シンプルなのに本格派! 味わい豊かな鶏ごぼうどん

いまが旬のごぼうをメインに使った、ごぼうと鶏のうどんを紹介します。出汁をとらなくても、ごぼうと鶏肉、そしてたっぷりかけた胡椒で驚くほど上品で奥行きのあるおいしいスープができあがります。ごぼうの下ごしらえも要点を抑えれば簡単です。

ごぼうの食感と香りを、胡椒で華やかに引き立てる

ちょっと意外ですが、やみつきになる組み合わせを今日はご紹介します。ごぼうの香りと鶏のうまみ、そして胡椒の爽やかさが効いたスープを、うどんにして食べるというレシピです。

主役は、ごぼう。寒くなって、あたたかい土の中でじっくり育ったごぼうは、まさに今が本番といえるでしょう。土のような香り、ボリボリという噛みごたえ、個性的な黒い姿も魅力です。

冷凍うどんを使えば深めのフライパンひとつでできてしまいます。味付けは塩と胡椒だけ。シンプルな材料でも滋味あふれる一杯で、だしは一切使わないのに深いうまみと味わいが感じられるのは、食感や香りに幅があるからです。
今日は寒いな、と思ったときに気軽に作ってみてください。お腹の底からあたたまりますよ!


胡椒たっぷり鶏ごぼうどん

材料(2人分)  所要時間20分

ごぼう 30cm(約120g)
鶏もも肉 150g
ごま油 大さじ1
塩 小さじ1
黒胡椒 小さじ1/2
冷凍うどん 2玉
水600mL

作り方

1.下ごしらえ
ごぼうを洗い、ささがきにして水にさらす。★1
鶏もも肉は小さめに切る。

2.ごぼうを炒める
深めのフライパンを強火にかけてごま油を熱し、水気をよく切ったごぼうを入れる。全体に広げてあまり動かさないようにして1分半ほど加熱。中火に落としてざっくり混ぜつつ、もう2~3分炒める。★2

3.スープにして胡椒を入れ、うどんにかける
炒めたごぼうに、鶏肉と水600mL、塩を加えて煮立てる。アクが出てきたらある程度すくって火を弱め、2分ほど煮込む。火を止めて胡椒を加える。★3
冷凍うどんを表示時間通りにあたため、どんぶりに入れ、スープを注ぐ。胡椒を追加でふってもよい。


レシピのポイント解説

・ごぼうの扱い方と、ささがきごぼう
・ごぼうを炒める
・胡椒について

★1 ごぼうの扱い方と、ささがきごぼう

秋になると根菜がおいしくなります。その筆頭が、ごぼう。泥付きで敬遠する人も多いですが、あの土の香りこそがごぼうの命。扱い方は難しいものではありませんので、ぜひこの機会に覚えましょう。

ごぼうは八百屋で1本まま売っていることもありますが、だいたいは1/3ぐらいの扱いやすい長さに切って売られています。泥を洗い落してあるものもありますが、ごぼうは土の香りが命。泥付きをおすすめします。


ごぼうは、もともとはこんな長さ。土の奥深くまで伸びている

まず、ごぼうの泥を落とします。一番のおすすめは、たわしです。100均でも売っているものです。ひとつあると根菜などを洗うのに、とても便利なものです。


流水の下で、たわしでこすると簡単に泥が落ちる

たわしがないとき案外おすすめなのが、使い古した歯ブラシ。大量だと辛いですが、家庭で1/2本ぐらいのごぼうの泥を落とすには、ひとまず間に合います。

それもなければ、包丁の背で皮をこそげ落としましょう。この方法は香りのある皮がはげてしまうのが弱点なので、あまりやり過ぎないのがコツです。また、たわしだけで泥が落ちない部分も、この方法で取ります。


刃の部分ではなく、峰(包丁の背)でこそげるようにする。流水の下でやるとよい

洗ったごぼうを、今日は「ささがきごぼう」にします。ごぼうを切るときのポピュラーな方法で、切るというよりは、削ぐ、という感じです。きんぴらや豚汁もささがきにすると、味がしみやすく、また固いごぼうが薄くなり、食べやすくておすすめです。

