人口減と借金で「30年後に日本終了」の現実味

ジム・ロジャーズと岡本祥治が語る

これから30年後の日本はどんな国になっているのか。日本の未来について、世界3大投資家のジム・ロジャーズ氏(左)とみらいワークスの岡本祥治社長が語った(撮影:佐々木仁)
膨らむ借金と高齢化しながら減る人口という大きな問題に直面している日本。これから30年後の日本はどんな国になっているのか。大の親日家でありながら、日本の将来について非常に悲観的なことで知られる世界3大投資家のジム・ロジャーズ氏と、フリーランスの人材マッチングを手がけるみらいワークスの岡本祥治社長。ともに世界各国を旅行し、日本以外の状況を知る2人が日本の未来と末路について語り合った。

世界経済は今後数カ月の間に「終わり」始める

――ロジャーズさんは日本の未来についてとても悲観的ですね。

ロジャーズ:実は数カ月前までは、今よりもっと楽観的でした。日本経済の先行きは世界経済に左右される部分があり、私は、世界経済は今後数カ月のうちに「終わり」を迎え始めると考えている。つまり、日本もこの影響を受けることは避けられません。

そしてその「問題」が発生する日はどんどん近づいている。だから私は昨年秋に日本株は全て売却した。日本が増税を行うとわかったタイミングでね。増税で得する人などいない。

岡本:日本経済の行方は世界経済に左右されるのは確かです。日本には高齢化や人手不足など構造的な問題もある。しかし、私たち日本人はそうした問題を解決しなければいけないと考えています。

成熟社会である日本は、世界に先駆けてこうした問題に直面していますが、もし解決策を打ち出すことができれば、その解決策を世界に「売る」ことができるのではないでしょうか。現時点ではその解決策は見いだされていませんが、日本人ならできると思います。

ロジャーズ:日本は長きにわたって繁栄してきました。確かに大変な問題を乗り越えてきたことも、何度もありました。しかし今直面している問題に対して、どんな解決策があるのか私にはわからない。日本の借金は日々膨れ上がっている一方で、人口はどんどん減っている。これは意見ではなく、事実です。

日本の将来を考えた時、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすかしない限り、日本の長期低迷は不可避です。借金が増えて人口が減る。単純な算数の問題です。あなたは私が知らない何かを知っているのかもしれませんが、このままいけば悲惨な末路しかありません。日本がすぐに消滅することはありませんが、そのうちなくなってしまう可能性だってあります。

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  • Ka5041a3af6a0158
    私は岡本さんの意見の方に賛成です。ロジャーズさんはあくまで投資家としての見方も兼ねていると思います。所詮外国の方です。現在自分はアメリカの高校に留学している最中で大学もアメリカに行こうとしていますが、アメリカという国は日本に比べたらとても住みずらいですし、飯は最悪です。そしてアメリカ人のレベルも驚くぐらいに低いです。(数学とか顕著ですね)その面日本は飯も美味しいし、保険もまだしっかりしてるし、物価も比較的少ない方です。そして私は思うのですが日本人は悲観だけして、ただ問題を提議してそのあと行動しない人が多いように思います。悪い点を認識しながら良い点をも同時に認識して行動することが私たちがするべきことだと思います。長文失礼しました。
    up147
    down53
    2019/11/18 06:10
  • 😎89243b34c9b4
    日本は今いい国だと思うよ。

    だけど50年後もいい国である保証はなくなってきてるね。

    日本の財政は破綻するかもしれないと言い放ってきた方々は沢山いたけど

    元に少し前まで財務省のHPでも動画で紹介していたくらいだから・・・。

    しかし国のバランスシートを正確に捉えて分析すれば、そこそこ余裕もあり

    とても健全な財政状況であることは周知の事実となったわけだ。

    ところが、人口ピラミッド・人口動態をつぶさに見れば、高齢者比率は伸び続け、現役世代との比率が改善しはじめるタイミングは50~60年後という
    国家レベルでの再分配で大きな爆弾を背負っている。

    この爆弾が爆発することは、おそらく無いだろうが年金のマクロスライドや給付年齢75歳案など、目を覆いたくなるような新ルールが次々と登場してくるわけですよ。

    外交レベルでも国のパワーバランスは大きく変化するだろうし、日本の立ち位置は正直厳しいね。
    up96
    down9
    2019/11/18 06:52
  • 午後の牧神83220cd73851
    この対談は素晴らしい。


    > 岡本:それは違いますね。


    自説と異なる事は、相手に迎合することなく、ハッキリと言う。

    その一方で、FPの花輪陽子氏の記事は酷い。ジム・ロジャース氏の発言を無批判に引用して、“自分の”名前で記事を書く。もうそれ、貴方の記事ではないですよね?

    東洋経済オンラインを見直した!
    岡本祥治氏、筋が通っている。
    up99
    down44
    2019/11/18 06:02
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