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ソフトバンクGがLINEを傘下に、ZHDと統合-新株発行も

更新日時
  • ZHDは新株28億株発行、ソフトバンクとネイバー新会社に割り当て
  • ソフトバンクとネイバーが共同でLINEへTOB、価格は5200円

ソフトバンクグループ傘下で「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINE(ライン)が経営統合する。両社が18日に発表した。

  最終契約の締結は12月を予定し、統合完了は2020年10月を目指す。世界のインターネット市場は米国、中国企業が圧倒的優位の状況となっており、両社は統合を通じ事業領域の強化や新領域への成長投資を行い、海外勢に対抗する。

LINE and Yahoo Japan App As Two Are In Talks For Possible Merger

両社は来年10月の統合完了を目指す

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  発表資料によると、ZHD親会社のソフトバンクとLINE親会社の韓国ネイバーが50%ずつ持つ新会社を設立。株式交換も使い、新会社が資本参加するZHDの傘下に事業会社のヤフーとLINEがぶら下がる形態になる。

  新会社は、現在上場しているLINEにソフトバンクとネイバーが共同で株式公開買い付け(TOB)を実施し、設立する。提案するTOB価格は現時点で1株5200円としており、その場合、両社の負担額は1700億円ずつとなる。

  ZHD広報担当者への電話取材によれば、ZHDは新株28億株を発行し、ソフトバンクとネイバーの新会社に割り当てる。新株の発行価格は未定で、20年3月の株主総会での承認が条件という。試算では、新会社はZHD株の65%を保有する。現在東証1部に上場するZHDが存続会社となる一方、LINEは上場廃止になる見通し。

  ソフトバンクの財務アドバイザーはみずほ証券、ネイバーはドイツ証券、ZHDは三菱UFJモルガン・スタンレー証券、LINEはJPモルガン証券が務める。

  来秋統合後の共同最高経営責任者(CEO)にはZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長が就き、社長は川辺氏が務める予定だ。きょう午後5時から川辺、出沢両氏が都内で会見する。

スマホ決済サービス登録者(会社発表より作成)
LINEペイ3690万人
ペイペイ(ソフトバンク系)2000万人
メルペイ(メルカリ)500万人

  また、統合後は取締役会の下部組織としてヤフー、LINE出身者が同数参加するプロダクト委員会が設置される予定で、責任者には日本でのLINE立ち上げに寄与してきた慎ジュンホ氏(現LINE共同CEO)が就任する。また、統合会社は中長期的に毎年1000億円規模の事業投資を行う方針としている。

  M&A助言会社のカチタスの平井宏治社長は電話取材で、「LINEを使い、ヤフーを使っていない人は多い。ヤフーはメッセージ分野の強化になる」と指摘。両社の狙いはデータベースの共同化だが、韓国系資本企業が日本企業の傘下に入り、「機密が守られないのではないかという疑念が払拭されるのは歓迎だ」とも話した。

  ZHDは、孫正義社長が率いるソフトバンクGの日本の中核会社の一つ。インターネット検索を主軸とし、傘下には金融や物販、電子決済事業なども抱える。ヤフーの平均月間利用者数は約6700万人。11月にはファッション通販サイトを運営するZOZO(ゾゾ)も傘下に収めた。

  通信アプリを展開するLINEは、金融やコンテンツ販売なども手掛けている。10月の発表によると、国内の月間利用者数は8200万人。海外では台湾やタイ、インドネシアの利用者が多い。

  19年3月期の売上高はZHDが9547億円、LINEは2072億円で、単純合算すると1兆円を上回る。国内ネット企業として競合する楽天は1兆1015億円。

  18日の日本株市場で、ZHD株は一時前週末比5%高の438円、LINE株も3.2%高の5200円とともに反発した。

(ZHDによる新株発行の記述や株価情報を追記します)
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