2019年11月16日に開催された青識亜論さんとの討論会、“これからの「フェミニズム」について語ろう”にご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
まずは、当日の司会を引き受けてくださった小保内さんがnoteで所感を書いてくださったので共有しておきます。
note.mu16
討論会では時間が限られていたため、私が伝えきれなかったことがいくつかあります。また、終了後にゆっくり考えたら答えが出たことなどがあったので書いておきます。その場で上手に受け答えすることや相手を言い負かすことが目的のイベントではなかったと当初認識していたので、こうやって後からでも思いや課題点を共有することはズルではないと思います。
1つ目。青識さんが、フェミニズムの出発点はブルマ―を開発したアメリア・ジェンクス・ブルーマーと言っているように感じた。フェミニズムをいきなりファッションから始めるのは違うと思ったし、これは#KuTooの話につなげやすくして、次に挙げる「ブルマとシャネル」の二極化に持っていきたいからだと思った。
2つ目。「ブルマとシャネル、どっちを選ぶんですか?」と聞かれた。私はブルマでもシャネルでもないので、どっちもやろうと思って#KuTooの活動をしている。
確か青識さんが「人生は時間が限られていてシャネルでさえ人生かけてやったんだからどっちかにしなければ」的なことを言ったと思う。(うろ覚え)
「シャネルは男にも気に入られるようなスーツを作ったことでうまくいった、認められた」といっていたけれど、私は別に青識さんたちに認めてもらおうと思っていない。認めてもらう相手は国である。青識さんたちに認めてもらったところでヒールの義務付けは無くならない。媚びは売って効果のあるところに売りたい。
この話の時に、「ヒールとパンプスどちらを履いてもいいということにしなさいと強制することは良いのか」というようなことを言われた。(私はそう受け取った。)強制の使い方が間違っているのではないか?と思う。
まず、雇用主はヒールを女性のみに強制させる権利を本当に持っているのだろうか?
雇用主は女性にヒールを強制していいのに、なぜ雇用主に選択肢を与えさせることを強制することは認められないのだろうか?
でもやっぱり、ここに「強制」という言葉はふさわしくないと私は思う。
同じ時に「女性のみにヒールを履いてもらいたいと思うことの何がいけないんだ」というような発言があったと思う。性別役割分担意識の何がいけないんだ、という話だったと思う。労働の場に関しては政府が正式に示しています。この指針は、全企業が従うべき基準です。守っていなければ国に行政指導されたり、企業名が公表されることになっています。
「性別役割分担意識に基づく言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要」と明記され、企業の義務の一つになっています。義務履行の3つの例にはいずれも含まれています。
男女雇用機会均等法(均等法)の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(セクシュアルハラスメント指針)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000133451.pdf
事業主(すべての民間事業主と地方公共団体)は、この指針に書いてあることを守る義務があり(均等法11条)、守らない場合は行政指導を受け(29条)、指導に従わない場合は企業名を公表される制裁を受けます(30条)。
均等法
3つ目。途中から青識さんが私の考えを評価し始めた。
「それは素晴らしい」「それは正解」などなど。その辺りから私の頭は
「あれ?ところでこの人誰だっけ?」となっていた。なんで青識さんが判断できるんだろう。
4つ目。弁護士のツイートや過去のフェミニストの炎上などをみんなで馬鹿にするようなシーンがあった。私には何が面白いのか全くわからなかったが、会場内は大爆笑だった。同じ人間でも笑いのセンスがだいぶ違う人たちがいるもんだなと思った。果たしてこれが地上波で放送されることが許されるのだろうか。
5つ目。会場から「吉本のブサイクランキング、男女共なくなったのに男性だけ復活したのはどう思いますか?」と女性の方から質問された。時間がなくその時答えられなかった。ブサイクランキングがなくなったこととか男性だけ復活したことは知らなかった。私は男女共に必要ないと思う。顔にランキングをつけるなんて悪趣味だなと思う。彼女もきっと必要がないし、男性差別だと思ったからその質問をしてきたのだと思う。彼女がブサイクランキングを男性だけ復活するなんて性差別だからやめてくださいという署名活動を始めてくれたら最高だと思う。こういうのは気がついた人がやるのが一番熱量を発揮することを私は身を以て知っている。もちろんその時は私も署名をしたいし、応援したい。
もう1つ、赤十字献血ポスターについての会場からの質問で、「被害者に配慮というならば、交通事故にあった人はたくさんいるが車の広告は無くさない。女性で被害にあった人は我慢していただいて」とあったが、比較対象が違うと思う。車の良さを伝えて購入してもらうためには車の画像や映像は当然必要だ。献血者を増やすために、バストを強調する必要はあるのだろうか?