片手でごぼうを持ち、包丁を斜めに入れて、ごぼうの先を削ぐように切ります。ボウルに水を張っておき、切ったそばから落としていくと、ごぼうのアクが抜けて変色しません。一か所削いだら、少し回します。


鉛筆削りの要領で

くるくる回しながら、切っていきます。あまり厚ぼったくならないように。薄く削るような感覚です。


必ず少し、皮がつくようにする

全部ささがきにしたら、ザルに上げてしっかり水切りをしておきましょう。


あまり長く水の中に置くと、香りが抜けてしまいます。

★2 ごぼうを炒める

まず、ささがきにしたごぼうを炒めます。深めのフライパンを強火にかけ、ごま油をひきます。ここにごぼうを入れて、フライパン全体に広げるようにして1分から1分半ほど加熱します。


フライパンに広げたら、あまり触らずにしばらくそのまま加熱

湯気がもうもうと立ってきたら、中火に落として全体を返し、ときどき混ぜながら、さらに2~3分炒めましょう。


ごぼうが汗をかいて、しっとりしてきたらOK

余談ですが、ここに醤油と砂糖、酒少々を入れて調味料を飛ばすように炒りつけたら、きんぴらごぼうです。

★3 胡椒について

炒めたごぼうに鶏肉と水600mL、塩小さじ1を加え、強火で煮立てます。アクが次々出てきますが、おたまで大まかに取ったら、火を弱めてしまいましょう。

さて、ここで登場するのが今回の決め手、胡椒です。ごぼうと胡椒はとても相性がよい組み合わせで、ごぼうに強い個性がありますので、胡椒をかなり使っても大丈夫です。

胡椒はおうちにあるもので結構ですが、もしできれば、あらびきの黒胡椒を使ってみませんか。


左が細びき、右はあらびき。胡椒ひき(ミル)に、調節機能がついている人は、あらびきに調節する

塩と胡椒が混ざったものは、野菜炒めなど同じタイミングで使う場合はよいですが、胡椒は香りが飛んでしまうので、食べる直前に使う方が効果的なのです。できれば別々のものを使いたいところです。

詳しくはこちらのnoteでもどうぞ!

火を止めてから胡椒を加え、あとはうどんにかけるだけ。冷凍うどんならレンジで調理すればいいので簡単。鍋に直に入れてあたためても大丈夫です。辛いのがお好きな方は、盛り付けてからさらに胡椒をふってください。

ごぼうは食物繊維がたっぷり

ごぼうは、中国では種が漢方薬として使われます。炎症をおさえる効果があるとされ、のどの痛みや咳が出る風邪などに利用されてきました。私たちが食べている根の部分には食物繊維が豊富に含まれて、便秘がちな人におすすめです。
また、たっぷり入れた胡椒が血液の循環を促し、冷え対策に。食べているうちに体がぽかぽかあたたまってきます。

なにより、ごぼうの味わいは本当に独特で、そのおいしさを知ると食べずにはいられなくなります。しっかり噛みごたえがあって、満足感が大きいのもうれしいですね。
おいしく、体もすっきり整う、根菜のうどん。ぜひ冬の食卓に取り入れてはいかがでしょうか。


【アレンジ】ごぼうの存在感は圧倒的。味付け自由自在

ごぼうには他の具材に負けない個性があるので、ごぼうを固定して、他の部分を変えていけば、魅力はそのまま、いろいろなバリエーションが生まれます。もちろん麺なしでスープとして食べるのもおいしいですよ!

醤油味のごぼうどん

味付けを塩+胡椒ではなく、めんつゆ+胡椒でやれば、ポピュラーな味付けのうどんになります。醤油味だと、うどんだけでなく、蕎麦も合います。刻みネギなどをのせてもいいでしょう。

鶏ごぼうとせりのスープ

うどんなしで、和風の鶏ごぼうスープとして食べるのもおすすめです。基本の作り方で、うどんつゆより少し塩味をひかえます。セリは火を止める間際に刻んで入れます。小松菜、ほうれんそう、春菊などもいいですね。

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

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有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

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