圧巻の全国デビューだ。中京大中京の高橋宏斗投手(2年)が、高校入学後初の全国大会で、難敵の明徳義塾を圧倒した。毎回の10奪三振で、コールド勝利した7イニングを完封。初出場した2001年以来、18年ぶりの神宮勝利に導いた。
「初回にピークを持っていくつもりだった」。その言葉通り、立ち上がりから飛ばした。1回、146キロの初球を左翼線に運ばれ、1死三塁のピンチを迎えたが、3番・鈴木を自己最速タイの148キロ直球で空振り三振。2回以降は140キロ台中盤の直球とカットボールを中心に攻め、危なげなく7イニングを投げきった。
秋の県大会から、左足を上げた際に一度、三塁方向を向くソフトバンク・千賀のフォームに挑戦している。“ため”をつくることで、ボールにより力が伝わるようになった。
神宮は、豊田シニアでプレーした中学3年時の全国大会で経験。兄・伶介さん(22)は、慶大野球部の投手としてプレーしていて、高橋宏にとっては思い入れのあるマウンドだった。試合前に、その兄から「頑張れよ」と声を掛けられ、気合は一層入っていた。
百戦錬磨の敵将も、脱帽するしかなかった。相手の馬淵史郎監督(63)は「真っすぐは松坂より上。今年見た中ではナンバーワン」と「松坂以上」のお墨付きを与えるほどだった。高橋宏は「そんなレベルに達していない」と謙そんしたが、中日の米村チーフスカウトも「アウトローに決まるようになれば、手も足も出ない投手になる。プロ志望なら、来年の上位候補」と高評価した。
「世代ナンバーワンを目指している」と高橋宏。秋の日本一となり、名実ともにトップに立つつもりだ。