たとえば保険会社などが交通事故のシーンを強調して不安を煽るのであれば、それは被害者に配慮して無くすべきだと思う。私は「女性や女の子のキャラクターのポスター」の話をしているのではなく、「直接その売りたいもの、宣伝したいものと関係がないのに女性の身体的特徴を強調した広告」を批判しているのだから。「宇崎ちゃんのポスターの影響力は気にするくせに、#KuToo運動によってヒールが履きづらくなる人がいるかもしれないという影響力は関係ないというのはダブルスタンダードなのではないか」とねじ伏せられましたが、差別に対する批判なので、ここごっちゃにされても困りますし、この時点で私は#KuTooの話をしていません。
6つ目。会場の方から「女性の方がセクハラや性犯罪に遭う可能性が高いと言うが、男性は声をあげれないので可視化されていないだけで同じくらい遭っている」という発言がなされた。エビデンスがないのに誰も反応しなかった。
答えようがなかった。
7つ目。青識さんは会場にむかって大きな声で感情をぶちまけ、会場の方たちから共感を得ていた。そしてとても気持ちよさそうに見えた。
隣から見ていたが、青識さんが一番輝いていた場面だったと思う。でもすごく痛々しく見えた。私との討論会だったと思うのだが、青識さんは誰と何を話していたのだろう。
私も、自分の感情を思いっきり出して、大きな声をだして気持ちよくなりたいと思った。今回私はそれができなかったのがとても残念だ。まさか討論でそんなに感情的になることが許されるとは思ってもいなかったから。私は一応女優なのですが、芝居中くらいしかあんなふうに感情を出したことは無い。だが気持ちよさは知っている。
ついでにいうと、帰り際、参加者の女性に「女性は感情的だと言われるので話すなら感情的ではなく論理的に話をしてください」と注意された。この女性は、明らかに感情的だった青識さんにも注意したのだろうか。家に帰ったら国語辞典で「感情的」を調べてみようと思った。
8つ目。
私は「モノ化」についてよく分からなかったんだけど、自分なりに考えて言語化していった。
「人間とモノの違いは『気持ちがあるかないか』ということ。女性の気持ちを『お気持ち』と揶揄することがモノ扱いをしている証明になっているのではないか」
と伝えたところ、「そんな感覚やお気持ちで話されても困る、言語化しろ」と言われたので壮大なコントを始めたかと思った。
めっちゃ面白いと思ったんだけど大真面目だったらしい。
青識さんはしっかりと私をモノ扱いしてくれた。
9つ目。
なんか昨日はすごくたくさんの人に「#KuTooは素晴らしいと思います。自信を持って」みたいなこと言われたんだけど、言われなくても私は自信を持っているし素晴らしいことをしていると思っているし、実際に社会を変えている私の方がかっこいいと思っているんだけどなんでみんな私を評価できると思っているのか不思議でたまらなかった。他のイベントなどでお会いした方とはニュアンスがすごく違った。他の時は「ありがとうございます」「助けられました」「励まされました」といった共感なのだ。誰も私を評価なんてしない。
まとめ
青識さん、私は今回「討論」をするのだと勘違いしていました。
ツイッターという140字ではわからないこと、伝わらないことがあるから実際に会って話して、わからない点、伝わらない点を可視化させなぜそれがわからないのか、考えていくためのものだと思っていました。「これからの『フェミニズム』」っていうくらいだから、生産的な会話ができるんだろうと思っていました。でも、「フェミニズム」ってカギカッコつけてたことが、よく分かった。
