合成した(合成した写真のワクがうっすらと見えているが、支障があるなら、色を塗ったりして消してしまえばいい)。

Venus11



手作業ゆえ多少のズレはあるだろうが、見栄えがわるいなら金星の移動方向が一直線になるように、あとでこっそりズラしてやればいい。
科学的な観測のための写真ならともかく、どうせ自分のための鑑賞写真なのだろうから、こういうズルも問題なかろう。

本当はこの傾き(写野回転)を補正する計算式というのもあるのだが、三角関数バリバリで私にはわからないし、そもそもモトの写真の構図自体が傾いている可能性もある。
なので、このようにして、実際の太陽の移動方向から方位を測定して回転させるしか方法がない(太陽のフチへ、交わるような2本の接線を引き、その交点どうしの移動方向から傾きを求める方法もある。このとき、接線はきっちり同じ角度でないといけないので、レイヤーの複写をして平行移動して使う。つまり、太陽が内接する三角や四角、またはその一部を描き、そのカドどうしを結んで移動方向を出す、みたいな。これだと太陽像が重ならないときや、重なりが大きすぎるときでも角度が求められる)。

いうまでもないことだが、この方法は、手持ちで撮影したときには使えない。
あくまでもがっちりと三脚に固定して、構図を動かさずに数分のうちに数コマ撮影した場合だけだ(方位はわからないが、黒点がはっきり写っている場合は、その位置を目安に重ねることもできるだろう)。

 

どこか間違ってたらごめん。






追記
もしも自分の写真に黒点がきっちり写っているならば、ほかのサイトの高画質画像(東西南北が正確なもの)を借りてラインツールで黒点どうしの傾きを調べ、自分の写真も同じように傾けてやればよい(微妙なズレは目分量で補正して)。あとは、それと同じ傾きになるように回転させた自分の写真を重ねていけばいいだろう。
なお、どうして赤道儀で追尾してやらないと金星の移動方向がまっすぐにならないのかは、こちらを見るとわかる(かも?)。
自転軸の傾きとかはここの説明をみると理解できる(かも?)。



※ここでは天体写真で比較(暗)合成をしたが、一般の風景写真(ただし夜景)で比較(暗)合成をするとこうなる




望遠鏡で撮影した場合などのように、けっこう解像力のいい画像が得られているのなら、黒点の位置を目安にして、このソフトで位置合わせ(ズレ修整)ができると思う。

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