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【国際】

香港警察、理工大突入 学生「自由求め恐れず」

 【香港=中沢穣】学生らが占拠してきた香港理工大では十八日、警察の包囲を受けるなか学内にはなお千人程度の学生らがとどまり、悲壮感を漂わせる。中国政府の支持を背景に、香港政府は徹底的に学生らを取り締まる姿勢を見せており、六月から続く香港の抗議活動は厳しい局面に立たされている。

 「自由がなければ死もいとわない。仲間たちよ、逮捕も死も恐れるな」。理工大に残った学生らはこの日、「絶筆」と称した声明を出した。警察は学生らが逃げ出さないよう大学のすべての出入り口をふさいだため、学生らは身動きできない状況に陥った。声明は「血と涙を流して学校を悪魔の侵入から守った。何の罪になるのか」と警察への敵意をむき出しにする。

 大学内には支援物質として運び込まれた食糧や水があるとみられるが、「少なくない負傷者がいる」(理工大学生会)。警察の放水銃を浴びて低体温症となった学生も多いという。

 「学生を救え! 理工大を救え!」。この日夜には、大勢の市民らが理工大近くに集まり、数キロにわたって道路を埋め尽くした。警察は防毒マスクなどをつけない市民にも催涙弾を何度も放って排除を試みた。理工大に通う友人と連絡が取れないという男性(22)は「早く助けてやりたい、中の学生は持ちこたえてほしい」と話した。香港メディアによると、学内に残る学生の両親らも現場を訪れ、警察に包囲を解くよう訴えた。

 今月四日、中国の習近平国家主席は上海で林鄭月娥行政長官と会見し、「暴力の制圧」を強く求めた。これを機に香港政府は抗議活動への圧力を一段と高め、警察側の発砲や民主派議員の拘束などが相次いだ。

 抗議活動の側にも変化が生じた。二〇一四年に民主化を求めた「雨傘運動」では、道路占拠を長く続けて市民の支持を失った。これを教訓に、今回の抗議活動は一つの場所にとどまらない方針をとってきた。

 それが先週からは、戦術を変えて交通妨害のため幹線道路を封鎖し、複数の大学を占拠した。ただ、学生の間でも意見が分かれており、香港メディアによると、香港中文大を占拠した学生は三時間にわたる議論の末に撤収を決めた。一方、理工大は撤収のタイミングを失い、袋小路に追い詰められた形となった。

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