わからないこと、伝わらないこと、言語化できないこと、話が噛み合わないこと、そういうことこそ今回の討論には必要な問題点であると思っていたけど、結局「なぜ伝わらないのか、なぜ言語化できないのか、考えよう」という方向に話を進めずに極論で思考停止させるならば、すごく時間と体力の無駄だったなと思う。おっしゃる通り人生には時間は限られてるんだから、ブルマかシャネルかどっちもやりたい私は今回の会を断ればよかったなと思いました。
私を青識さんの承認欲求を満たすための道具として使うのならば、予め私に許可と同意をとる必要があったはずです。
青識さん、「フェミニストは討論せずにブロックし逃げる」、と仰っていたが、あなたをブロックするのはあなたの思想が嫌いだからだよ。
私も嫌いになってしまいました。
嫌いになったから、あなたを侮辱しないようにハラスメントしないように、殴らないように、傷つけないように、あなたには関わらないようにします。
会場の皆さん(8割以上男性だった)は私に#KuTooで法規制を求めることを辞めさせたかったのでしょうか?
実はちょっと「わざわざ法規制せんくても、社会通念変わってきてるしいっか」と思い始めていたんですが、この討論で一気にアクティビストモードに戻りました。 厚生労働省に再び要望書を提出します。
先日素案がでたパワハラの指針に服装のことも入れてもらえるように。
この件を決めるのはお前らじゃない。国と世論だ。
青識さん、私には国の何かを決めるような権力はない。私の「お気持ち」1つで何かが規制されたり法律ができたりはしないので安心してほしい。
あなたが答えなかったこと。
「青識さんが私を殴りました。私はあなたにやめてくれと言った。それがあなたに対するハラスメントなんですか?」
「それはまた違う問題だ」とあなたは言った。違う問題の理由も根拠もお話しされなかった。
感情的に声を荒げ、根拠を出さずに相手の発言を「違う」と言っても誰にも咎められない。共感を得て気持ちよくなっても「共感を得たいだけで解決策が出せていない」と言われない。
そんなに簡単に共感してもらえる部分ではあなたが羨ましいが、私は絶対あなたのようになりたくない。
この会の最後にも私は言ったが、先に加害をした側が被害者ぶるな。 同じだと思うな。
あなたも私もフェミニストやフェミニズムを評価する、認定する権利なんてない。 ">私はあなたと同じ人間だ。
ただ生まれてきただけの人間だ。
私たちが同じことをしたら同じ評価をされるべきだ。
これから先、あなたの思想か私の思想、どちらが広がりどちらが残り、どちらが社会に影響を与えていくのか、私は勝手に勝負します。
あなたは今日、私に勝ったと思っているのかもしれない。 私はあなたに負けたなんて少しも思っていない。
たとえ負けだった場合、どのように私の活動や日常に影響を及ぼすのだろう?
私が今日負けたらか#KuTooが終わるのか?
私が今日負けたから私の今決まっている仕事がなくなるのか?
私が今日負けたらか流行語大賞のトップ10ノミネートはあり得なくなるのか?
私が今日負けたから、私の日常生活の何かが変わるのか?
私が落ち込んで活動をやめるのか?
このことを知る人は世界のうちのどれだけなんだろう。
あなたが今回の会場約200名という規模を超えられるのか。
あなたを世界が取り上げることが今後来るのか。
あなたが社会を動かすことが起こるのか。
あなたが誰かを幸せにすることがあるのか。