SNSを辞めてしばらく経ちますが、最近ようやくSNSが何なのかが見えてきました。
結論から言うと、SNSとは文章と感情を強制的に近づける装置です。
本来文章は、感情を警戒し、できるだけ切り離して遠ざける性質を持っています。
そうしないとまともな文章が書けないからです。
これは小説でも論文でも同じです。
元来文章を書くということは、感情を疑い、それを丁寧に切り離す作業と同義でした。
文章を書くには一定の知力、忍耐力が必要となるため、昔は特別な技術だったのでしょう。
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しかし時代は進みます。
教育が普及し、文章は一応誰でも書けるようになりました。
しかし、この時点ではまだ文章は知力と忍耐力を要します。
さらに時代は進み、インターネットが出現し、SNSが浸透した昨今、文章はついに――恐らく人類史上はじめて――感情と直結してしまいました。
人は己の一時の感情をそのまま文章にし、誰のチェックを受けることなく世界に発信できるようになりました。
そのせいで起こる災禍やディスコミュニケーションは周知の通りです。
SNSが怖いのは、一定の文章技術を持つ人に対してもそのスキル(知力、忍耐力)をキャンセルさせる力を持っているということです。
作家やライター、知識人が感情のままにSNSに書いたことが大炎上したケースはいくらでもあります。
このようにSNSは、文章の専門家が何十年もかけて鍛え上げた客観性や忍耐力をいとも簡単に突破する力を持っています。
恐らく、半分はツールの力、もう半分は「考えたくない、耐えたくない」という人の本能が発露されるのでしょう。
とこういうことがわかってきたので、一応文章を書く人間として改めてSNSにはできるだけ近づかないようにしています。
気を付けてたら大丈夫程度に思っている人は、いっぺんSNS辞めてみるとよくわかりますよ。
どれだけ自分が洗脳されていたか…
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